第46話 サラ&フィオナvs巨大スライム
サラはスライムの弾幕を避けていた。このスライムはサラを敵として認識したらしく、飲み込もうとしてくる。それをサラは高スピードで避け続けていた。
とは言ってもサラには手足が二本ずつしかないのに対し相手のスライムは不定形腕を百本でも生やすことができ全てへの対応は厳しくなっていく。
サラは一本の触手を見逃してしまった。爆速の触手が襲い来る。
「くっ!」
「これでも食らいなさい!」
後方から魔導砲の一撃が飛んでくる。
それはすぐにスライムの触手を吹き飛ばした。
「フィオナありがと!」
「サラ気を付けなさい。このスライムは触れたものを溶かすわ!これで消化する気ね」
フィオナの警告を聞き足元を見るとスライムを被っている所だけ草が剥げている。
「りょ!フィオナも気を付けて」
「分かったわ!魔法技師として強いスライムを体感してみたかったのよ」
「興味が行き過ぎて死なないようにね……」
サラは苦笑した。
一般的にスライムは最悪素人でも倒せることが多い低ランクの魔物とされているが、それは小型で知恵の無い一般スライムの場合である。今二人の目の前にいるスライムなど大きい種に関しては難易度が跳ねあがる。自由自在に形を変え、心臓部である核を瞬時に移動させることができ、更に種類によっては体液自体が強力な毒や酸になっていることもあり、舐めてかかれば逆に足元をすくわれることになりかねないのだ。
「ねぇ。このスライム厄介すぎ!何回核が動くん!」
「そうねぇ……この手のスライムは凍らせれば核が固定できるわ。今冷凍弾を撃つわ!」
フィオナは冷凍弾を魔導砲にセットする。
「これは企画が合えば複数の種類の弾を撃ち分けられるのよ。いちいち詰め直すのが面倒だけどね!」
そう言ってフィオナは弾を撃ち込んだ。途端にスライムは凍っていく。
「よしこれで全部凍っていくはずよ!」
フィオナはドヤ顔をするが……
「フィオナ上!」
サラが叫んだ。慌てて上を見るとそこにはスライムの食指が……あまりにも大きすぎて凍るのにも時間がかかってしまうらしい。
「なっ……」
フィオナはそのまま飲み込まれてしまった。
「あっ……フィオナ。入って一番新人なのに亡くなっちゃって……」
サラは目に涙を浮かべる。先ほど彼女が言った通りならこの酸で彼女の身体は溶けてしまっているだろう。
いや、それは彼女が一般人であった場合だ。
「何よサラ!アンタに弔辞を読まれるいわれは無いわよ!」
フィオナは生きていた。片手に缶を握りながら……
「はぁ……スライム研究用にこの薬品持ってて良かったわ……」
彼女の手には強アルカリ性の薬品があった。それは単体では毒だが強酸に放り込むと違う。酸を中和し中性の無害な液体に変えることができるのだ。
「さぁサラ!とっととやっちゃいなさいよ!」
いつの間にかフィオナの上部に核があった。
「りょーかい!」
サラは飛び掛かりスライムに短剣を刺す。しかしスライムも残った少ない身体で何とか抵抗しようとする。しかし……
「雷撃!」
サラの体内電気を短剣を通じて注入する。スライムを構成する液体は電導性だった。すぐに身体中に電気が流れそれは核にも直撃、核は砕け散ったのだった。
「はぁ……終わったね」
「うん。始めて組んだ割りには上手くできたわね」
「でもウチがいるのに後ろからバンバン打つのは反則じゃね?」
「アタシがいるのに電撃放った人に言われたくないわねぇ」
二人は静かに苦情を言いあった。何はともあれこれで一体目の魔物は討伐できたのだった。




