紫のクロッカスー僕ー
僕はきっと、彼女の気持ちに寄り添えてあげれないだろう。
彼女はいつ会っても自分の趣味のことを話してくる。僕には興味を持っていないかのように。
僕は悔しくなって、ただ悔しくて、性目的で彼女と会うようにした。それなのに彼女は何も言わずに従う。もっと僕に腹を立たせた。
彼女は決して特別可愛いわけではなく、どちらかというとぽっちゃりしていて、だけど僕にはそれが可愛かった。彼女の髪をおろして笑う顔はたまらない。
彼女は久しぶりにできた恋人だった。正直に言うと、僕は今まで恋愛という恋愛をしたことがない。キスだってしたことない。手もほとんど繋いだ記憶がない。
彼女はいつでも、ただ笑っているだけだった。僕はなぜそんなに彼女が笑っていられるかがわからなかった。
初めてキスをした。雨の降るその日は、日がとっくに沈んだ静かな公園だった。薄暗くぼやけた視界に見える彼女は、悲しそうな顔をしていた。
何ヶ月か経つと話すことが無くなった。彼女の話も尽きて、僕も興味がなくなっていった。いわゆる冷め、だった。
ただ僕は彼女を性処理の目的で呼び出していた。だけど彼女はとうとう断った。
「なんで今日は嫌なのさ。いっつもしてくれるじゃないか。」
つい怒り口調で暴論を吐いた。彼女は泣いていた。
僕ははっとした。彼女を傷つけたのだ。…と思った。
「違う、違うの。」
彼女は顔を手で覆いながらつぶやいた。
「自分を性の目的で使うのはいいの。私だっていろいろしてもらえてる。でも違うの。」
彼女が何を言いたいのかも、何もかもがわからなかった。僕は人生で一番困っていた。
「自分に罪悪感があるから、貴方に素直に顔を向けれないの。」
僕は彼女の言いたいことがわかった。彼女は僕以外に好きな人がいる。僕は冷めているはずなのに、何故悔しいんだ。
彼女は自分の気持ちを整理できていないのだろう。初めて二人を一緒に愛してしまったのか。そうだと思いたかった。僕は見捨てられたのか。
その数日後、彼女から別れをつげるメールが届いた。僕はその文面に向き合うしかなかった。




