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第7話 屈折


◆ 田中誠


水曜の夜、CQ_Ebisu77氏からメッセージが来た。


——Salone Luce、脱毛サロンですよね。

誠は少し驚いて、返した。

——そうです。知ってましたか。

——知人が通ってました。

それだけだった。

誠はその一文を読んで、返信を打ちかけて、消した。何を聞くべきかわからなかった。聞いていいのかも、わからなかった。

結局、こう返した。

——そうですか。

既読はついた。返信は来なかった。


誠はパソコンを閉じ、ベッドに横になった。

天井を見ながら、知人、という言葉を考えた。

知人。友人でも、家族でも、恋人でもなく、


知人。


その選択には、何かある。誠はそう思った。思ったが、それ以上は考えなかった。


翌木曜日、桐島が誠のデスクに来た。

「田中さん、川本さんから伝言です」

「川本さん?」

「飲み会のとき話してた営業の。連絡先交換しなかったって言って、もし良ければって」

誠は少し間を置いた。


「……なんで桐島さんに」

「俺、川本さんと同期なんで」桐島は少し楽しそうに言った。「どうしますか」

誠はデスクの端を見た。特に何があるわけでもない、ただの端。

「……聞いてみます」

「聞くって誰に」

「川本さんに、ということです。連絡先を教えてもらえれば」

桐島はスマートフォンでメッセージを送り、すぐに番号を教えてくれた。それだけのことが、誠には小さな手続きのように感じられた。


夜、誠は川本さんにメッセージを打った。

三回書き直した。

最終的に「先日はありがとうございました。またお話しできれば」とだけ送った。


返信は十分後に来た。

——よかった。どこかでランチでも。田中さんって恵比寿あたり来ることありますか?わたしよく行くので。

誠は画面を見た。


恵比寿。


——あります。

と、打った。

送信して、しばらくしてから、それが事実であることに気がついた。

金曜の昼、誠は一人で食堂に行った。

トレーを持って席を探していると、窓際に空いたテーブルがあって、そこに座った。隣のテーブルで、知らない部署の社員が二人、話していた。

「また行ったんですか、あそこ」

「先月から三回。効果出てきた気がする」

「脱毛って痛くないんですか」

「担当の人が上手くて。全然怖くなかった」


誠は弁当のふたを開けながら、聞こえてくる言葉を、特に意図なく聞いていた。

「恵比寿のところ?」

「そう、Salone Luceっていうとこ。橘さんって人に」

誠の手が、少し止まった。

「橘さん?」

「五年のベテランで、すごく丁寧で。最初怖かったんだけど、ちゃんと声かけてくれて安心した」

誠はから揚げを一つ食べた。

味が、よくわからなかった。



◆ 橘あかり


木曜の夜、あかりは施術を三件終えて、閉店後の片付けをしていた。

松田が帰り、オーナーも早めに上がっていた。

サロンに一人残って、タオルを畳み、機器の電源を落とし、カウンターを拭く。

一号機が静かだった。

正確になったぶん、音が小さくなった気がした。以前は何か、微かに揺れるような音がしていた。勘違いかもしれなかった。

カウンターを拭き終えて、あかりはふと、先週の電話を思い出した。

研究室の方だそうで、と松田は言っていた。

声は落ち着いていた。用件を述べて、断られて、短く沈黙して、失礼しました、と言った。

その「失礼しました」の前の沈黙が、また、ひっかかった。

反論でも、食い下がりでもなく、ただ飲み込んだような間。

何を飲み込んだのだろう、とあかりは思った。

考えても意味がない、とも思った。

コートを羽織って、サロンを出た。


外は冷えていた。

駅に向かって歩きながら、あかりはスマートフォンを見た。

篤志から、メッセージが来ていた。

——日曜、空いてる?

あかりはそれを読んで、しばらく歩き続けた。

空いてる、とは答えなかった。空いてない、とも答えなかった。

スマートフォンをポケットに戻した。

信号が赤になって、あかりは止まった。

横断歩道の向こうから、人の流れが来る。コートを着た人、傘を持った人、イヤホンをした人。みんな、それぞれの速さで、それぞれの方向へ。

あかりはその流れを、ぼんやり見ていた。

信号が青になった。

渡りながら、ふと思った。

日曜、空いてはいる。

ただ、それが篤志に会う理由になるかどうか、まだわからなかった。


土曜の午後、常連客の施術をしながら、あかりは客の話を聞いていた。

客は四十代の女性で、娘の受験が終わったと話していた。

「お母さんも大変でしたね」とあかりは言った。

「ほんとに。でも終わってみると、なんか急に手持ち無沙汰で」客は笑った。「子供のことで頭がいっぱいだったから、自分のことを何も考えてなかったのかもって」

あかりは照射の前に「今から始めますね」と声をかけた。

「橘さんはどうなんですか。最近いいことありました?」

「普通ですね」とあかりは答えた。

「恋愛とか」

「普通です」

「若いのに普通って言う子は」客はまた笑った。「だいたい普通じゃないのよね」

あかりは何も言わなかった。

施術の手を、一定のリズムで動かし続けた。


その夜、あかりは結局、篤志に返信した。

——何時?

