表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/100

敵手-ライバル- ①

*この小説はフィクションです。

 瞬を捜しに勇輝は走り出していた。瞬はこの近くにいると分かったとき、不意に記憶がよみがえった。

 父親である力弥が亡くなる前、勇輝は言った。瞬を救いたい、と。

 瞬の居場所が分かった瞬間、咄嗟に言葉が出ていた。美鶴に許可をもらい、隙を見計らってその場から逃がれることに成功。

 後のことを美鶴に任せて、目的地へ向かった。記憶に頼って進んでいると、身の覚えのある場所にたどり着いた。

 この場所は勇輝が少し前に遭遇した敵、斉と剣十がいた場所だ。流れてきた記憶では瞬もいた。

 三人は仲間同士ブラックチェンジャーなはずなのに様子がおかしかった。勇輝にとっては対立しているように見えたのだ。一対二。その後、記憶がぷつんと切れてしまった。

 なんとか記憶を頼りに来たものの、今は人気がない。しんと静まり返っている。

 勇輝は辺りを見渡してみる。それでも、殺気が漂っていない。人の気配もしない。

 手がかりを頼りにしようにも思ったほど目立つところが少ない。勇輝は手がかりを探すのを諦め、もう少し先に進んでみることにした。


 注意深く進むこと約一〇分。やや少し離れてはいるが、勇輝は瞬の背を視界に捉えた。背を向けているからか、勇輝には気づいていない。

 誰かと話しているようだ。勇輝はそっと近づいてみる。まるで忍者のように足音を消す。

 あと数歩というところで、不意に瞬が後ろを向いてしまった。

「あ、」

 思わず、勇輝は声を出す。お互いの視線がぶつかり、気まずい空気が漂う。それも一瞬のこと。

 勇輝に気づいた瞬は勇輝をきつく睨みつける。

「なに? 今、お前の相手をしている時間なんてないんだけど。あとでにしてくれる?」

 険悪な表情で言葉を投げると、先ほど話していた相手の方へと向きを変える。話し相手は勇輝の見知らぬ人物。勇輝が話を小耳に挟むが、徐々に顔つきが険しくなっていく。

 どうやら、話の内容が怪しい。

 それもそうだ。今の瞬は変える者(ブラックチェンジャー)だ。話し相手は変えたい者(チェンジャー)だった。

 瞬が話を聞き、望みを叶えるために協力しようとしていたのだ。

 咄嗟に勇輝は瞬の腕を掴む。

「そんなことしないで、一緒に戻ろう。みっちゃんたちが待ってる」

 瞬は勇輝の言葉に聞く耳を持たず、掴まれていた手を振りほどいた。もう一度振り返り、勇輝をきつく睨む。

「邪魔しないでくれる? もう、そっち側じゃないから意味分かるよね?」

 吐き捨てるようにきつく問いかける。瞬の話し相手は瞬と勇輝の会話を聞いていたのか、怯えている。

「す、すみません。やっぱり、叶わなくて大丈夫です」

 変えたい者(チェンジャー)は申し訳なさそうに頭を下げ、逃げるようにその場を立ち去っていった。瞬が呼び止めても振り返らない。尚更、早足になっていく。ついには居なくなってしまった。

 瞬は不機嫌な表情をしているが、後を追いかけようとしない。不意に勇輝のほうを振り向く。

「お前のせいだ。なんてことしてくれるんだよ」

 瞬の言葉に勇輝は素知らぬ様子だ。勇輝にとっては瞬の邪魔をしたつもりはない。瞬を連れ戻す、ただ一つの理由で瞬を捜しに来たのだ。

 真剣な眼差しを向け、瞬の目をじっと見やる。然し、瞬は勇輝をすさまじい目で睨みつけている。

 気づけば、瞬の目から紫色の光が灯っていた。嫌悪の意味を表す。

 それを感じ取った勇輝は手早く構える。直後、瞬は片足を上げた。

 勇輝に向かって足を振り下ろした。咄嗟に躱した勇輝だったが、次の攻撃を躱しきれなかった。

 思い切り攻撃が当たり、怯んだ。

「当たったの偶然でしょ。簡単にお前が攻撃を受けるはずないもんね!」

 声を荒げ、言葉を吐き捨てる。瞬の目から放たれる紫色の光が強くなっていく。感情が強まっている証拠だ。

 それでも、勇輝は顔色一つ変えない。瞬は隙を見て襲いかかろうとする。

「ねぇ、こんなことやめよう。父さんも喜ばないよ」

 若干、瞬の目から放たれる光が変わった。紫色から黒色へ。

 それを勇輝は見逃さなかった。勇輝は過去の記憶から何かを思い出そうとするも、今の勇輝にはある部分の記憶が欠けている。思い出そうにも思い出せなかった。


 瞬の口元が緩む。以前、瞬は勇輝と何回か戦ったが、覚醒状態の勇輝と戦っていた。覚醒状態の強さに手も足も出なかった。悔しい気持ちが激しく渦巻いていた。

 今は覚醒状態じゃないため、機会チャンスだと思ったのだ。

 瞬は攻撃を繰り返す。勇輝は防御ガードするばかりで攻撃しない。そのせいか、傷や痣ができる。

「防御するだけじゃ、勝てないよ?」

「勝つ気はないよ。僕は、瞬を連れ戻しにきたんだ。だから、」

 勇輝は防御態勢をとっている。突然、勇輝の目つきが変わった。

「や、やっぱり来るのかよ」

「絶対、連れ戻すんだ。瞬は仲間だから」

 勇輝の目に黒色が混ざった赤い光が放たれる。必ず連れ戻したいという強い決意の表れから放たれた。

「やれるものならやってみな! 俺に勝てたらだけどね」

 余裕を見せる瞬は勇輝をきっと睨みつけた。二人は素早い動きで攻防を繰り返した。

次話更新は5月21日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