第81話 文化祭で何をする?
九月下旬。
新潟中央女子学園・はむぶ部室。
窓の外から、文化祭の準備を知らせる校内放送が聞こえていた。
「文化祭まで、あと一か月です」
真宵がホワイトボードに予定を書き込む。
「そろそろ、はむぶも出し物を決めないとね」
「去年は何をやったんでしたっけ?」
桜が尋ねる。
「展示が中心だったね」
澄香が答える。
「無線機やアンテナを並べて、アマチュア無線について説明しましたわ」
「それはそれで面白かったけど」
華が腕を組む。
「今年はもうちょっと、お客さんにも参加してもらえるものがいいんじゃない?」
「参加型ですか」
桜が考える。
「無線って、実際に交信してみないと面白さが分かりにくいところもありますし」
「でも文化祭でアマチュア無線を使うとなると、いろいろ確認が必要だよ」
真宵が言う。
「免許の問題もありますから」
「そこで」
華が突然、手を挙げた。
「特定小電力無線!」
「お」
彩鼓が反応する。
「それなら面白そう」
「免許が必要ないタイプの無線機を使って、模擬通信を体験してもらうんです」
桜も理解した。
「なるほど」
例えば。
教室の片隅を「本部」。
廊下の先を「現場」。
それぞれに無線機を置く。
「『こちら本部、聞こえますか?』」
華が無線機を持って芝居を始める。
「『こちら現場、聞こえています』」
桜が答える。
「それだけでも、初めての人には面白いかもしれません」
「そうですわね」
澄香も頷く。
「ただ無線機を展示するより、実際に声を送る体験をしていただいたほうが分かりやすいでしょう」
「簡単なミッションを用意するのもいいかも」
みなみが提案する。
「例えば、教室の中に何かを隠して、それを無線で伝えるとか」
「いいね!」
華が乗ってくる。
「『本部から捜索班へ。赤い箱を探してください』とか!」
「それだと、ちょっとしたゲームにもできますね」
桜が笑う。
真宵はホワイトボードに書き込んでいく。
『展示』
『無線機・アンテナの紹介』
『特定小電力無線による模擬通信体験』
『簡単な通信ゲーム』
「これなら、はむぶらしい文化祭になりそう」
「決まりですね!」
華が嬉しそうに言った。
「ただし」
真宵が人差し指を立てる。
「安全面と学校への確認はちゃんとやること」
「はい」
「無線機の使い方も、最初に説明する」
「はい!」
華が元気よく返事をする。
「それと、特定小電力無線だからといって、何でも自由に使っていいわけじゃないからね」
彩鼓が付け加える。
「電波法上のルールは守る」
「さすが彩鼓先輩」
真宵が頷いた。
「そこだけは頼りになります」
「そこだけって何?」
「何でもありません」
部室に笑い声が響く。
文化祭まで、あと一か月。
今年のはむぶは。
見るだけではなく。
実際に「無線で話す」楽しさを体験してもらう。
そんな文化祭を目指して、準備を始めることになった。




