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第75話 木崎湖の夜

 夕方。

 月潟リゾート木崎湖キャンプ場。

「設営完了!」

 華が大きく伸びをした。

 湖畔にはアンテナが立ち、無線機や電源関係の準備も終わっている。

「これで夜の運用に入れますね」

 桜がチェック表を見る。

「問題なしです」

「去年の佐渡とはまた違いますね」

 みなみが湖を眺める。

 佐渡では海沿いの開けた場所だった。

 今回は湖畔。

 山に囲まれた環境での運用になる。

「コンディション次第では面白い結果になるかもね」

 真宵が言った。

 そこへ。

「ただいま」

 杏果と澄香が戻ってきた。

「おかえりなさい」

 彩鼓が手を振る。

「買い出し、ありがとうございました」

「縁川商店さん、良かったですね」

 華が言う。

「木崎湖の近くで必要なものが揃うのは助かります」

 杏果が頷く。

 そして。

「さて」

 杏果が時計を見る。

「そろそろ温泉の時間じゃない?」

「温泉!」

 華の目が輝いた。

「行きましょう!」

 移動疲れもあり。

 全員が賛成した。

 向かったのは。

 近くの木崎湖温泉。

 湖畔の景色を眺めながら入れる温泉だった。

「はぁ……」

 湯船に浸かった瞬間。

 華が声を漏らす。

「生き返ります……」

「さっきも同じこと言ってましたね」

 桜が笑う。

「でも今回は本当にです」

「彩鼓さんの運転の後だからね」

 杏果が苦笑する。

「まだ言いますか……」

 彩鼓は少し反省した様子だった。

「「言います」」

 華と桜が同時に答える。

「……」

「まだトラウマなんだ」

 みなみが笑った。

 温泉で疲れを癒やした一行は。

 キャンプ場へ戻る。

 夕食の時間。

「今日は何にしますか?」

 華が聞く。

「キャンプ料理ですわ」

 澄香が準備した食材を並べる。

「信州らしく」

 テーブルには。

 野菜。

 肉。

 地元の食材。

 そして。

「バーベキュー!」

 華が喜ぶ。

「夏合宿って感じですね」

 桜も笑顔になる。

 湖畔の夕暮れ。

 炭火の音。

 時折聞こえる湖の波。

 昼間の移動騒動が嘘のような穏やかな時間だった。

「明日の21時からいよいよ本番ですね」

 真宵が言う。

「フィールドデーコンテスト」

「はい」

 桜が頷く。

「今年はどれくらい交信できるでしょうか」

 彩鼓も楽しそうに無線機を見る。

「佐渡とは違う結果になるかもね」

 杏果が言う。

「場所が変われば、電波の飛び方も変わりますから」

 食事を終えると。

 夜の木崎湖に星が広がっていく。

 湖畔のキャンプ場。

 明日の運用に向けて。

 はむぶの夏合宿は、静かに夜を迎えるのだった。

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