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お友達になりましょう!(6)

じわじわと事件の真相に近づきます。

あれから数日が経ち。

わたしはロビンのモフモフに釣られて?

いいえ、交流を深めるべく、毎日彼の元を訪れていた。





「ロビン~~~!!お願いっ!ちょっとだけ!!!

ちょっとだけでいいから!!

ね?おねがい、おねがい、おねがぁぁい!

いっしょーの、お願い!!!」





「姉さま……何度一生のお願いを使われるつもりですか?毎日毎日ロビンに獣化させて…ロビンが気の毒です……。」




最初こそ始石心に燃えていたエリックだったが、今となっては本当にロビンに同情している。


「だって!もう知ってしまったんだもの!!

ロビンがあんなにかわいい声で鳴くなんて!

私は可愛い物に目がないのよ!!

無理!ガマンするなんて無理よ!!」




ロビンは顔を真っ赤にして俯いていた。

ゴロゴロ撫でられると獣としての本能からか、クンクン鳴いてしまうのだ。



「一緒に寝るのもダメで、獣化のゴロゴロもダメ。

エリック、それでは私の心が死んでしまうわ!


( ……!!)


あ、エリック✩わたしエリックにゴロゴロするのでも構わないわ!

わたしあなたの事も心底かわいいと思っているもの!

獣化しなくったって、エリックを愛でられば……」





「ロビン、獣化を頼む!!!!!!!!!」


エリックはロビンを売った。


そんな事を繰り返しながら、アリサは楽しい日々を過ごした。




「今日もありがとね、ロビン♪」




ロビンは心なしかグッタリした声で言った。


「いいえ、あの。いいんです。ところで、あの…アリサ様……、ようやく気持ちの整理ができたので…お話させて頂きたいと思うのですが…」




アリサとエリックは驚きの目をロビンに向ける。

そして確認するようにロビンに告げる。




「ロビン。もし辛くなったら途中でやめても構わないわ。

もちろん私達はまだ見えぬ様性者がいるならば…助けたい……そう心から思っているけれど、今一番大切に思っているのはあなたの事よ。

あなたが話をする事で苦しむ姿は見たくはないわ。」




「アリサ様……大丈夫です。ここ数日僕は自分にしっかりと向き合いました。

このままではいけないんです。僕も確認しなければいけない事がある。

ですから…ですから、話を聞いてください」





私とエリックは無言でいた。

そしてロビンはゆっくりとした口調で話し出した。





「僕はもともとヴィラドール王国のラザンという地域に住んでいました」




やはりと言うか、まさかと言うか。

思わずエリックと顔を見合わせた。


ロビンは続ける。




「この国の国境に近い場所で、この国の方々とも比較的交流がある地域でした。

僕の父は狐の獣人で、母はこの国出身の人間です。

両国の婚姻が珍しいわけではない地域ですし、何より母が人間だった事もあり、正直人間に警戒心はありませんでした。

あいつらが来るまでは……」



わたしとエリックはごくりとつばを飲んだ。

話に驚いたからではない。

あまりにも予想していた通りの話の流れに少し怖くなったのだ。




「あいつら…って?」


アリサは聞き返した。




「急に現れたんです。でもなんとなく…これは獣人としての本能が感じ取ったものなのかもしれませんが、あいつらはあやしいと…体全身で感じました。

僕だけじゃなくてそれはラザンに住んでいる者みんなそう感じていました。

目的もよくわからない彼らが数日居座る間に、行方不明事件が起こります。

幼い子供が何人も行方不明になったんです。

アランも・・・僕の親友もいなくなりました。

僕は父さんの言いつけを破り、森の近くまで親友を探しにいったんです。

そこで捕まりました。

いきなり殴られ、後ろ手に縛り付けられ、目隠しに猿轡を…僕はなんの役にも立てずに捕まったんです...…親友を助ける所かなんの手がかりも掴めぬまま……父さんのいいつけまで破って…」




ロビンの声が震える。

私はロビンの手を握り締めた。

エリックもその上から二人の手を包み込む。


わたしも似たような恐怖を味わったことがある。

前の世界で味わった恐怖は未だに癒えぬ古傷として、私の中に居座りつづけている。




「ロビン、君はなんの役にも立てずと言ったがそれは違うよ?

