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スクリーム・ノート II  作者: 藤沢凪
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六十一頁    猫 拾弐   『特別な関係』

 六十一頁

 

 猫 拾弐

 

『特別な関係』

 

 兎咲が首輪をして散歩させられている光景を目の当たりにしてから何日程経ったのか? 猫の曜日感覚では、とてもじゃ無いけど出せぬ答えであった。

 

 授業も終わり、皆が帰り支度をし始める。猫はその支度を早々に終わらせ、わんちゃんを待っていた。のだが……

 

「わんちゃん? もう出れる?」

 

「はっ? 待ってたとか言いたい訳? いいよ、一人で帰れよ」

 

 えぇぇぇぇぇっ⁉︎

 

「な、なァァッ? どういう事か⁉︎ 犬猫探偵団を発足してから、また毎日一緒に帰ってくれたでは無いか⁉︎」

 

 契約違反なんだよ‼︎

 

「まずあたしは、犬猫探偵団などという謎の団体に所属した覚えは無い。そして、あれから四日程経ったが、何の成果も得られていない。ただお前と一緒に下校するだけになっている」

 

「そ、それの何が悪い⁉︎ 猫と下校するのを何故嫌がるか⁉︎」

 

 猫が駄々をこねていると、わんちゃんが猫の耳元に近付き、周りには聞こえない様な小声の嫌味ったらしい声で言って来た。

 

「お前と仲良いと思われるのが嫌なんだよ……」

 

 ニャァァァァァァァァァァァァァァァアッ‼︎

 

 何だこの女⁉︎ 自分の事を棚に上げやがって‼︎ お前がどれほどの女か⁉︎ まぁ……ご両親はとても良い人だったけど……わんちゃんは両親の優しい血を受け継がなかったんだよ。そうだ、こちらには天羽という駒がある。可哀想だから内緒にしていたけれどもう関係無い。猫を軽んじた罰なんだよ。

 

「そっかそっかぁ! じゃあ天羽、邪魔者も居なくなった事だし、一緒に帰ろうか?」

 

 今日は女神が早々に帰っていたから、周りには猫とわんちゃんと天羽しか居ない。ってか、女神何か元気無かったけど、何かあったのかな?

 

「えっ、猫宮さん? あの、その……」

 

 ふさけるな‼︎ すぐにオーケーしろよ⁉︎ 猫とお前は、恋人同士だろうが⁉︎

 

「はっ? 馬鹿かよ猫宮お前? 天使がお前と二人で帰ってやる訳ねぇだろぉが⁉︎」

 

 その言葉の中に、苛立ちと焦燥が見て取れる! いいぞいいぞ、今日猫は、わんちゃんに復讐してやるんだよ!

 

「猫とお前は特別な関係だろ? 他に用事があったとしても、猫の誘いを優先させるんだよ。当たり前の事なんだよ‼︎」

 

「そ、そうなんだけど……そ、そんな、復讐の道具に使われるのは、佑羽、何か嫌だな。なんて、へへっ……」

 

 ね、猫の心の内が読まれてる⁉︎ こ、この女、そこまで猫の事を……

 

「へっ? えっ⁉︎ 天使と猫宮が特別な関係? な、なにそれ? なにそれナニソレナニソレナニソレナニソレナニソレェェェェェェエッ⁉︎」

 

 あっ、壊れた。

 

「落ち着くんだよわんちゃん! 哀れなんだよ……」

 

 ちょっと可哀想になってしまい、猫にとって精一杯の優しい言葉をわんちゃんに掛けてあげた。

 

「うっせぇわ‼︎ 何で天使がテメェみてぇな馬鹿と特別な関係かって⁉︎ あっ! 分かった分かったぁ! 天使が優し過ぎて底辺でバグ起こしてる馬鹿に歩み寄ってあげたんだ! ねぇ? そうでしょう⁉︎」

 

 馬鹿馬鹿言うなよ。猫の優しさを、ここまで蔑ろにするかこの女は⁉︎

 

「猫と天羽は、付き合っている」

 

 …………

 

 沈黙。それを切り裂いたのは、わんちゃんだった。

 

「嘘、だよね……?」

 

 天羽? 次はお前が答える番なんだよ。

 

「ゆ、佑羽は、別に……」

 

 別に⁉︎ おい、やめろ‼︎ どういう事なんだよ? わんちゃんが可哀想になったか? 愛する者を最優先に考えろバカタレが‼︎ ここまで言って猫の戯言扱いにするつもりか⁉︎ いくつ心を傷付ければ気が済むんだお前は⁉︎ 全くもって、生きる害悪なんだよ‼︎ ここは素直に猫のご機嫌を取っておくべき所だろ‼︎

 

「えっ? へへっ、天使?」

 

 気持ち悪っ‼︎ わんちゃんキモい。

 

「猫宮さんとは何も……」

 

 天羽よ……これだからこの女は⁉︎ 信じ無くて良かったんだよ。信じていたら酷い目に遭っていたんだよ。やっぱり、何かの間違いだったんだよ。

 

 天羽から告白された時、こんな猫でも、誰かに好きでいて貰えているのかな? なんて勘違いして心が、躍ったんだよ。あの夜、眠れなかったんだよ。胸が、胸がドキドキして眠れなかったんだよ……

 

 もう猫は、誰の言葉も信じない。この目と耳なんて、無くなってしまえば良いのに……

 

「な、な、何も無いんだね?」

 

 わんちゃん? 鼻息荒いんだよ。

 

「猫宮さんとは何も、かもを話し合える様な特別な関係になりたいと思っております‼︎」

 

 えっ? どうした天羽よ? 無理しなくて良いんだよ? どうせ猫は……

 

「と、特別な関係⁉︎ べ、別に、友達としてだよね? 深い意味、無いよね?」

 

 どうせ猫は、なんとも思われていないんだよ。それに大して話した事も無い天羽に、今友達と言われたら幻滅なんだよ。上げといて落とすなって話しなんだよ。もう、どうでも良いんだよ。こんな人生なんて、どうでも良いんだよ。

 

「佑羽は‼︎ 猫宮イチカさんと、お付き合いさせて頂いてます‼︎」

 

「へっ?」

 

「えっ……」

 

 天羽⁉︎ お前まさか、本気だったのか?

 

「て、天使? 何かの、間違いだよね……?」

 

 ね、猫も驚きなんだよ‼︎

 

「あ、天羽よ! な、何を言っているか?」

 

 あー猫はどうしてこうなるか? せっかく天羽が勇気を振り絞って言ってくれたのに、本当は、嬉しいのに。

 

「ま、ま、ま、前に言ったもん‼︎ 猫宮さん言っだもん‼︎ 佑羽とつ、つ、付き合ってくれるって、言ったんだもん‼︎ 言質取ってたもんね。ゆ、許さないもんね! 佑羽と猫宮さんは今、恋人同士なんだもん‼︎」

 

 天羽よ、お前の事、ちょっとだけ好きになったんだよ。

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