第48話 ルドルフvsワイバーン
ネコマールが魚を捌いた少し後、上空ではルドルフがワイバーンの炎を受けていた。
「ギャオオオ!」
ワイバーンは炎を放ってくる。浮遊魔法で浮かんだルドルフはあちこちに避けていくが相手の炎の勢いは強くいつ下のリザードマン達に飛び火するかも分からない。
「しかしまぁ魔法使う魔物の中でも上位のワイバーンとはいえこんなに魔法撃ってきちゃって疲れないのかねぇ……」
ルドルフは黒スーツの上に魔術師を示すローブを羽織っておりローブのポケットには魔導書が詰め込んである。そこには一切の汚れが無かった。
それを煽られたと感じたのかワイバーンは炎の勢いを増し、あちこちに撃ってくる。
「さてと遊びも終わりか……下見ると皆、ネコマールとかも真面目にやってるしな。炎魔法ファイアボール!」
ルドルフは左手から火球を出すが、ワイバーンは炎で打ち返す。
「流石に初級魔法は耐えきるか……じゃあこれだ火炎斬!」
ルドルフが左腕を払うとそこから炎の回転刃が飛んでくる。
「まだまだ!」
右腕と両足も振り込み合計四つの刃を撃ちだす。ルドルフがネコマールを参考に生み出した技だ。
しかし……それもワイバーンの炎で打ち砕かれる。
「フハハ効くとでも思っていたのかそこのヒョロガリ男!」
いつの間にかグラントがドラゴンに乗って浮かんでいた。
「このワイバーンは火山の中央に棲んでいたのを奪ってきた。下手な火炎なんか慣れっこだぜ」
「アンタに聞いていないんだがな……」
ルドルフは睨みつける。
「フン。俺は忙しいお前はせいぜいコイツに喰われて死ぬんだな!」
グラントはそう言いながら下に攻撃を放つ。そこにはレンがいた。
「マスター?!」
ルドルフが気を取られた瞬間が命取りだった。
ルドルフを巨大な爪が襲う。
「ワイバーン……そうか近接攻撃もできるか」
ルドルフは近接格闘に弱いそこを付けこまれたら一気に情勢が不利になる。
「まぁ……この程度の攻撃アーロンならすぐ避けるけどな!」
ルドルフはそう叫んで一気に上に逃げた。そしてそのまま頭を飛び越えワイバーンの背中に着地する。
「ギャオオオ!」
ワイバーンは振り落そうとするがルドルフは動じない。
「フン。上に乗ったか確かに火炎は届かないが逆にコイツの火炎でも落ちまいよ」
グラントは嘲ける。
「それはどうかな?」
下にいたレンはグラントにそう言い返す。そこである一声が出た。
「岩魔術。石鎧付与」
途端ワイバーンの翼が石化する。
「バ、バカなコイツは炎属性の使い手のはず……」
グラントは衝撃を受ける。
この世界では魔法使いは基本魔術と属性魔術の二種類を用いる。基本魔術は無属性の術で飛行や防御移動などに用いる誰でも使える魔術だが、属性魔術は特定属性に適性のある人間しか使うことができない。例えばサラは雷属性の魔術を使い、ネコマールは風属性の魔術を用いる。ルドルフはさっきまで炎を放って戦っていた。当然属性は炎のはず……それがなぜ岩魔術を使える……
「複数属性適合者って知ってるか?」
「複数属性適合者……あの二属性魔術を自由に行使できる特殊技能。それをまさかお前が……」
「そうさ。俺のことをあんまりなめるとお前も墜落するぜ」
ルドルフはダメ押しで空中に巨大な岩を作り上げるとワイバーンに上から撃ち落とした。
「ギャオオオ!」
堕ちたワイバーンは湖の中に落ちていった。
「ちょ、ルドルフ殿!急に上から降らさないで欲しいでござる」
「あぁ悪い悪い。いいじゃねぇか今度からはこの石が池の守り神でよ。お前巨大魚解体しちまったんだろ?」
「そ、それは……」
こうしてワイバーンはカーム湖の新たな守り神となったのだった。




