ある日の騎士団 13
サフラン色の栄光のおまけ集、その2。
ある日の騎士団(談)です。
騎士団やサフラニア全体の些細な(?)出来事が
垣間見えるおまけです。
時系列順にはなっていないので、昔のルーヴェリアのヤラカシなんかも見れたりします(笑)
これは、アドニスがまだサフラニアの歴史について知らなかった頃の話である。
彼の師であるルーヴェリアは、王命でもない限り永遠に仕事を続けるような人間だが、年に一度、必ず三日間だけ休暇をとることがあった。
不思議に思っていたアドニスは、何をしているのか気になり、彼女に許可を得てついていくことにする。
何も面白いことはないですよ、そう言いながらも同行を許可してくれた。
行ったのは、馬を使ってサフラニアから北西諸国、そして西側の山脈を抜けてテフヌト族領まで行き、山脈を帝国側に迂回してサフラニアに帰る、だけだった。
途中途中公道の端に留まり、彼女は風景を眺めて走り去っていく。
国の近場だし、ただの遠出には見えない。
野営中に聞いてみた。
アドニス「師匠」
ルーヴェリア「ルーヴェリアです、殿下」
アドニス「師匠」
ルーヴェリア「…はい」
アドニス「この旅は一体何が目的なのですか?」
するとルーヴェリアは遠い眼差しで炎を見つめながら答えてくれた。
今まで通ってきた道の全てが、かつては戦場であったこと。
今ほど運搬技術のない中で、戦死した兵士の死体を連れて帰る余裕がなかったこと。
そこで選ばれたのは、鎧ごと死体の腐食を早め、肉も、内臓も、骨も、全て土に、風に乗せて自然へ返すことだった。
ルーヴェリア「つまりこの道、或いはウェス・トリステスの大地全てが、戦死した英霊達の墓場なのです。私は停戦が結ばれたあの日から、毎年祈りを捧げにこうして遠出をしています」
アドニスは絶句するしかない。
自分たちが今、死体の上に立っているのと同じだという事実に。
故に、静かに野営の炎を見つめる彼女をただ見ていることしかできなかった。
だが彼女は表情と裏腹にある疑念を抱いている。
上手く言えない焦燥感。間違った選択をしている予感がする。
しかしそれは今考えても仕方のないことだ。
今はただ、かつての仲間のために祈りを捧げよう。
はい。本編で利用されてましたね、かつての英雄達の骸。
本編でも言及されていますが、約50年ほど前にも魔族との戦争がありました。
当時、人の体を燃やすと魂が煉獄に囚われるという迷信があり、今のように死体を燃やすことは禁忌とされていたのです。
よって、手っ取り早く死体を無くすために、騎士達は生命活動を終えると同時に一気に身体を腐食させ、霧散するように土に還る術をかけていたのです。
よってその土塊で人形を作れば、死霊術は完成させられたのですが、大地を操るほどの力を得ていなかったノクスにはなし得なかったため、効果覿面だったというわけです。




