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第91話 鬼門監獄

 鬼門監獄は帝都の北東部にあった。丁度僕らのギルドから北にあるが、城壁が少し飛び出しておりその内側にあった。まず犯罪者は円形の城壁内にすら入れないということか……


 入り口は一回城壁の外に出て砦まで進み、城壁の外側から入らなければならないらしい。回りくどい方法だけれど、そうでもしないと罪人が帝都内に入ってきてしまうのだとアーロンが教えてくれた。実際帝都の城壁は平時ですらまず巨人族でも力任せで砕けない硬さの石に防御魔法やら結界をかけてあるので、まぁまずS級の魔物が来ても攻略に手間取るだろう。




 大分歩いてから門の前につく。監獄は石造りの大要塞だった。周辺は堀に囲まれ、窓はどこにも無く上にダクトらしき物があるだけ。大分閉鎖的な環境だが既に怒号、鎖の擦れる音、囚人の泣き声、魔物のうなり声など色々溢れてきている。中はきっと地獄だろう……そりゃこの辺りに住む人が居ないわけだ。


 ケルンが思わず足を止める。


「……ここ、本当に帝都の中なのか?」


 そこでアーロンが低く笑う。


「ここは地獄への入り口だからな。これでも大分マシな方だ。なんせ本当の監獄はその数倍の自然と人工がまじりあった要塞だからな」


「アタシたちは絶対入らないようにしないとね」


 サラがそう笑って言う。それは勘弁願いたい。中で何が行われているかなんて想像したくもないし。


「俺様が声をかけてきます」


 アーロンが入り口の前に進んでいき、前に立っている大鬼族に声をかける。


「おい俺様だ。久々に帰ってやったぞ」


「これはこれはアーロンさん。お久しぶりです半年ぶりですかね」


「親父の生誕の宴以来だからな。愚弟どもを出せ」


「はいはい」


 見張りは手に持った石で連絡を取る。橋が降ろされてからすぐに後ろの地獄の門がギギギと開き地獄が姿を現した。


 3m級の大鬼族看守の男女が現れる。一人は棍棒を持っており、女性の方は斧を背負っている。


「おいおい兄貴、こいつが例のちっこいマスターか!」


「何か弱そうね。兄貴ホントに従ってるの?」




「紹介するぜ。こっちは俺の弟のイーロン、女の方は妹のアリスだ」


 ただでさえ背が低い僕にとって3m級の鬼族に囲まれるのはかなり圧。

 しかも頭にレイナの記憶がよぎる。


「……アーロンの家族って、みんなこんな感じなのか……」


 身長差とその迫力でかなり委縮してしまう。


 そう気圧されているのを感じたのか、アリスが腕を伸ばす。


「何よ。本当に弱そうだけどこれでマスター?」


 撫でようとしてくるのでマリアとサラが立ち塞がって止める。


「レンに触るのは許さないぞ」


「そうだそうだ!」


 アーロンはそれを見て苦笑する。


「全くお前らがこんなだからレイナがあんな感じに……」


「相変わらず娘に苦労してんのかよ兄貴」


「叔母の影響を強く受けたらしくてな。さぁ話はここまでだ早く中に入るぞ。話を聞きたい」


「あいよ」


 イーロンはそう言うと懐からペンダントを出した。


「見学者用の証だ。外すんじゃねぇぞ」


 そう言って僕、アーロン、マリア、サラ、ケルンの首にペンダントをかけた。




 いよいよ地獄の中身が明らかになる。

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