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螺旋-スパイラル-

*この小説はフィクションです。


「うるせぇ」

 勇輝が美鶴に言葉を投げつけた後、勇輝は美鶴をきつく睨みつけた。美鶴は我に返り、勇輝からいったん離れようとする。勇輝に袖を掴まれてしまった。咄嗟に反射的な反応で一歩下がろうとするが、力に押されてしまっている。

 次の瞬間、勇輝の拳が美鶴の腹に命中した。美鶴は血を吐いた。腹を押さえ、痛みに顔をゆがめる。

 その間に勇輝の連続攻撃が襲いかかってくる。一瞬の気の緩みも許さない勢いだ。

 勇輝の速さについていけず、美鶴は何度も攻撃を受けてしまう。

「邪魔」

 勇輝はぽそりと呟くと、美鶴に蹴りを入れた。

 元々、能力の代償で痣や傷ができていた美鶴の体に打撲痕などが増えていく。

「美鶴さん」

 隼人がただならぬ様子に気づき、心配そうな表情を向ける。司は狂と戦っているため、油断できない限界的な状況で美鶴に気づかない。

 そうしている間にも美鶴は攻撃を受け続ける。ついには勇輝の力の強さに負け、倒れてしまった。

「美鶴さん!」

 隼人は大声で呼びかけ、美鶴の元に駆け寄ろうとする。

 勇輝が隼人に気づき、とてつもない速さで隼人に向かっていった。そのまま、隼人に電光のはやさで攻撃をしかける。

 隼人は攻撃をかわそうとするが、勇輝の速さについていけず、攻撃を受けてしまう。

 美鶴のときのように何度も攻撃する勇輝に隼人は一つも避けきれていない。勇輝のほうが速さと力が格段に上だ。

 途中、勇輝と隼人の目と目が合う。一瞬だが、隼人は異変に気づいてしまった。

 勇輝の目に黒い光が宿っている。今まで見たこともない光に怯んだ。

 勇輝は隙を見て襲いかかる。強い衝撃が隼人を襲った。それでも、かろうじて耐えた。隼人の額に汗が広がる。

「邪魔するなら許さねぇ」

 勇輝が言葉を発した瞬間、勇輝はその場から姿を消した。隼人の背後に回り、攻撃を加えようとしている。即座に隼人は防御態勢をとるも出遅れた。

 攻撃を受け、数回の攻撃で倒れてしまった。残るは司だけになってしまった。


 司は集中して狂と戦っていたが、異変に気づいた。気がつけば、味方が倒れている。

 勇輝を除けば、自分だけ。司は必死になって狂と戦っていた。いつの間にか隙を見せてしまい、狂が攻撃したのかもしれないという考えが司の頭に浮かんだ。勇輝が味方を倒したことは知らない。

 勇輝が心配で勇輝の元に駆け寄ろうとするが、いつもと様子が違う勇輝を不思議に思った。

 司は勇輝の周りに囲う異様な雰囲気を感じたのだ。

「まさか、」

 不意をつかれたように唖然とする。その間に勇輝は司の姿を捉えていた。

「やっとお目覚めか。コイツを殺れ」

 司は目の前の狂の言葉ではっとして我に返る。気づいたときには狂の姿が消え、代わりに勇輝が司の前にいた。

 勇輝は攻撃態勢に移っている。司は能力を発動し、姿を消してみせた。それでも、勇輝は司を捉える。司が攻撃を受けると、司の能力が解除されて姿が現れた。

「勇輝、やめ」

 勇輝に言葉を掛けるが、勇輝は聞く耳を持たない。敵の狂ではなく、司を攻撃しようとしている。

 司は防御体勢になるが、勇輝の速さ(スピード)に及ばない。攻撃を受けてしまった。

「勇輝、しっかりしろ。俺は味方だ!」

 それでも、勇輝は攻撃をやめない。勇輝を攻撃したくない司は防御体勢になるが、勇輝の攻撃はそれを突破してしまうほどの威力だ。

 ふと、司の頭の中で力弥の姿が浮かんだ。


 勇輝は力弥の息子。今の勇輝は力弥の能力を受け継いでいるかのような力を持っている。否、すでに受け継がれているのかもしれない。

 司にとって力の差を見せつけられた。勇輝をまっすぐ見つめる。

「勇輝」

 たった一言を呟くと、防御体勢で思いきり力を込めた。勇輝は司の防御などお構いなし。攻撃を続けている。

 それでも、強い衝撃が司を怯ませた。司はその場に倒れてしまった。

 狂は不敵に微笑む。

 その場に立っているのは勇輝と狂だけになってしまった。

 勇輝は狂を睨みつけている。狂の口元に笑みが浮かんでいる。勇輝に構わずに辺りを見渡した。

「さすがの能力だ。結局はこうなる」

 倒れている美鶴たちを見ながら言葉にする。勇輝は美鶴たちを見ようともしない。狂に鋭い視線を向けたまま動かない。

「お前は母さんと親父を、殺した。だから、俺はお前を殺す」

 その言葉に狂はふと我に返った。


 以前、勇輝の父である力弥は勇輝に話をした。勇輝の母の透子は病気で亡くなったのだと。その時の勇輝はすんなり受け入れた。

 同時に力弥も病気であるのだと思っていた。その理由は力弥の様子がおかしかったことにもある。

 それでも、力弥は単に能力の使いすぎたと伝えたのだ。

 狂は全てを知っている男。力弥の身に起きたことを予知していた。勇輝を利用できることも。

 現在、勇輝は覚醒し、味方を倒していった。勇輝の中でいろいろな感情が渦巻き、侵されていた。

「それもいい。だが、その前に、」

 狂が言葉を発したが、勇輝は狂の言葉を無視して攻撃を開始した。

次話更新は7月23日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。

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