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VRでボロ屋敷買ったら勇者がメイドに魔王が執事として雇用されに来た  作者: 無頼惡兎
第1章  おじさんボロ屋敷で勇者と魔王を雇う

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18/21

第18話 なんちゃって商家と大団円?

ここまでお読みになられて、ありがとうございます!本当にありがとうございます!!!

おじさんのゆるふわDIY(?)から始まったボロ屋敷スローライフも、ついに1章の最終話となりました!

ぜひ、楽しんでお読みください!


サトウ一行は大きな街へ向かう道中、ダンジョンでの戦闘を経てマオとユウの基礎レベルが8へと上昇し、ユウは新スキル『鑑定』を習得した。そして門をくぐり街中へ入るのであった。

「わあ、大きめの街は活気があって本当にいい感じだねぇ。おや、あそこにあるお店、さっき集めたダンジョンの素材を買い取ってくれそうな雰囲気じゃないかぁ。店に店員さん、いるといいんだけどねぇ」

サトウはそう言って、引き寄せられるようにのんきな足取りで一軒の商家へとふらりと入っていく。その後に、ガタガタと膝を震わせたマオとユウ、あるいはサトウの後ろ姿をうっとり見つめるフィースが続いた。

店に入り、カウンターに座る看板娘と言えるような麗しい人間の女性商人ふっと見上げると頭上には、【リーズリー】という名前がくっきりと浮かんでいる。

だが、店内に一歩足を踏入れた瞬間、マオは過去の記憶から、あるいはユウはスキルの『鑑定』を使用しその光によって、その可憐な商人の裏にある【魔族の四天王】としての悍ましい真のステータスを完全に看破した。


((お……お前…お……おま...!!!))


マオとユウは声にならない悲鳴を上げ、お互いの顔を見合わせながら金魚のようにハイスピードで口をパクパクワキワキと動かし、震える指をリーズリーへと突きつける。

「マオくんもユウちゃんも、店員さんに向かって指をさしちゃダメじゃないかぁ〜。ん? もしかして、2人の知り合いなのかい? ごめんねぇ、うちの雇用人のマオくんとユウちゃんが、なんだか急に驚いちゃって失礼しちゃって〜」

後ろからサトウに頭をぽんぽんと優しく撫でられ、強制的に手を下ろされた二人は口をアワアワとさせながらも完全にフリーズをしていた。サトウがペコリと頭を下げて、さらに細胞一つ傷つけずに剥ぎ取ったリザードの革と鉄鉱石をカウンターに並べはじめた。

「さっきダンジョンで手に入れた素材たちだけど買い取りをしてくれないかなぁ?」

サトウが話しかけるが、リーズリーの顔面は恐怖で完全に直立不動となった。

(えっ!?どこからこれを???いやっ、この人は何者おおおおおお……っ!)

完璧な人間偽装を一瞬で見破られた上に(勘違い)、あの魔王と勇者を『うちの雇用人』と言い従えている事実が、リーズリーを涙目でガタガタと震えさるが四天王の意地で持たせ会話を続けた。

「はい、この断面がきれいなリザードレザー2万ガルムで鉄は最近不足で…1個1200で……14個あるので1万6800ガルムでロックスライムの石は300ガルム10個なので3000ガルムでいかがですか?」

「そんな金額になるのかい?ありがたいねぇおねがいします」

リーズリーは恐怖心から狂気のカチ盛査定で素材を強制的に買い取るしかなかった。

(本当に何者なのよぉぉぉ!!怖すぎるわぁぁぁ……!)

「それじゃあ、買い取りも無事に終わったことだし、今日の分の給金を渡しておこうねぇ」

ホクホク顔で店を出たサトウは、商店街の道端で、平伏する勢いで見送ってくるリーズリーの目の前にマオ、ユウ、フィースの三人を行儀よく一列に並ばせた。

((フッ…今回の活躍でお金が入り遂に本格的な給金になるはず……っ!))

(おじ様自らの手渡し、お手々が触れ合う。……キャ!)

「はい、今日の給金100ガルムずつね! 今日もみんなのおかげで最高の素材集めができたからねぇ。明日もよろしくねぇ、みんな」

サトウが無邪気な笑顔を咲かせたその瞬間、マオとユウ、そして物陰からガタガタ震えて見ていたリーズリーの脳内が同時に大爆裂を起こした。

((な、何……!? 数万ガルムを稼ぎ出した直後なのに、私たちの取り分は完璧に『100ガルム(固定)』だわァァァ!!!今後も100ガルムが決まってるのぉおおお!? どれだけ稼いでもマージン一切ナシの完全固定雇用契約に切り替わったって言うのぉぉぉぉ!!!))

(あぁ……っ!触れられず、残念ですぅ……)

並ばさられた三人の手の平に1コイン(100ガルム)がぽとりと渡されるのであった。

美貌を完全に崩壊させ、精神的に襲い掛かる現実にリーズリーは、涙目で心の中で猛烈に絶叫した。

(あの魔王と勇者をたったの『100ガルム』で完全に支配して働かせてやがる……!!!あの豪華なメイドまで同じ金額ぅ…!? 恐ろしすぎる……異常な雇用関係にしているあんな化け物(サトウ)、一ミリも関わりたくないわァァァァ!!!)

(ん〜〜っ、さすがおじ様……! ああして目の前で、先輩方をたったの100ガルムで完全に手懐ける絶対的支配力を見せつけて……!あのリーズリーさんも、きっと私と同じ純粋なる『信仰の目』で、おじ様の深淵なる御力にうっとりと平伏していますのね! それにしても、また明日もよろしくと言われてしまいましたわ……はぅあんっ……! おじ様との愛の共同経営(終身雇用)、一生ついていきますわ……っ!!!)

