第2話 異世界といえば、定番の冒険者ギルド
翌日、俺は「魔王も大変だな」としみじみ思いながら、街をぶらついていた。
「おっ、異世界定番の冒険者ギルド! 行くしかない!」
勢いのまま、ギルドに入店する。受付では、角の生えたお姉さんが元気に迎えてくれた。
「こんにちは! 本日は殺りますか? 採りますか?」
「そんな殺気ある感じなの?ギルドって。とりあえず、登録お願いします!」
書類の職業欄には、『戦士』と記入した。これならバレない。
「では、この水晶に魔力を込めてくださいね!」
おっ、魔力測定か。これぞテンプレ、これぞ様式美だ。
俺は全力で念を込めた。
パキッ。
「「え?」」
水晶が、真っ二つに割れた。お姉さんの顔が凍りつく。
「あの……弁償ですか?」
「あなた何者ですか!? なんで割れるの!? 物理!?」
お姉さんは「先輩ー!」と叫びながら、奥へ泣きついていった。
結局、「魔力が多すぎて計れないこともあるけど、スキルなきゃ宝の持ち腐れだよね」という脳筋な結論で、スルーされた。先輩、適当すぎないだろうか。
ギルド証を手に入れた後は、ついでに武器屋へ向かった。
「ハンマーありますか? 叩き潰す感じのやつ」
寡黙な店主から、銀貨16枚でデカい鋼のハンマーとナイフを購入する。よし、これで見た目は完全に前衛職だ。
小腹が空いたので肉串を頬張っていると、通りの先に人だかりができているのを見つけた。
「聖女様よ! 祈りで病気が治るの!」
魔王都に聖女? 節操ないなこの街。
近づいて見てみると、黒髪の美少女が、神々しく光っていた。
「……マジで聖女じゃん。あ、でも俺、無宗教なんで」
串を完食し、俺は興味なさげに宿へ戻った。
翌朝、金欠の懐が「働け」と叫ぶので、ギルドへ向かった。
「おはようございます! 今日は稼ぎますよ!」
「なら、この薬草採取がおすすめ! 銀貨1枚の神案件です!」
お姉さんに送り出され、意気揚々と街の出口へ向かう。すると、そこには。
「おはようございます。先日は、うちの魔王様が大変お見苦しいザマを……」
先日の渋いオジサマが、爽やかに道を塞いでいた。
「え、あ、おはようございます」
「魔王様が『ちょっと話があるから来い、今すぐ来い』とおっしゃっております。お時間、よろしいですね?」
「え? いや、俺これからバイトが……」
「お時間、よろしいですね?(圧)」
「……はい、行きます」
反射的に、イエスマンの血が騒いだ。
薬草採取は、光の速さで終わらせた。ついでに勇者パワーで、イノシシもハンマーで吹っ飛ばした。3匹ほど。魔法で焼いたら、「焼きすぎ」と怒られた。
そうして俺は、再び魔王城へ向かった。
今度は正門から、堂々とVIP入城である。
玉座の間では、魔王エレンがドヤ顔で座っていた。横には、あのオジサマが控えている。
俺は、とりあえずテレビで見たようなお辞儀をしてみた。
「お呼びでしょうか、魔王様」
「まだ旅に出てなかったのね。感心感心!」
「ダメですよ、魔王様! 下心が見え見えです!」
側近のツッコミが響く中、魔王と元勇者の、絶対にろくなことにならない面談が始まった。




