ロンドン―追跡者
華の都ロンドン。 その街を歩く二人の影を、鋼の瞳が静かに追う。
ミラ・カステリ。 国際組織犯罪対策部門の捜査官。
ロンドンの街を歩く二人――ルクジムとジョー。
その背後に、ミラは静かに足音を重ねる。
彼女の任務は、ただの監視ではない。
兄の死の真相を暴き、世界の裏に潜む闇を照らすこと。
「この影の先に、真実がある」
ミラは、二人の背後を静かに追いながら、心の中で誓っていた。
「――必ず暴く。兄を奪った闇を。兄の死を無駄にはしない。あの紋章の意味を、必ず突き止める。」
インターポールは、リバースの存在を黙認している。
だが、オルド・アーク――その名も正体も不明な組織だけは、別だ。
天使の死体が北極やアイスランドで発見される今、世界は確実に変わり始めている。
そして、ミラ・カステリはその変化の最前線に立っていた。
数週間前、ロンドン郊外の廃工場で、インターポールのエージェントが死亡した。
その名は――アレクサンドロ・カステリ。
ミラ・カステリの兄であり、同じく国際組織犯罪対策部門に所属していた。
最後の通信は、現場で「正体不明の生物と接触した」との短い報告だった。
その数時間後。
――黒く焼け焦げた壁。
三重の円、その中央に眼の印。
焦げた肉の匂い。
硫黄の煙。
兄の声は、もうどこにもなかった。
まるで何かを封じるか、呼び出すための紋章のようだった。
事件は狂信集団の無差別テロと片付けられた。
しかしその模様は、ミラの記憶に深く刻まれた。
焦げた肉の匂いと共に。
「ロンドン ― 追跡する視線」へ続く




