表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/95

第54話 王城の反応

「はぁ~マスターもわがままよ。まぁ実年齢子供なんだし仕方ないけど。アーロン頼むわね」


 フィオナは近くにいたアーロンに大砲を抱きかかえて持ち上げるように言う。


「よっと。これをマスターの所に上げればいいのか?」


 アーロンは上に投げようとするがフィオナは慌てて止める。


「バカね。疲労してるアンタの身体でそんな雑に扱ったら壊れるわよ!」


「じゃあどうするって言うんだ」


「そうねぇ」


 フィオナは周囲を見渡す。するとそこに鳥の群れがいたことに気づく。


「これ古代の遺物の残りだけど使えるかしらね」


 フィオナはカバンから呼び笛を出して吹いた。


 笛は低い音を立て、それに反応したかのように鳥の群れの一部がやって来る。




 この鳥はハコトリと言って市街の周囲に住み着く友好的な魔物であり、いつも衛兵を始めとした管理者から餌をもらう代わりに市内に物を運んだりしている。


「ピッピッピッ!」


「これをあっちに運びなさい。餌は後払いよ」


 フィオナは大砲を足に結び付けると飛ばしていった。


 フィオナは残った鳥を見ていた。その鳥は動かなかったがそれも当然であろう足を見ると何か付いている。これが映像録画用の魔道具だというのは言うまでもない。


「城の貴族連中は安全圏から見物ですか。いいご身分ね」


 フィオナはそう呟いた。




 ここは帝都の大広間。中では帝都から出たこともなさそうな大貴族たちが抱き合って怯えている。


 一番奥の椅子に座っていたのはこの帝国第15代皇帝ケイン・コートバーグ3世である。服は高価なものを着て座っているが決して指をくわえて見物していたわけではない。


 ガタガタガタ。


 彼の足は震えていた。しかし決して画面の奥の怪物に怯えていたわけではない。


 スッ


 彼の腕が玉座のすぐ近くに刺さっている剣に伸びる。


「お止めください陛下」


 すぐに止める声がある。止めたのは橙色の髪をした女性でケインの玉座のすぐ前を陣取っている。


「止めるなリン。今は帝都の一大事だワシが動かねばならん」


「関係ありません。今の貴方様はギルドマスター兼冒険者ではないんですよ?一国の主として、支柱としての役割を果たしてください」


「そうワシは一国の主だからこそこれで動かねばワシは『高みの見物ですか?』とボロボロに言われるに決まっておるわい!」


 ケインは焦っていた。そして興奮していた。今画面の奥で新人ギルドマスターが魔物を討伐しているのだ。そこに参戦できないことを悔いていた。もし国王の縛りが無ければ今すぐに飛んでいきその剛腕を振るったであろうに。


「リンよ。ワシは元ギルド所属として闘いたい。行くぞワルド!」


「お言葉ですがそれは一国の皇帝のすることではありません!」


「別にワシも皇帝になりたくなかったわ!そもそも当初はワシが継ぐ予定じゃなかったんだしのう!それをあの事件で……」


 ケインは静かになった。大貴族の一部も顔を俯ける。




 ケインは先々代皇帝の5男でありそもそも継承順として皇帝になることは難しく、そもそも彼自体もなる気は無かった。適当に名義上の爵位でも貰った後は城にいた悪友たちを誘って外に出て冒険者をすることにした。父である先々代皇帝の病死後も先代だった兄の即位を助け、王家の一分家として生きていたのだが……


 事件が起こり、先代皇帝とその妃幼い皇太子を喪ってしまったのだ。いきなり兄と甥を喪った彼は困惑したが、困惑はそれで止まらなかった。何と今皇帝になれそうなのが先代皇帝の弟であるケインしかいなかったのである。元々ギルドマスターとして信望もあった彼を推す声も多く、彼は半ば仕方なく玉座に着いたのであった。




「てかもう五体倒れてんのか。あぁ~戦いたかったなぁ」


 ケインはそう残念そうにつぶやいたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