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第53話 集中攻撃

 ケルンは両側に手甲を付けて回転しながら突っ込む。


「これでも食らいやがれクソドラゴン!」


 ケルンは目の前の敵に対し手甲で引っ掻いていく。


 巨体なドラゴンに捨て身特攻を仕掛けるのはどう考えても不利だと思うのだが……


「ケルン。アンタじゃダメだから退いて」


 シルフィは後ろで飛び上がって短弓から矢を射かけ続ける。空中から器用な姿勢で四方八方から撃つので僕は感心してしまった。流石に傷をつけるに至らないが刺激は受けるようでドラゴンは身をよじらせる。


「マスター。やって」


「分かったよ」


 シルフィにそう軽く叱られ僕もメカに置いてあるボタンを押す。


 サソリの鋼鉄の両鋏が開いて中からエネルギー弾が撃ち出される。正直精度無視の乱発だが……僕の幸運補正と命中率なら全て着弾できる!




「マスター!メカの尻尾には高濃度の毒と痺れ薬が入ってるわ!数は少ないけどね」


 サソリメカのダッシュボードからフィオナの声が聞こえる。どうやら事前に通信用の魔道具を仕込んでいたらしい。


「分かった。ケルン!今から毒を打ち込むから退いて!」


「おうよ!」


 ケルンはドラゴンの皮膚に着地すると一気に跳躍した。本当に高い身体能力で羨ましい。




(これは数が少ないから慎重に撃たないと……)


 僕がレバーを操作すると尻尾から一発の矢が打ち出される。シルフィの物より大きいがそれはシルフィの矢より勢いがある。その一発は……


 ドラゴンの鱗と鱗そのわずかな隙間に命中した。そして痺れ薬が注入される。




 ドラゴン自体が薬の効果で興奮状態にあり、血の巡りが早まっていたことが結果的に功を奏したのかドラゴンの身体は少しずつ痺れて言っているようだ。


 だがまだ安心するには早い……


「相手は薬を分解できるかもしれない」


「流石ドラゴン一筋縄ではいかないかぁ……」


「なら私が撃つ」


 シルフィは傷を狙って大量の矢を打ち込む。


「ぎゃお!」


 ドラゴンはその攻撃を受けるがまだ攻撃性は収まらない。


「このまま殴り合っても互いに疲弊するだけ。何とか落ち着かせられないかな?」


 僕は下のフィオナに聞いてみる。


「一応鎮静剤も搭載されてるけど……正直あちらの撃ってる薬の成分が分からないことにはどうしようもないわね。下手を打って飲み合わせが悪かったらどうしようもないし」


「なら無理やり撃ち落としたら成分分かる?」


「まぁ……やること自体はできるけどこれだけの怪物を殺さないで落とすのはキツイわよ?例えば相当な一撃を打ち込むとか」


 フィオナはそう告げる。相当な一撃ねぇ……シルフィもケルンも一撃必殺型じゃないからなぁ。




 僕は少し思案してあることを思い出す。


「そう言えばあの時廃倉庫半壊させた時に撃った魔導砲ってまだ使えるの?」


「研究所よ!まぁ一応今も持って来てはいるけど」


「ちょうだい。それを至近距離から打ち込むから!」


 それを聞いてフィオナは驚愕した。


「いやアンタ馬鹿?そんなことしたらとんでもないことになるわよ!」


「大丈夫ギリギリ死なないくらいに撃つから」


「あのアタシが問題にしてるのはそういうことじゃなくて……」


「今二人で粘ってて正直時間がないんだ!頼むよ!」


「はぁ……分かったわマスター」


 フィオナはついに折れて僕にその砲台を貸してくれることになった。

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