小さな希望
*この小説はフィクションです。
勇輝は瞬を背負って、戻ってこれたが、不安な気持ちなままだ。
瞬を捜しに行き、出会えた。戦闘の末、連れ戻しにいける。そう思ったのは一瞬。
突然、狂が現れた。狂は瞬に止めを刺した。すぐに姿を消してしまったのだ。
勇輝は瞬に声をかけた。然し、反応がない。自分ではどうすることもできず、瞬を背負って戻ることに。
勇輝は無事に戻ると、探たちに美鶴の居場所を聞いた。美鶴に顔を出し、瞬を治療してもらうように頼んだ。
「みっちゃん、瞬は大丈夫?」
美鶴は答えない。美鶴の反応に勇輝の不安が増すばかり。
勇輝は心配そうな顔で処置が終わるのを待った。
その後、一時間が経った。不意に美鶴がふうっと息を吐いた。勇輝のほうを向き、優しく微笑んだ。
「瞬くんは大丈夫よ。ただ、暫くは安静にしてあげて」
勇輝は美鶴の言葉を聞くと、安堵した。
「次はあなたの番よ、勇輝くん」
美鶴が言うと、勇輝は僕は大丈夫と答えた。
然し、勇輝の体は傷だらけ。応急の手当てをしないと重傷化してしまうだろう。
それを恐れて、美鶴は治療をさせてもらうように頼む。勇輝は美鶴の手を振り払って、治療させまいと拒んだ。
美鶴は勇輝の腕を掴んで、勇輝を真剣な目で見つめた。
「勇輝くん、お願い。あの人なら、無理やりにでも手当てさせると思うの。あなたのことが大事だから、」
「分かってるよ。父さんは僕に、みんなに優しいから。でも、今の僕は大丈夫だから心配しないで」
美鶴がいくら頼んでも勇輝は折れない。何度も大丈夫という。美鶴は勇輝に目をまっすぐ向ける。
『お願い』と目で訴えてくる美鶴の眼差しの奥に勇輝は感じ取った。
自分を心配する強烈な感情が勇輝を動揺させた。同時にある記憶が流れてくる。
「ねぇ、それよりも聞きたいことがあるんだけど。流さん、いなくなったの?」
不意に勇輝は問いかける。勇輝の問いかけに美鶴は呆気に取られる。
彼は流を覚えている。その事実を知り、希望が膨らんだ。
「みっちゃん?」
「そのことはあとで詳しく説明するわ。とりあえず、治療させてくれる?」
美鶴の言葉に勇輝が首を縦に振った。やっと、治療ができることに美鶴はほっとする。
勇輝の怪我は痛々しかった。とは言っても、ほとんどが痣だ。いくら医療従事者といえども、美鶴にとっては痣を冷やすことしかできない。
「痛かったでしょ。よく頑張ったわ」
美鶴は優しく声をかけながら、てきぱきと処置していく。
思ったより、勇輝の怪我の処置は早く終わった。
「流さんのこと、教えてくれる?」
言葉を切り出す勇輝に美鶴は戸惑いを見せる。その理由は明らかだった。
流の遺体が無くなり、更には記憶からも存在が消えている。覚えているのは勇輝を除いて、美鶴と司だけ。隼人も原因を調べているが、流の存在を忘れている。
美鶴は勇輝のほうをちらりと見やる。
「みっちゃん。僕、なにがあっても大丈夫だよ」
真剣な表情で美鶴をまっすぐ見つめながら、力強く言葉を発する。
それでも美鶴は悩んだ。悩みながらも勇輝をある場所に連れていくことにした。
「ついてきてくれるかしら。そのあとに説明するわ」
真剣な眼差しで話す美鶴の後に、勇輝はついていった。
勇輝は美鶴に連れてこられた場所に驚きを隠せない。その場所は今にも資料で埋め尽くされそうな部屋だったのだ。
隼人と癒維がその場所にいたが、癒維は呆然と立ち尽くしている。隼人は散らばった資料と睨めっこ。
「隼人くん。もしかして、なにか分かったの?」
勇輝の前にいた美鶴が隼人に問いかける。隼人は答えず、資料をあさっている。何かを探しているようだ。
「あ、あった! これで流さんに起こったことが分かる。癒維さん、美鶴さんを呼んでくだ、」
「隼人くん、ゆっくりでいいわ。教えてくれるかしら」
彼は片目が見えていない。そんな状態で必死になって資料の一部を探していたのだ。
一刻も早く、美鶴に知らせたいはず。美鶴を視界に入れた隼人は時が止まったように固まった。
「そういうことか!」
突然、思いついたように言葉を呟いた隼人はパソコンに向かう。パソコンを操作しながら、美鶴に少し待ってもらうこと、司を呼んでほしいことを伝えた。
美鶴は返事をすることなく、部屋を飛び出す。
「隼人さん、僕も何か手伝うよ」
勇輝は隼人の元へと駆け寄る。隼人は勇輝に視線を向ける。
「僕、分かってる。流さんのために何かしたい。そういうことだよね」
勇輝の言葉に驚かされ、隼人はぽかんと口を開ける。
「私も手伝う。私は流さんのこと分からないけれど、何か役に立ちたい」
癒維の言葉を聞いて、二人は唖然としつつも三人で協力して必要な資料を集めた。
来週の6月11日(木)の更新はお休みしますm(._.)m
次話更新は6月18日(木)の予定です。
*時間帯は未定です。




