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ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


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交点の兆し ― 暗雲

黄昏が沈むたび、世界は静かに選択肢を失い、闇だけが確実に近づいていた。


残酷に過ぎていく時間の中で、

再び吐息を白く際立たせる夜が訪れようとしていた。


その静寂を破るように、オメガツーへ通信が入る。


だが送信先は、メンバーが治療を受けているルームではない。

隣の――ミナが休む仮設ルームのスピーカーだった。


「聞こえている?」

ドクター・リリアンの声が、小さく響く。


「……?」

息を飲むような返事。


「今、この部屋にしか声は届いていないわ」

リリアンの声は、いつになく真剣だった。


「え……何ですか……?」

ミナが恐る恐る答える。


「いい、ミナ。あなたが感じている疑問と、この状況をすべて説明するわ」

「そして――その話を聞いたとき、あなたは選択の余地なくオメガラインの一員になる」


静かに、しかし逃げ場のない言葉。

リリアンはミナの返事を待った。


「……よくは分かりません。でも、私が置かれている状況が普通じゃないことは分かります」

ミナは震える声を抑えながら言う。


「関わらない方がいいのかもしれません。でも……あなたが私だけに話しているということは、

 私にしかできないことがあるんですよね」


涙をこらえながらも、強く返すミナ。

指先が、わずかに震えていた。


リリアンは小さく笑った。


「ふふ……思った通り、強い娘。

 そう、あなたに――私たちを、彼らを助けてほしいの」


緊張の糸が少しだけ緩む。


「今から話すのは、私たちが誰で、セシルやルクジムが何をしているのか。

 そして、この世界の“現実”よ」


「それをすべて聞いた上で……力になってほしい」


リリアンは静かに語り始めた。

ミナはただ頷き、その言葉を一つ残らず受け止めていく。



アイスランド上空



その頃、空では依然として激闘が続いていた。


MiG‑25に後ろから張り付かれたF‑15が、音速で線のように飛ぶ。


「大丈夫か空自! 取りつかれてるぞ!」

米空軍パイロットが叫ぶ。


「心遣い感謝する。しかし問題ない。見ていてくれ」

F‑15は短く返す。


次の瞬間――

追走するMiG‑25の目の前で、F‑15はエンジンの灯をすべて切った。


ゴォォォ――ッ


MiGは激突を避けるため、アフターバーナーで急減速する。

動力を失ったF‑15は、枯れ葉のように下方へ落ちていく。


「おい! 被弾したのか!」

米空軍と中国軍が叫ぶ。


MiGは落下するF‑15を追い越した。


その瞬間――

F‑15の動力が一斉に復帰した。


ズバーーーン!!


MiG‑25が気づいた時には、すでに背後を取られていた。


ガガガガガガガガ――ッ!!


ドウオォォン!!


MiG‑25は、クリスタルが反応する間もなく撃墜された。


通信が一瞬、固まる。


「……これぞ“木の葉落とし”だ!」

空自パイロットが雄叫びを上げる。


「そんな曲芸、実戦で使うなんて……狂ってるぜ」

米空軍パイロットが呟く。


「なるほど……予測を裏切るとは、こういうことか」

中国軍パイロットも感嘆する。


「俺たちには真似できないな。援護は任せろ!」

ユーロファイターとF‑35が通信に入る。


帰還を急ぐオルド・アークの戦闘機群は、

小さな歯車が狂い始め、

連合軍に勝利の空気が巻き返していく。



ロンドン



同じころ、ロンドンにも夕暮れが傾き始めていた。


店先の掃除を終え、扉の中へ入っていくパウラ。


足音だけが、やけに大きく響いていた。


その数ブロック先――

スマホを掲げた数名の影が、静かに迫っていた。


悲劇を回避するため急ぐエドとミラは、まだ到着できていない。


暗雲は、すぐそこまで迫って来ていた。


「冷酷な無邪気 ― 古書店事件」へ続く。


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