第6話 少年兵
???「盗賊団は必ずこの城を通ります。このマルミーエ国を守るために頼みましたよ」
マックス隊長「お任せください。盗賊団など蹴散らして見せましょう」
謎の男が去るとマックス隊長は部下の若い兵士たちを集めて演説を始めた。
マックス隊長「チート勇者さまから盗賊団を倒せとの命令が出た。お前たちは20歳に満たないが成人しているのだからこの城を守るために戦わなければならない。盗賊団が来るまで訓練と警戒を怠らないように!」
この城は勇者がいるマルミーエ国を外敵から守るために造られた城塞都市でここを守る兵士たちの多くは16歳から18歳の少年だった。その中の1人で18歳のユウキは見回りをサボって仲間と雑談をしていた。
ユウキ「それであいつやっとレベルが上がったと思ったらステータスが1個も上がらなくてさぁ…」
兵士A「ギャハハ!」
兵士B「マジウケる!」
するとそれを見つけたマックス隊長の怒鳴り声が響いた。
マックス隊長「バカもん! 見回りをサボって何をやってるんだ! この隙に敵が攻めてきたらどうする!」
ユウキ「はい…」
兵士A「す、すいません!」
兵士B「すぐに持ち場に戻ります!」
ユウキは兵士になりたかったわけではないがそれがこの国のルールだった。
ユウキ「久しぶりに釣りにでも行きたいなぁ…」
いつものように愚痴をこぼしていたら突然、警報の鐘が鳴りだした。
マックス隊長「例の盗賊団だな」
警報を聞いて集まった兵士たちにマックス隊長が指示を出す。
マックス隊長「ユウキ! お前が盗賊団と戦う部隊の指揮を執るんだ! 俺は城を守る!」
ユウキ「わ、わかりました!」
マックス隊長「全兵士は命がけで戦うんだ!」
ユウキは出撃命令に従い部隊を率いて盗賊団のいる前線へと向かった。
サラ「次のチート勇者はこの先にいるのかい?」
ジャック「ああ。だがその前にこの先にある城塞都市を突破する必要がある」
トニー「城の守備が堅そうですけど首尾よくいきますかね?…守備だけにっ!」
ジャック「それはこの城の徴兵システムをうまく利用できるかもしれない」
やがて盗賊団とユウキが率いる部隊が接触して戦闘が始まった。
ユウキ「兵数はそれほど違いがないのに押されてる!?」
レベルと実戦経験の差から盗賊団が優勢だった。
ジャック「敵のリーダーと一騎討ちをしてそのリーダーを捕縛したい」
サラ「それならあたしにやらせておくれよ」
トニー「殺しちゃだめですよ」
ジャックの指示でサラがユウキの前に出て挑発を始めた。
サラ「ねぇそこの坊や。アンタ、人を殺したことないだろ? 手が震えてるよ」
ユウキ「そ、そんなことはない!」
サラ「強がることはないさ。アンタはまだおこちゃまなんだから」
ユウキ「うっ…」
サラ「おいで…あたしが遊んであげるよ」
ユウキ「うわぁぁっ!」
ユウキがサラに斬りかかる。しかし逆上して精彩を欠いた斬撃をサラがダガーで受け流した。そしてユウキが体勢を崩したその隙にサラがダガーで数回切り刻む。
ユウキ「ぐうっ!」
サラ「一丁上がりっ!」
ユウキが倒されたのを見た他の兵士たちが慌てて逃げ出す。
兵士A「まずい!」
兵士B「一旦城に退却だ!」
ユウキ「待ってくれ! 僕を置いていくな!」
置き去りにされたユウキにジャックが近づく。
ジャック「君がリーダーだな?」
ユウキ「ぼ、僕をどうするつもりだ!」
恐怖心に脅えるユウキにジャックが優しく諭すように言った。
ジャック「どうもしない。君はまだ子供なのになんで戦場に来たんだ?」
ユウキ「それは…それがここのルールだから」
ジャック「大人の代わりに子供が戦うルール?…君はだまされてる」
ユウキ「え?」
ジャック「誰だって死にたくない。だから大人はだましやすい子供を利用してるんだ。君を盾にすることが前提だから大人は戦争を回避する努力をしないんだよ」
ユウキ「そんな…」
ジャック「君を殺そうとしているのは誰かな? 君の本当の敵は誰かな?」
ユウキ「…」
城に戻ったユウキたちをマックス隊長が怒鳴りつける。
マックス隊長「なんで生きて戻ってきたんだ! この恥さらしめ! お前たちには誇りがないのか! もう一度行って今度は死ぬまで戦え!」
ユウキ「…」
マックス隊長「聞いているのか! この役立たずめ! お前たちの親の顔が見てみ…」
言葉を遮るようにユウキがマックス隊長に剣を突き刺した。
マックス隊長「な、…ぐはっ!」
倒れて絶命したマックス隊長。そして一部始終を見ていた兵士たちが恐る恐るユウキに話しかけた。
兵士A「ユ、ユウキ?」
ユウキ「違う」
兵士B「え?」
ユウキ「これからはユウキ隊長だ!」




