第86話 闇の街
翌日僕はルドルフとネコマールに誘われてその融資してくれるというところに行くことになった。
まずはギルドがある通りから帝都の大通りを通っていくが、途中いくつかの曲がり角を曲がって行くうちに帝都とは思えない程静かな通りになっていった。
「ねぇ銀行ってこの辺りにあるの?」
「一応帝都の東門の近くで栄えてる所にあるんですが、こっちが近道ですから」
行き慣れている場所なのだろうルドルフは軽快に歩を進めていく。
「ルドルフ殿は博識でござるなぁ」
ネコマールは後ろで笠を被りながら付いてくる。
やがて一同は小さな広場についた。石造りの建物が並んでいる中を見てみるとそこには金貨のエンブレムが付いているところがある。ここが銀行なのだろう。
「あ、ここか」
「ちょマスター!そこは」
焦ったようにルドルフが止めるがその前に扉が押され、中に転がり込む。
中は外とは違う様子だった。狭い店内には大鬼族ほどでは無いが中々威圧感のある見た目の人が多く、その奥にはその中でも特に威圧感のある人が座っていた。見ると女と分かるが、その身体は縦にも横にも大きく口には煙管を持って見下していた。
「なんだいここは餓鬼が来るとこじゃないよ」
威圧感のある女性の声。途端に姿勢を正して尋ねる。
「ここは銀行ですか?」
その質問が奇妙だったのだろう。店主と思わしき女性は高笑いする。
「ハハハ!何ここが銀行かだって?見れば分かるだろうここはアタシが仕切る超高利貸しだよ。カタギが金借りたいなら表通りの商会で個人向け融資でも受けるんだね」
店主は丸々太った指で遠くを指す。
振り返ると扉が全開に開いてネコマールが転がり込んでくる。
「大丈夫でござるか主殿!このデカい化け物主殿を襲うならば拙者が相手に」
僕の前に躍り出て刀を抜き放つ。
「あのネコマール。ここは一応穏便に……」
侍をたしなめてから店主に視線を戻してみると目を丸くしている。店主の視線はネコマールにも僕にすら向いておらずその後ろにいる人に。
「おやまぁ……何をしてるんだいルドルフ」
「お、おっす」
後ろを見るとルドルフが顔を半分だけ出していた。
「よくもまぁ……よくもまぁアタシから借金踏み倒しておいて顔を見せられたもんだね」
え?ルドルフに借金があるって?!
「え~?借金ですか。そんなものあったかなぁ」
「お前が借りていたって証文はきっちり残ってんだよ。耳揃えて返してもらうからね。金が無いならタダ働きで売り払っても良い。野郎ども捕らえちまいな!」
店主の一声で周囲にいた男たちがルドルフに飛び掛かって来る。
「ちょ何で僕らまで!」
「え?ルドルフ殿ここ出禁だったんでござるか?」
慌てる2人を尻目にいつの間にかルドルフは一人ですたこらさっさと逃げていたので。
「人を見捨てないで欲しいでござる!特に主殿もいるのに!」
ネコマールは僕を担いでルドルフを追いに行った。
「ネコマール?場所は分かるの?」
「獣人族は感知に優れているから奴の匂いくらいすぐに追える」
ネコマールはそのままパッパッと駆けていく。いくつかの道をショートカットしてついにルドルフに追いついた。ネコマールは相当な脚力だ。
「はぁ……はぁ……ルドルフ殿見捨てるとは酷いでござる」
「そうだそうだ!」
「い、いや別に俺は二人を見捨てた訳ではなくてですね」
2人が揉めていると、すぐ後ろに見知った気配が。
「匂いを追えるのはアンタらの専売特許じゃないよ」
さっきの女性店主が鎮座していた。前には獣人の男が立っている。
「さぁけじめ付けてもらおうか」
「ルドルフここは諦めた方が良い」
「拙者も同意見でござる」
追い詰められたルドルフが下した決断は……




