ある日の騎士団 6
サフラン色の栄光のおまけ集、その2。
ある日の騎士団(談)です。
騎士団やサフラニア全体の些細な(?)出来事が
垣間見えるおまけです。
時系列順にはなっていないので、昔のルーヴェリアのヤラカシなんかも見れたりします(笑)
遠い昔のことだ。
自分達とは違う文明を築いている部族から、一人の少年がやってきた。
ヤヤ・テフヌト族の長の息子で、名前はナギ。
彼らは、自然がもたらす恩恵も災害も、全て天からの賜物として敬愛していた。
それ故か、部族の誰もが精霊から加護を受け、魔術とは違う類の力を持っている不思議な部族だ。
明日はいよいよテフヌト族領奪還戦、思うことも多いのだろう。
拠点を置いていたア・ヤ湖の畔で、食事もとらずに空を眺めていた。
ルーヴェリア「何を見ているのですか?」
ナギ「師匠、多分俺は明日死ぬと思う」
ルーヴェリアはそっと彼の隣に腰を下ろし、続きを促した。
ナギ「俺に加護を与えてくれる精霊様がそう言うんだ。次の戦いで死ぬって」
ルーヴェリア「…怖いのですか?」
静かな問いかけに、彼はまさか、と笑ってみせる。
ナギ「兵士が死ぬことを恐れてたら、戦いにならないよ。それに、死ぬって悪いことじゃない。死というものは、生者であった者達への労いであり、安息なんだ」
ナギはだから、と続けた。
ナギ「だからさ、師匠。俺が死んでもあんま悲しむなよ?」
意表を突かれて言葉が出なくなる。
息を詰まらせたルーヴェリアの肩をトントンと叩いて、最大限、出来る限り笑顔を見せる。
ナギ「師匠って冷たい感じだけど本当は違くて、結構引きずるじゃん。泣くなとは言わないけどさ。でも、愛する故郷の大地の為に命の限りを尽くせるのは俺達にとって最高に誇り高いことで、何よりも幸せなことなんだ」
だから、何があってもアンタは振り返っちゃいけない。
アンタの守りたいものの為に、アンタはアンタの進む道を真っ直ぐ見てなきゃ。
約束だぞ、師匠。
彼の言葉の通り、彼は翌日の戦いで魔獣の軍勢に貪り殺される。
それでも、死の瞬間まで果敢に立ち向かい、劣勢を好転させた勇姿は太陽よりも眩しかった。
今回はちょっと重い話でしたね。
昔、騎士団に引き込んだナギという少年が命を落とす前の日の夜の会話です。
ルーヴェリアが持っていた遺品はブーツですね。
テフヌト族は年中裸足で過ごす部族なので、騎士団に入った時、ナギはブーツを履くのを嫌がったんですよ。
それを思い出して、最期はブーツを脱がしてやったんですね。




