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赤いアネモネ  作者: サイダー
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フクジュソウ(2)ーあたしー

何度も遊んだ事がある3人なのに、祭りにいくのはこれが初めてだった。

隣街の祭りに行くために、あたし達はお洒落をした。浴衣を着て、髪の毛を結って、化粧をした。

電車に揺られ着いたそこは、人でごった返していた。

「あのさ、彼氏が来てるみたいでさ、あってきていいかな。」

もう一人の子がそう言うと、すぐどこかに消えてしまったので、あたしは彼女とで店を回ることにした。

「かき氷食べよ。」

彼女は暑いよ、苦しいよ、と言わんばかりの顔で、扇子を仰いでいたので、あたしは自分の携帯扇風機を彼女の方に向けた。

彼女は楽しそうに扇風機に向かって「あー。」と言って遊んでいた。

かき氷は趣味や性格を表しやすいと思う。

あたしはいちご味の練乳がけを買った。

「実はそれも食べたかったんだよね。いいな、美味しそうだな…いいなぁ。」

彼女は一口くれとも言わんばかりの目線を送ってくる。

「もう、しょうがないな。」

あたしは一口分のかき氷をスプーンですくって、彼女の口へと運んだ。彼女はニタァと笑うと、幸せそうな顔をして両手を頬に添えていた。

「はいお礼。」

彼女はレモン味のかき氷を一口くれた。とても甘いレモンだった。

かき氷を堪能していた時に、もう一人の子が帰って来たので、軽く軽食を取ることにした。

あたしたちが少し落ち着いた場所に座って食事を取ってると、男性二人と女性一人の3人組が前で話していた。

「あたいの男だよ、とらないでぇ。」

「いや、俺の男だもんね。」

酔っているのか、3人組は大きな声で話しているものだから、こっちにまで丸聞こえだ。

彼女ともう一人の子が話し始めたので、あたしは静かに聞いていた。

「あの女の人辛いだらうな。」

「ん、どうして。」

彼女は何か真剣に考えていた。

「だって、男の人、あれ同性愛者でしょ。叶わない愛って辛いでしょ。」

もう一人の子は鼻で笑って、ポテトをつまみながら言った。

「何言ってるの。あれふざけてるだけだよ。そもそもゲイとか気持ち悪いって。」

あたしは彼女が一瞬暗い顔をしたのを見逃さなかった。でも彼女はすぐに笑って、

「そうだよね。同性愛者とか気持ち悪いよね。」

そう言って、彼女もイカ焼きを静かに口に入れていた。

軽食を食べおわって、花火もあっけなく終わって、あたし達は祭りの場を立ち去った。

駅に向かうと、もう一人の子の親が迎えに来ていた。

「じゃあ、またね。今日はありがと。」

もう一人の子は手を振ると、親のもとへ駆け足で向かっていった。

彼女とあたし、2人は、電車で地元へと帰った。電車の中で彼女は一言も話さず黙っていた。

地元の駅から彼女の家のほうが近いのに、彼女はわざわざあたしの家までついてきてくれた。

帰り道、彼女があたしに尋ねてきた。

「同性愛者って気持ち悪いかな。」

彼女はあの会話の後から、ずっとこの事が引っかかっていたのだろうか。あたしは素直に答えた。

「気持ち悪くないし、あたしはいいと思うよ。」

彼女はニコッと笑って、そっか、そうだよね、と言った。彼女は、あたしの歩くスピードに足並みを揃えてくれた。

あたしの家にやっとついた。

「今日はありがとね。また来年も3人で行けたらいいね。」

あたしがそう伝えると、彼女は吐き捨てるように返事した。

「来年の状況によるかな。」

彼女は数秒あたしを見つめて、ニコッと微笑んだ。少し顔が近かった気がするが、気のせいだっただろうか。彼女はあたし手を振って、背を向けて帰っていった。

彼女の後ろ姿はどこか悲しそうだった。

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