すぐに返信が来た。

——昼でも夜でも。あかりの都合で。

あかりはしばらく考えて、打った。

——昼にしましょう。

送信して、スマートフォンを置いた。

昼、と指定したことに、自分でも気づいていた。

昼は、夜より短い。終わりの時間が、見えやすい。

それを選んだ自分のことを、あかりは少しだけ、測った。


日曜の昼、篤志と恵比寿でランチをした。

イタリアンの小さな店で、パスタを食べながら、二人は話した。先週のカフェよりも少し、言葉が多かった。


篤志は転職先の話をした。新しい職場のこと、通勤のこと。あかりは仕事の話をした。機器が新しくなったこと、最近増えてきた若い客のこと。

デザートのタイミングで、篤志は言った。

「あのマンション、来月で引っ越すかもしれない」

「恵比寿から出るの?」

「出るかどうかはわからないけど」篤志はフォークを置いた。「なんか、同じ場所にずっといるのが、最近しんどくて」

あかりはそれを聞いて、何も言わなかった。

「あかりはずっと恵比寿にいるの?」と篤志は聞いた。

「仕事があるから」

「仕事がなくなったら?」

「わからない」とあかりは答えた。「考えたことなかった」

篤志は小さく頷いて、コーヒーを一口飲んだ。


帰り際、店の外に出ると、冬の陽が低く差していた。

「また」と篤志は言った。

「うん」とあかりは言った。

今日は振り返らなかった。

駅に向かって歩きながら、あかりは今日の篤志の顔を思い返した。

一年三ヶ月前と、何かが違った。うまく言えない。顔が変わったわけではない。話し方も、大きくは変わっていない。


ただ——何か、以前より遠かった。

物理的な距離ではなく、別の意味で。

篤志が遠くなったのか、あかりが遠くなったのか、どちらかもわからなかった。



◆ 田中誠


日曜の昼、誠は川本さんと恵比寿でランチをした。

提案したのは川本さんだった。誠は場所を任せた。

小さなビストロで、誠はステーキを頼もうとして、値段を見て、パスタにした。川本さんはサラダとスープのセットを頼んだ。

「田中さんって、休日何してるんですか」と川本さんは聞いた。

「電波の観測とか、論文を読んだり」

「ずっとそれですか」

「大体そうです」

川本さんは少し考えるような顔をして、「楽しいですか」と聞いた。

責めているわけではない、純粋に知りたいという聞き方だった。


「……楽しいかどうかよりも」誠はパスタをフォークに巻きながら言った。「やめ方がわからないというか」

「やめ方?」

「気になったら、調べるんです。調べると、次が気になる。その繰り返しで、いつの間にか時間が経っている。楽しいというより、止まれない、という感じです」

川本さんは静かに聞いていた。

「その調べてることって、誰かに話すんですか」

「話さないです。普通、興味を持たれないので」

「私は興味あります」と川本さんは言った。

誠は顔を上げた。川本さんは、普通に、そう言っていた。

「……なぜですか」

「なぜって」川本さんは少し笑った。「面白いからですよ。田中さんが一人で夜の恵比寿で電波を計測してる話とか、なんか映画みたいで」

映画みたいで、という感想が、誠には少し意外だった。変だとか、奇妙だとか、そういう言葉が返ってくると、なんとなく思っていたから。


食事が終わり、外に出ると、冬の陽が低かった。

「恵比寿って来ること多いんですか」と川本さんは聞いた。

「最近は」

「じゃあまた」と川本さんは言った。「恵比寿で」

誠は「はい」と答えた。

川本さんが角を曲がって見えなくなるまで、誠はなんとなく立っていた。

それから、今自分がいる場所を確認するように、あたりを見回した。


日曜の昼の恵比寿は、穏やかに人が歩いていた。

誠はその中に、しばらく立っていた。

特に急ぐ場所もなく、特に急ぐ用事もなく。


それが、以前ほど、悪い感じがしなかった。

【作者より】

何かAI小説による違和感がとても感じられる。


本来言わなくても良いことを言う、読み手が想像すべきとこまで文章に補ったりする。


また、途中途中に本来の小説として

あるまじき雑さや表現の仕方が狂っている箇所が見受けられる。


多くのAIに頼んだ上で書いてもらった中から総合的にClaudeを選んだ。

しかし、後半にいくにつれ危うさが多々出てきてる言語化しにくい感覚がある。

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