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予感

*この小説はフィクションです。

今回は流血シーンが少しだけあります。

 隼人と勇輝、癒維の三人が資料を調べていると、不意に誰かが入ってくる。

 美鶴と司だ。二人は深刻な表情をしている。美鶴は隼人に頼まれ、司を連れてきた。

「隼人くん、連れてきたわよ」

 美鶴が呼んだ瞬間、隼人は立ち上がった。二人のほうへ向いて、嬉しそうに表情を崩している。

「司さん、あの時のことを思い出してください。資料がたくさんあった中である資料がありましたよね」

 司は思い出そうと振り返る。司には思い当たるふしがない。流のことで余裕がなく、文献などに目を通せなかった。

 それでも、必死に思い出してみようとする。どんなに頑張ってみても、司の頭に浮かぶのは苦しそうにする流の姿。どうしてもその姿が離れない。

「だめだ。思い出せない。流の辛そうな顔を思い出すんだ。悪い……」

 司は悔しそうな顔をし、下を向いてしまった。美鶴がそっと司の肩に手を置き、励ます。

「司ちゃんには無理をさせないでほしいの。連れてきたのにこんなこと言うのは申し訳ないと思ってる」

 隼人は美鶴のせいじゃないという。それでも、美鶴は責任を感じた。

「俺がいつまでも引き摺っているから」

「それは違うわ」

 美鶴の一言で一気に空気が白けてしまった。

「流ちゃんは仲間の一人よ。忘れるよりはいいと思うの。ただ悲しむんじゃなく、流ちゃんのために前を向きましょう。流ちゃんも前を向いてほしいはずよ」

 それでも、司の表情が曇っている。前を向くのには時間がかかるようだ。

 空気が重く淀んでいるなか、気持ちを切り替えようと美鶴が口を開こうとした。

「これかもしれない。流さんの存在を取り戻す方法が見つかるかもしれません!」

 隼人の声が響き渡った。


 隼人の調べで分かったこと。二丈財閥に関係があった。

 二丈財閥の秘密の場所で手に入れた資料にはある謎がひそんでいた。秘密を説き明かし、ある結果に到達したのだ。

 二丈財閥の人間には能力者が生まれる。

 二丈財閥は経済界で最高トップクラスの企業を持つ。そのため、裕福で多くの権限を持つことになる。能力者が生まれることがあれば、能力の秘密も得ることができる。

 その上で得た情報。二丈財閥も過去に行き来していたのだ。

 然し、過去に戻ったまま現在に戻ってこなかった者もいた。

 戻ってこなかった者を覚えている者は少なかった。存在自体が記憶から消えてしまったのだ。

 同じ能力者だった流の場合は過去から来た流が現在で亡くなった。そのせいか、記憶から消えた原因の一つ。

 過去を変えてしまったようなもの。それにも関わらず、大災害のような影響はない。きっと、流がいた記憶を取り戻せる可能性があるということ。

 不意に司が資料をあさり始める。

「司ちゃん、どうしたの?」

 美鶴が声を掛けるが、司は資料を調べている。


 司は二丈財閥の人間。何か気づいたことがあるのか、必死だ。

 彼の行動を誰も止めようとしない。まだ知らぬ意外な事実が隠れているのかもしれない。美鶴たちはそう思ったのだ。

 数分後、司の動きが止まった直後のことだった。隠れ住処が突然大きく揺れ始めた。

 安全な体勢を取り、揺れがおさまるのを待つ彼ら。揺れは五分くらい続いた。

「みっちゃん、他のみんなのところに行こう」

 勇輝の言葉にそうねと答えた美鶴だったが、悲鳴が響く。

「みんなはここから動かないで。私が様子を見てく、」

 美鶴の言葉が途切れる。部屋を出ようとしたが、入り口付近に危険な空気を感じ取った。

 すぐにその場にいた勇輝たちを守るため、いち早く入り口に向かった。

「みんな、私から離れて!」

 呼びかけるように声を張り上げる。その場にいた勇輝、隼人、司、癒維が一斉に美鶴のほうを向く。

 美鶴の片腕から血が流れている。一瞬、何が起こったのか勇輝たちは理解ができなかった。

 然し、すぐにそれが変える者(ブラックチェンジャー)の仕業だと察した。扉が開き、美鶴の目の前に狂がいたのだ。

「美鶴さん!」

 司が美鶴を呼ぶが、遅かった。美鶴は攻撃を受けながらも耐えている。立っているのがやっとの状態だった。

「不意を突かれちゃ、何もできないのか。それより、目的はお前じゃ、」

「みっちゃん!」

 狂の言葉を遮るように勇輝は大きな声を出すと、美鶴の元へと駆け寄ろうとする。司に止められてしまう。

「司さん、離して。みっちゃんが、みっちゃんがやられちゃうよ」

 勇輝から焦りの色が見える。必死に司を離そうとする。それでも、司は離さない。

「私は、大丈夫よ」

「何が大丈夫だ? あいつの能力もお前の能力も弱すぎるんじゃねぇか?」

 美鶴の言葉に狂が挑発的な言葉を口にし、不気味な笑みを浮かべる。苦虫を噛み潰したような表情をする美鶴の状態が悪くなり、ついには倒れてしまった。

「みっちゃん!」

 勇輝の大きな声が響き渡る。

「千堂勇輝か。また会えたな。今度はオレに協力するんだ」

 狂は不気味な笑みのまま、勇輝をじっと眺める。然し、不意に勇輝の姿が消えた。突然の出来事に狂が眉をしかめる。狂は司の姿を視界にとらえた。

 気づけば、狂と司だけになっていた。

「勇輝は渡さない。もう、誰も仲間を傷つけさせない」

「そうか。やるか? どうせ、すぐにたおれる」

 司と狂の間に激しい視線がぶつかり合った。

次話更新は6月25日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。

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