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第83話 乗合馬車

 僕はマリアと廉価な乗合馬車に乗っていた。


「ところでレンは一体あのギルドに何を取って来たんだ?」


「あぁ……少し調べたいことがあってね」


 腕に抱いた封筒の中にはカナタ経由で手に入れたとある書類が入っている。


 大分前になるがこの帝都にグラント率いる魔物軍団が襲ってきたことがあった。あれは何が目的だったのかについては知らないが、あれだけの規模の魔物を隠しておくにはグラント一人では無理なはずだ。きっとどこかに有力な協力者がいる。そう思って独自ではあるが調べ始めた。


 その資料をルーン子爵からでも提供してもらおうかと思ったのだが、どうやらあのデータは法務局に保存してある上に子爵は僕のことを嫌っていそうなので直接ではなく、カナタのコネで手に入れた。




「そうか。ご苦労なことだ偉いぞ」


 マリアは馬車の中で僕の頭を撫でた。子ども扱いしないで欲しい。


「あの子ども扱いしないで……」


「そうか?私はもう1000年近く生きているからレンほどの年齢など赤ちゃんにしか思えんが。大体ルナだって私の半分も行っていないからな」


「え?そうなの?!」


「まぁこれでも私は今まで大分色々な経験をしてきたんだ」


 マリアが誇らしげに胸を張ると、向かいに座っている男性たちの邪な視線が集まる。


「例えば向こう400年はこの手の視線に晒されてきたから慣れている」


 隣からマリアの軽い殺気を感じる。今日は外征じゃないから武器を持ってないけど。


「まぁ触れられたら腕力だけで何とかするが」


「ダメだよ。そんなことしちゃ」


 僕が慌てて止めるとさっきまで視線を向けていた人たちがヒっと縮み上がる。


 マリアはそれを見てため息をついてから僕の方を向いて。


「大体ウチのギルドは馬車も持っていないのか。これじゃ外征に不便だろう」


「前にドライアに行った時もフィン商会の馬車に相乗りした形だしね。あ、サソリがいるか!」


「あれは何だかんだ言ってレン一人用な上に今は大砲撃った反作用で吹き飛んで修理中だろう。外征の移動には向かない」


「う~ん。後でエレーナに相談しなきゃ」




 このまま馬車から降りてギルドの前につくとフィオナがメカを直しつつ改造していて、それをルドルフが見ていた。


「あっマスター!お帰りなさい。さっきサラシルフィは依頼に行ったわ。日帰りで帰って来るでしょ」


 フィオナが顔をあげて挨拶して来た。


「シルフィは依頼か。そう言えばルドルフ」


「何ですか?」


「この辺りで馬車売ってる所ってある?」


「馬車ですか……フィン商会ならあるんじゃないですか?無くてもあそこは顔広いですしどっか紹介してくれるでしょう」


「フィン商会か。そう言えばそろそろまた注文取りに来る頃だね」


 僕は壁のカレンダーを見た。

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