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第84話 フィン商会

「まいど~ご注文の品を配送に来たやで~」


 書類を金庫に入れていると、扉を開けてフィン商会のフィンが入ってくる。後ろには木箱を抱えた数人の若い衆を連れている。


「はいありがとうございます。後注文も」


 エレーナさんが出て来て受け取り交渉をする。


「はいこれで定期的に搬入する商品は良いんかね。他にご注文は」


 フィンはそろばんを弾く。


「じゃあ機械部品頂戴」


 フィオナが駆け寄って紙を見せる。


「う~ん。ワイこういう細かい部品は判別付かんのや。後で帝都支店の方で買ってくれるか?」


「え~!せっかく良い所なのに」


 フィオナが地団太を踏んでいるとルドルフが首を向けて来て、聞くチャンスだとでも言いたそうな顔をしているので尋ねてみる。


「あのフィン商会って馬車取り扱ってるの?」


「ん馬車?馬車馬車……あ~今は持って来てないけど帝都内の支店にはあったかもな。どうやったっけアニー?」


「そうですね。馬車は帝都の西門の辺りに集まってますよ。少し遠いですが」


「遠いどころかこのギルドの真反対の方角やね。まぁあっちの方が商業的には栄えとるんやが」


 フィンは後ろの身内と話している。


「じゃあ今見に行けるかな?」


「見るだけならええんちゃいますの。買うとなると色々用意する物もあってすぐはきついけど」


「じゃあアタシも行くわ。あそこならいろいろ置いてるでしょ?」


「値切りなら俺に任せてください。アッチにはコネがありますんで」


「二人が行くなら私も行こうか。見たいものもあるし」


 フィオナやルドルフ、マリアも付いてくるようだ。


「じゃあ……ワイが案内するわ。お前ら残りは常連のルートやし、ワイいなくても行けるやろ?」


 フィンは後ろにいた従業員にあれこれ指示をする。


「じゃ後でアポ取っておくわ」


 こうして一同で馬車を探しに行くことになった。




 フィンの所属する商会の本部は貴族の屋敷と間違えるほどの大きさだった。建物は石造りで5階建て、しかも前面は西門と東門を結ぶ大動脈に隣接しており、そこからは巨大な門が口を開けていた。一方で後方はと言うと帝都に流れ込む運河に面しており水陸両方から商品を搬入する一大拠点になっている。これではまるで巨大な要塞のような……


「どうやデカいやろ?ワイの生まれたころから変わっとらんわ。後これにデカい倉庫が帝都と後いくつかの都市にあるで」


 フィンは自慢げに言った。門には大鬼族の私兵が立っており僕らを睨んでくる。


「フィン様。こちらの者たちは」


「彼らは顧客とその一味や。扉を開けろ」


「畏まりました」


 重そうな扉を開けると中は狭い庭になっていた。


「まぁ怖い奴らやけどしゃーない。実際ここは帝国の最重要施設並みの警備や、半端な貴族の屋敷の警備とはちゃう」


 フィンはそう苦笑して手である場所を指し示した。


「ここは高級品エリアや。あそこに馬車が固まっとるから見るとええで。後他の商品はこっちの建物で見たらええ。卸売価格で安くなるかもな」


 フィンが紹介していると建物からある人物が現れた。

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