ある日の騎士団(談)3
サフラン色の栄光のおまけ集、その2。
ある日の騎士団(談)です。
騎士団やサフラニア全体の些細な(?)出来事が
垣間見えるおまけです。
時系列順にはなっていないので、昔のルーヴェリアのヤラカシなんかも見れたりします(笑)
君を初めて見た時。
太陽光を反射して黄金色に輝く艶やかな髪と、青空を嵌め込んだような美しい瞳に心を奪われた。
精一杯手を伸ばしても決して届くことのない空の上の人のように感じて、幼い頃から君の背を追いかけていた。
女神のような君に振り向いてほしくて、女性にはどんなものを贈れば喜んでもらえるのか、シエラに相談したこともあったんだ。
ふふ、シエラの驚いた顔が今でも忘れられないよ。
君はいつも僕に名前で呼ぶよう指摘していたけど、なんだか恥ずかしくて呼べなかったんだ。
それを君はどう感じていたかは分からないけど、今はすごく後悔しているよ。
最期の日に声まで奪われると分かっていたなら、ルーヴェリア、君の名前をちゃんと呼んであげれば良かった。
休日にはクレストの奥さんが経営しているレストランに行こうって話をしていたね。
約束、守れなくてごめんね。
君が背負っていたものがあまりに多過ぎて、大き過ぎるように感じた。
だからその痛みや苦しみが少しでも和らぐのなら、僕はなんでもしようと思っていたんだ。
君を苦しめるものは、たとえ神様であっても殺してしまおうとすら思っていたんだよ。
でも所詮、運命に抗えない僕ごときじゃ無理だったね。
いつかどこかで君を見つけたらその時は……。
僕が君を、幸せにしてあげたいな。
アドニスの独白です。
兄ヴィリディスのブローチにかけられた呪いが発動し、急激に体が腐敗して死に至りました。
ここで、本編を読まれた皆さん覚えていますでしょうか。
11話に出てきた謎の男が、アドニスの夢の中で「君の願いはただ一つを除いて全て叶わない」と宣言していたこと。
アドニスはルーヴェリアの背負うものを知りたいと望んで禁書庫に入り、他の騎士たちよりほんの少し早く真相を知った。
彼女を支えたい、出来れば結婚もしたい、彼女が苦しい時は傍にいて慰めてあげたい、もっと強くなりたい、生きて帰りたい、そんな願いさえ叶わないままアドニスは死にました。
予言の通りに。
アドニスにこの予言を与えた謎の男は、死後のアドニス本人です。
予言とはままならないもので、本当はたった一つ、ルーヴェリアの傍にいることを望むよう仕向けたかったんですね。
でも曖昧な形でしか伝えられない予言という性質上、はっきりとそれを言うことはできなかった。
与えられるのは「ただ一つを除いて全て叶わない」というヒントだけ。
この時点ならまだ、願いを変えられたんです。
でも曖昧すぎてアドニスは考える余地すら残されないまま目覚めてしまう。
結果、予言の男と同じ末路を辿ったわけです。
実はアドニス、自分が死ぬ時の夢も見てます。
本編16話の冒頭です。
夢という、現実との境界に立つことで、彼はほんの少しだけ未来を知ることが出来る力があったんですね。
剣はテオに及ばず、魔術はルーヴェリアに及ばず、体力もクレストに及ばなかった彼が唯一手にしていた力です。
しかし、そんな力があるなんてアドニスは思いもしていない。
使いこなす以前の問題だったわけです。
もしこの力に気がついていたら、ブローチの呪いに気がついて回避できたかもしれませんね。




