第79話 決着vsウォレン男爵
再び舞台はライゲート邸の中
僕はウォレンの前に立ち塞がるが、これでも武道の心得なんて何もない。すぐに蹴り飛ばされてしまう。
「どけ三下」
「本当の三下は……どっちだ卑怯者!」
僕は息苦しさの中でそう叫ぶ。
「主殿!」
「レンちゃん!」
ネコマールとルナも反応するがそっちはそっちで騎士の相手をさせられている。
「お前がマスターか?こんな弱そうなのにか」
ウォレンは僕の髪を掴んで揺さぶった。
「俺も別に自慢できるほど肉体が強いわけじゃないけどよ。この程度簡単に捻れるぜ?」
ウォレンはそうほくそ笑んで僕を殴りつけた。
「がはっ!ごほっ!」
幸運値で致命傷は避けられている、だが痛覚まで遮断は出来ない。僕は吐血してしまった。
「何でこの程度でマスターなんかできるんだろうな?」
「貴様……」
「落ち着いてネコマール!」
僕が怒るより先にネコマールがキレる。
「しかし主殿は危機に瀕しているのですぞ」
「ぼ、僕はギルドマスターだから後ろの公爵たちを守らなきゃ……」
「まだ言うかクソガキ!」
ウォレンの拳が振り上げられ……それは扇で受け止められた。
「なにっ!」
「もうそこまでにしな。ウォレン男爵」
「カナタ……」
止めてくれたのはカナタだった。
「強い弱いで人を測るものでは無いよ」
「うるせぇ!アンタだって侯爵の倅だからやらせてもらっているだけの癖に」
ウォレンは未だ黙らない。
「それは本当にそうか?」
カナタの後ろには倒された騎士が……
「この扇は特別製でね。扇げは涼しいし、切ろうと思えば悪党の肉はスパスパ切れる仕様なんだよ」
カナタは扇をちらりと光らせる。
「黙れ!」
ウォレンが騎士に命令を出そうとした瞬間。扉が飛ばされる。
皆の視線が扉に移る。力が弱まったので僕はウォレンの腕を振り払う。
その先に居たのはアーロン、ルドルフ、マリア、そしてその最前列にいる少女……
「ホ、ホムラ隊長!」
ハロルドは急に驚いた声を出す。
「やぁハロルド。随分と醜態を見せたようだね」
あのハロルドが恐れる存在って一体……
「や、野郎どもやっちまえ!」
ウォレンの一言も意味なく騎士は全て吹き飛んだ。ホムラとかいう隊長の一発の拳で。
その姿に驚いているとフィオナが現れて僕に何かを投げる。
「マスター!これを受け取って!」
投げられたのは刃だった。
「これはアンタ様に調整した武器よ。才覚が無くてもアンタの身体の動きに合わせて勝手に戦ってくれるわ!」
フィオナがとんでもないことを言い出すと同時にぴかりと光りだし、刃は勝手に動き出す。
「何だお前!剣術使いだったのか?」
ウォレンは騎士から奪った剣で応戦するが、自動操縦されている刃の方が上だ。どうやら彼自身の実力が低いというのは本当の事だったらしい。
剣の自動操縦優秀で、は相手の剣に応戦してくれる。
「死ねクソガキ!」
ウォレンの本気の剣は……振るわれる前に彼の脇腹に刃の一撃が打ち込まれた。
「ごほっ……」
ウォレンが気を失うのに時間はかからなかった。
「た……倒した」
僕がそう呟くと辺りから歓声が上がってくる。
「流石マスターだ!」
「本当に首謀者を討ち取ってしまったぞ!」
呆然とする僕の肩にルナが手を置いてくる。
「流石ねレンちゃん。私が育てただけのことはありますわ」
「い、いえそんなことは」
「それでお願いなのですけど。あなたの血を吸わせてくれます?」
そのままルナは倒れるようにして僕の首筋に噛みついた。
「「「あーっ!マスターの血を吸ってる!」」」
ウチの女子勢から不満が飛んできたのは言うまでもないだろう。