今から始まるんだ。君の戦いが。いや、僕たちの・・かな。君は捕まってしまった事で、僕たちという味方を手に入れた。

反撃するためにも辛いだろうが教えてもらいたい。君を捕まえたのは、誰?」




「……………………人間です。」




やはりそうなのか。

確信めいたものがあった今「まさか」なんて気持ちはおきなかった。

でも「そうでなければいい」とは思っていた。

彼をこれだけ傷つけたものが自分達と同じ「人間」でなければいい。

でもやはりこれは真実だった。




「ごめんね、ロビン…………」


私は悲しみに押し出された気持ちをこぼした。



( ………!!)



「アリサ様は悪くありません!僕はあなたに助けられたのですから!!本当に感謝しています!!!」


ロビンは必死に否定する。


「でもあなたを連れてきたのも私と同じ人間だわ。

わたしはそれが悔しくてたまらない…」


無意識のうちに涙が溢れていた。

きゅっと結んだ唇が痛い。でもこんなのロビンの痛みに比べたらなんてことないわ。


未だに古傷に触れぬよう生きているわたし。

彼が今の話をすることにどれだけの勇気がいったか…



「ねえ、ロビン。あなたは…あなたを捕まえたその人たちによって、あの男に売られたの?

その時に他の子供たちはいなかったのかしら?」




わたしはふと疑問がわいた。


もしそいつらがロビンを捕まえ、この国に連れてきたとしても。奴隷制度が禁止されているこの国で、そんなに簡単に買い手が見つかるとは思えない。そもそも人身売買は大罪だ。

それなのに、私が黒焦げにしたあの男は、ためらいもなく私にロビンを買ったのだと告げた。なぜそんな大それた事ができたのかしら?私が子供だと思ってみくびった?

いえ、そこそこな貴族である事は気づかれていたみたいだし、いくら子供がいう事だと言っても貴族の間で話題になんてなったら、一気に目をつけられるはずだわ。

それなのにあの男……どうして…?


そんな事を考えていた私にロビンは言った。



「もちろん、僕も捕まった時にはアランが一緒に捕まっているんじゃないかと思って、詰め込まれた馬車の中でなんとか気配を探ろうとしました。

確かに人の気配がしたものの、それが誰かなんて分からず、敵か味方かも知り得ませんでした。ただ僕たちは鼻が効きます。嗅覚の情報だけで言ったらあの馬車の中に少なくともアランはいなかったと思います。

ただ…それも絶対とは言えません...。」




「それはなぜだい?獣人の嗅覚は人間とは比べ物にならない位するどく、個人の匂いを嗅き分けることはたやすいと聞いたよ?」




「確かにその通りなんですが、ヴィラドールにはメラリアというかなり香りが強い花が咲いていて、その香りのせいで匂いが嗅ぎ分けにくくなるんです。

馬車の中にもメラリアの花がたくさんあったんだと思います。そのせいで正確に嗅ぎ分けることすらできませんでした……」


「なるほど。森で襲われた際、気配に気がつかなかったのはそのせいもありそうだね」


「はい」


「ロビン、あなたを買ったって言っていた男とはどこで知り合ったの?」


「あの男とは、どこかの建物の中で会いました。ぼくは目隠しに猿轡をされたまま、眩しい光の中に放り込まれました。耳と鼻だけは自由でしたから、あの場の会話を聞く限りオークション会場のような場所だったのではないかと思います…」




わたしもエリックも青ざめた。

この国のどこかで誘拐してきた子供をオークションにかけている輩がいるのか?!


これは一刻を争う事態だ。多分この国のどこかにまだ誘拐されてきた子供がいるに違いない。





しかし私はこの会話の中にかすかだが解決の糸口を見つけていた。


名探偵アリサ、出動します!!

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