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ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


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イエローナイフ―絶望と終焉

瓦礫が舞い、雷が唸り、嵐がすべてを飲み込もうとする夜。

その中心で、問いが交わされ、光が放たれる。


ナイトコードが再び発動し、命を削る儀式が始まる。

挿絵(By みてみん)




嵐に巻き込まれた瓦礫と白煙が荒々しく舞い上がる。


血なまぐさい埃が風に混じり、死神がその影を具現化させたかのようだ。



ルクジムは地面に倒れ込み、動くことができない。


カリースが冷酷にその止めを刺そうと、彼に近づく。



「カリース、一つ聞きたいことがある。」

セシルの声が場を切り裂く。


カリースがゆっくり振り返る。


その目には不敵な光が宿る。


「私がなぜ、お前ごときの問いに答える必要がある?」



セシルは、ルクジムに向けられたその殺意を引きつけるため、一歩前に進む。


「封印は予知でのみ、その存在を知りえる。お前たちオルド・アークは何故封印を追える?」


カリースの唇が歪み、頬の筋肉がわずかに動いた


「フフ、冥途の土産か。良いだろう、教えてやる。予知ではないが、こちらにも預言者がいるのだ。」



地を裂くような風が唸り、砂塵の隙間を縫うようにセシルが駆けた。

カリースが油断したその隙に、セシルはルクジムを救出する。


倒れ込んだ彼の腕を強く引き寄せ、その危機から脱出させた。


「……大丈夫か、ルクジム」


「ああ、ありがとう、セシル……」



振り向きざまにセシルが言う。


「感謝する。」

セシルの顔に少し笑みが戻る。


カリースは冷笑を浮かべながら、まるで子供の遊びを見るかのように、挑発の声を投げかける。


「虚を突いたつもりか?我が嵐の拳(Tempest Fist)をもう一度食らうがいい。」



カリースの両手が光り、風と雷が渦巻く。


渦の中心から発生した衝撃波が、地面をひび割れさせる。

拳に集約される自然の力は、周囲を震わせ、破壊の前兆を告げている。


雷鳴が轟き、拳に纏われた青白い光が眩しく輝く。


その一撃が再び彼らを襲う……。



その刹那、セシルの声が響く。

「ナイトコード《Còig(コーク)》」


嵐の拳とナイトコード《Còig(コーク)》が激突する。


光と影の境界線、稲妻がねじれる瞬間、砂粒が空中で停止したように見える…


その瞬間、空は轟き、地はひび割れ、大気がその場から消え去った。

黒煙と暗雲が激しく舞い上がり、大地を覆う土砂が視界を奪う。



埃が渦巻く中、セシルの声が静かに響く。


「ナイトコード h-aon(ヘウン)。」


その言葉を聞いたスーマが即座に反応した。

「待て、オッサン!今の生命力じゃダブルコードは無理だ!それに、天候のせいでCòigの威力は半減してるぞ!」



その言葉も空しく、セシルの体が激突する力に押され始める。


天空へ弾かれる光は小さな粒子となり、周囲を散りばめる。


セシルが呟く。

「あまりの高熱の激突でエネルギーの原子がプラズマ化しているのか……。」



しかしカリースは余裕を見せ、力を込めた声で叫ぶ。


「砕け散れ、虫けらが。」


セシルはスーマに急かすように命じる。

「スーマ、早くh-aonを!」


闇が次元を切り裂き、黒い扉を開けた。


その瞬間、セシルはルクジムとスーマをその中に押し込んだ。



「出来るだけ遠くへ!」

叫びながら、セシルは彼らを安全な闇の中に送り出す。



吸い込まれる闇の中で、スーマとルクジムは目撃する。


ナイトコード《Còig》が跳ね返され、嵐の拳がセシルを貫くその瞬間を。


ルクジムの視界がセシルの血で赤く染まる。

スーマの画面には、悲痛なノイズだけが響いていた。


「セシル――!」


二人の叫び声は闇に消え、届くことはなかった。


セシルの体は塵となって静かに崩れていく。


視界に残る仲間の背中、声を出そうとしたが音にならない。

最後に浮かぶ笑み。


それは安堵と、悔いなき決断の、優しい笑みだった。


「直射日光以外で存在を失うとは……後は頼むぞ、ルクジム、スーマ……。」



埃が落ち着き始めたころ、空から数台のローター音が響いた。


遠くから警察や消防のサイレンも聞こえ始める。


その場に立ち尽くしたカリースが、苛立ちを滲ませた声で呟く。


「ちい、ここまでか。この私が何も成せぬとは、侮りすぎたわ。」


彼女は、自分の勝利が不完全なものであったことに、わずかな屈辱を覚えていた。


カリースの姿は雷雲へと消え、嵐の余韻だけを残してその場を去った。


「沈黙の絶望―そして希望」へ続く

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