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第35話 あまりにも危険すぎる研究所(後編)

 僕らが慌てて様子を見に行くとがフィオナさんが大男と対峙していた。


「おいお前ら動いたらどうなるか分かってんだろうなァ」


「賊……フィオナが警戒していたのはその為だったのか」


「今気づいても遅いな。オラ!」


 小刀を振り回す。


「お前らがどう動こうが流石に俺の刀のスピードには付いてこれまいよ」


 賊は大笑いする。



「マスター。ここは俺が」


 後ろに控えているルドルフはそう告げる。僕が返事をする前にフィオナが止めた。


「待ちなさいよ!ここには色々あるわ。アンタみたいな良く分からない魔術師に魔法を撃たれたら何が起こるかは分からない。下手すれば最悪の方の奇跡の連鎖が起こって帝都ごとドカンよ!」


「何でんな危険なもの作っとんじゃァ!」


「仕方ないでしょ!憧れは止められないのよルドルフ!」


 僕の後ろで若者二人が言い争う。


「レン殿争っているものは脇に置いておいてここは拙者に」


「いや相手は仲間がいるかもしれない。今ネコマールが行くのは不利すぎるよ」


「うぬぬ……」


「僕に策がある。皆聞いて!」


 僕は三人を近づけて作戦を言う。


「はぁ?そんな作戦が成立するわけないでしょ?バッカじゃないの?」


「フィオナお前ネコマールのことをこき下ろすのは勝手だがマスターのことをバカにするのは許さないぞ……」


「はぁ?アンタついにこんなチビの言うこと聞くようになったの?自称帝都最強候補の魔術師様も堕ちたわねぇ」


「フィオナお前!」


 僕の後ろで若者二人の喧嘩が激しくなった。はぁ……


「あの二人とも状況が状況なんだからさぁ……喧嘩止めてよ」


 そう振り返って僕は注意する。




「ハハハ!オイ見ろこいつ等喧嘩してるぜ!」


「アニキの目の前で喧嘩するなんて馬鹿な連中ですねぇ」


 二人の盗賊は目の前の醜態を笑っている。しかしそのせいで他の影に気づかなかった。


「バカなのは貴殿らでござるっ!」


 あちこちに積まれていた材料の影から飛び出すものあり。隠れていたネコマールである。彼は小さな体を活かし二人がケンカしている間に少しづつ視界の外から迫って来たのだった。人は思ったより視界が狭い、ましてや奥の喧嘩に気を取られているならなおさらだ。二人に喧嘩をさせ視線を釘付けにしつつ。材料の陰に隠れたネコマールが襲うという作戦だ。


「アニキ!」


「このぉ!」


 急に現れた男に対応は間に合わず、ネコマールは三毛丸で背の高い男を殴り倒す。


「クソ!この研究所には最新の研究成果があるとか聞いて来たのに。こいつらが居やがるのかよ」


 アニキと呼ばれた男は怒りながら小刀でネコマールの刀を受け止める。


「これでも剣で身を立てる者……斬るのは簡単でござる」


 ネコマールはニヤリと笑うが後ろから「その必要はないわ!」とフィオナの声がしてきたではないか……


「え?」


 フィオナは巨大な大砲を持って来ていた。


「これを打ち込んであげるわ!」


「え?魔法は断ったんじゃ……」


「魔法はダメだけどこれの試作運用はOKよ!」


「ええ?拙者いるんですけど……」


「関係ないわ。じゃあ行くわね」


「ちょ待ってフィオナさん。てかレン殿も止めてくださ……」


「ネコマール……頑張れとしか言いようが無いよ」


「ちょ……」


「発射!!」


 ネコマールの嘆願も意味はなくフィオナの魔導砲が発射され賊二人とついでにネコマールを吹き飛ばした。

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