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スクリーム・ノート II  作者: 藤沢凪
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六十四頁    猫 拾参   『偵察』

 六十四頁

 

 猫 拾参

 

『偵察』

 

「わんちゃん? 提案があるのだけれど?」

 

 放課後、女神が早々に帰った後、隣の席で突っ伏しているわんちゃんに話し掛けた。

 

「はぁぁぁぁぁ……あっ⁉︎ んだよ?」

 

 何かめっちゃ怒ってる。あと、何かに安堵している。

 

「猫だって、昨日の事は反省しているんだよ。いい加減機嫌を直すんだよ。いつまでそうやっていじけているか? 猫だってわんちゃんに、お前と仲良く思われたく無い、とか余程の事言われてるんだよ」

 

 わんちゃんは猫を睨み付けた。

 

「じゃあ話し掛けて来んなよ! 色々あってメンタルヤベェんだよ‼︎」

 

 わんちゃんは頭を掻きむしった。

 

「全くわんちゃんは。一日でそんなメンタルマックス下げられる筈無いんだよ。意地張って無いで猫と仲良くするんだよ。そうすればまだ想い人との発展にも期待が出来るってもんだよ」

 

「そのあたしの想い人とてめぇが付き合ってんだろぉが?」

 

 ウーハーを繋いだかの様な小声の重低音で威嚇して来た。前の席に天羽が居るから大声を出したく無かったのだろう。

 

「なぁ天羽よ? ちょっと三人で話さないか?」

 

「はっ? 猫宮お前⁉︎」

 

 クククッ。わんちゃんは単純なんだよ。天羽さえ絡ませればこっちの思い通りに動いてくれる。

 

「ね、猫宮さん……昨日あんな事があったのに、よく普通に話し掛けれるね?」

 

 あんな事だと? お前が尻尾を巻いて逃げた事柄を言っているのか? 何故猫がその事に負い目を感じなければいけない? 告白して来た癖に、いざエロい事をしようとしたらヒヨッたお前が悪いんだろ⁉︎

 

「き、昨日、あの後何かあったのか……あ、アァァァァ……聞きたく無いよ」

 

 わんちゃんだいぶ弱ってんな? 使い物になるのか?

 

「な、何も無い‼︎ 琴子ちゃん、信じて?」

 

「あ、天羽……」

 

 二人で喋るなよ気色悪い。天羽が邪魔だが、もう秘密とかどうでも良いだろう?

 

「ねぇ? 鬼釜って子に直接話し聞きに行くんだよ?」

 

 犬猫探偵団とか言いながら、大した調査などしていなかった。兎咲が何故首輪して散歩させられてたのか気になるし、兎咲ずっと休んでるし。二組の鬼釜とかいう物騒な苗字の子に直接聞きに行った方が早く無いかな?

 

「馬鹿お前! 今そんな話し……」

 

「鬼釜? な、何の話しかな?」

 

 天羽が食いついて来た。

 

「まぁ色々あって、猫達は鬼釜という奴に興味があるんだよ」

 

「あたしは無い‼︎ もう、これ以上変な奴らと関わるのは嫌なんだよ……」

 

 わんちゃんが声を震わせながら言った。

 

「変な奴だろうけど、だって——」

 

「それ以上言うな? マジでぶち殺すぞクソ猫が‼︎」

 

 この女、自分が良ければ他人はどうだって良いってのが見て取れるんだよ。わんちゃんは、本当に性格悪いんだよ。

 

「……美穂ちゃんと、関係してる?」

 

「美穂ちゃんとは誰の事を言っている?」

 

「う、兎咲さんの事……」

 

 あいつ美穂という名前だったのか? 初耳なんだよ。ってか天羽よ、お前直感良すぎないか?

 

「あ、あの! 天使⁉︎ な、何でも無いんだ! 忘れてくれ! 帰ろう。もう、もう……今日くらいは平和に帰ろうよ?」

 

 わんちゃん必死だな。

 

「へ、へぇー……」

 

 何だそのリアクションは天羽よ? 悟った様な振る舞いはやめろ。

 

「わんちゃんもこう言ってる事だし、今日は帰るか。一緒に帰るか天羽よ?」

 

 結構近所だし、最近コイツの株少しは上がったし。

 

「いえ。鬼釜さんに会いに行きましょう!」

 

「はっ?」

 

「へっ?」

 

 急にどうした?

 

「別に話し掛け無くても良い! ただ、二組は隣なんだし、その子の事見に行こうよ!」

 

 コイツ鬼釜とかいう奴の事知らなかったんだろ? 何故、鬼釜が二組だという事を知っている?

 

「て、天使……鬼釜に、興味があんのか?」

 

 わんちゃんが恐る恐る聞いた。

 

「無い、けど……美穂ちゃんの事、心配だから」

 

 先程わんちゃんが兎咲とは関係無いと言ったばかりなのに。わんちゃんの言葉など耳を通らぬか? 何かわんちゃんが可哀想になって来たんだよ。

 

「まぁ猫も、鬼釜がどんな奴か気になってたんだよ」

 

 猫は、小鳥がまだ怖い。なので声を掛けられない様に、学校の外まで誰かと一緒に居れれば他の事はどうだって良いんだよ。小鳥はたまに早く帰る時もあるけど、今日はまだ教室に残って居るんだよ。

 

「あたしもあんまり知らないんだけどね。鬼釜って奴、あんま良い噂聞かないんだよ」

 

「二組を覗いてみよう!」

 

 いつの間にか天羽に仕切られ、帰り支度を済ませ二組を三人で遠目から覗いてみた。すると、あの時兎咲の首に繋がれたリードを引いていた、性格の悪そうな女が三人程のクラスメイトと話しているのが目に入った。

 

「あっ、確かにあの女なんだよ!」

 

「……よし、覗きも終わったし、そろそろ帰ろうか?」

 

 わんちゃん相当ビビってるな? まぁ猫もあの女に特に興味がある訳じゃ無いし、誰かと教室を出るという目的は果たしたのだから、駄々をこねる必要など無いのだよ。

 

「待って!」

 

「へっ?」

 

 天羽よ? まだ何かあるか⁉︎ もう十分なんだよ。そういえばコイツ、変な所意固地な所あるんだよ!

 

「話し掛けに行こう」

 

「えぇっ⁉︎」

 

 わんちゃん五月蝿いんだよ⁉︎ その声でバレてしまうんだよ‼︎ あと天羽よ、そんなに気になるのなら、お前一人で声を掛けに行って来いよ。

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