道端で繰り広げられるその異常すぎる給金授与の光景に、周囲で行き交っていた他のプレイヤーたちが色めき立ち、一斉にがやがやと騒ぎ始めた。

「おい見ろよ、あの商人NPC、四天王のリーズリーじゃねぇ!? なんで道端で一般おじさんに涙目で平伏してんだ!?」

「っていうか、あのおじさんの前に並んでるメイドと執事、それに豪華なメイド……!あの動画の人達か……」

「つまり!?あの美人さん人間でリーズリーじゃん、四天王のクローンNPCだろっ!」

((ちょっとぉぉぉ!!目立ってるわぁぁぁ!!!))

(あらっ!?はしゃぎ過ぎてしまいましたわ)

商店街1つの道端で騒然としたお祭り騒ぎに包まれる中、サトウは(豪華なお肉を夕食に、がいいかなぁ)とお肉が有名な飲食店へと思い馳せながら、雇用人たちをゆるりと導いていくのだった。

大きめの街でも最高級と名高いその飲食店の中は、白大理石のテーブルに芳醇なタレの香りが漂う、いかにも贅沢な佇まいだった。サトウは増した資金を胸に、テーブルから溢れんばかりの特上肉の盛り合わせを注文する。

「資金も少しは余裕が出来たよぉ! よし、みんなでおいしい夕飯をいっぱい食べようねぇ!」

ジュウジュウと小気味よい音を立てて網の上で焼き上がる見事な霜降り肉を前に、その正面に座るマオとユウは、手にした箸をガタガタと派手に震わせたまま完全に上の空だった。網の上で極上の肉が焼ける音すら、今の二人には自分たちの命がじわじわと炙られているカウントダウンにしか聞こえない。

((こんな数万ガルムを瞬時に叩き出した直後なのに、あんなに純粋な笑顔で『少しは余裕が出来た』だなんて……ッ!? この化け物にとっては、俺たちの固定給100ガルムを支払い今後も固定給金で雇うための端金に過ぎないってことかよぉおおお!!!))

二人が脳内で完全に同じ絶望のハモりを裂裂させる中、サトウはニコニコともぐもぐお肉を食べ進めていく。

(今まさにデートなのでは……! さすがおじ様、四天王リーズリーを従えた後でも一切驕ることなく、こうして私どものために最高級のお肉を振る舞ってくださるなんて……! どこまでも慈悲深く、底知れないお方ですわ……!)

一人だけ別方向の至福に浸っているフィースは、瞳をハート型にしてうっとりとおじ様を見つめながら、上品に肉を口へと運んでいた。

「ん? もしかして、さっきの店員さん……マオくんとユウちゃんのお友達だったのかなぁ?」

サトウがお肉を美味しそうに咀嚼しながら、ふと思い出したように問いかけた。

その瞬間、マオとユウの箸が完全に停止し、喉の奥からヒィッと引きつった音が漏れた。最前線でやりあっていた悍ましい魔族の四天王であるリーズリーが、ユウのお友達なわけが絶対にない。

(お友達なわけがないでしょォォォ!!!)

(俺の部下だぁぁぁぁ!!!)

(まぁ~おじ様!もう仲間に引き込むおつもりなのですね……もっと頑張らなきゃ……っ!)

「久しぶりに会えて、嬉しくてびっくりしちゃったのかい?震えるほど嬉しかったのかなぁ?」

二人の脳内絶叫が最高潮に炸裂し、自らを奮い立たせるフィース。白目を剥きそうになるのを必死に堪えてガタガタと震える。しかし、そんな二人の決死の限界パニックやフィースの決意を前にしても、サトウはただただニコニコと穏やかに微笑むだけだった。

「さぁて、たくさん食べたし明日からもまた、我が家のためによろしくねぇ」

この上ない幸せな状態であるサトウとフィースとは裏腹に震えながら外観はボロ屋敷である我が家へと無事に帰還した。

「今日も最高の1日だったねぇ。みんな、明日もよろしくねぇ、おやすみぃ」

サトウが優しく微笑み管理画面からログアウトをする。万物をも吸い込むかのような禍々しい漆黒の渦が突如として宙へ現れ、超越者の輪郭を侵食していった。彼の身体が透けるように薄くなり、完全に消え去る――。

((明日からも……っ!100ガルムぅぅぅ……いやだぁぁぁ!!))

(ふ~まだ挽回のチャンスを与えてくれるだなんて……っ!)

そんな光景にも慣れてきたのかあとに残された三人はそれぞれの床(ソファ)に就き、思い思いに眠りへと落ちていくのだった。

無事に1章が終わりここまで本当にお読みなってくださり、本当にありがとうございます!

今後の2章も控えてはいます。評価、ブックマーク、感想など。

もし「この勘違いコメディ面白い!」「初の四天王リーズリーさんの挙動に笑った!」「2章も気になる!」と思ってくださいましたら、ぜひページ下部にある【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で応援していただけると、2章の執筆パワーが120億兆倍になります!

皆様からの応援の一票や、熱い「感想」のひと言が、何よりも最高のモチベーションです。

2章では、今回で残り資金がどのくらいになったかマオくんとユウちゃんのおどきやフィースの狂信がどう響いてくるのか……!?

もっとも、サトウおじさんの次なる無自覚でなんちゃってDIYとは!?

引き続き、お気軽に感想やポイントで足跡を残していっていただけると嬉しいです。

次なる第2章の開幕を、どうぞ楽しみにお待ちください!


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