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64話 好きの意味

《可南視点》


 その日は、趣味のツーリングで行った先に品揃えの良いワインセラーがあり、珍しい品をしこたま買い込んできたという龍が手土産持参で俺の家に来ていた。


「やっぱり、なんだかんだ言ってチーズは一口サイズのモッツァレラが一番好きだよね。白玉みたいなのにチーズなんてまったく最高にも程がある」

「それなら白玉でもいいんじゃないですか」

「コーヒー飲むならそれでもいいんだけどワインだからなぁ」


 テレビをなんとなくつけながら、あれもいい、これもいいと二人でワインの飲み比べをしていた時だった。賑やかなBGMと共にテレビ画面が切り替わり、派手なテロップと共に男女の映像が流れ始める。


「へぇー、話題のカップルだって……この二人の身長差45cm?! 俺と龍さんよりあるよ」

「女性が高いんすね。2mって……男性は可南さんよりちょっと高いくらいですか」

「そう。これで親子みたいに見えるんだから俺がこの彼女と並んだら、さらに差が」

「まるで小人」

「せめて幼児くらいにならない?」

「すみません」


 空いたグラスにワインを注ぎながら、俺はちょっとした興味に駆られ疑問を口にした。


「こんなに身長差があるとカップルはキスにも一苦労だね。龍さんは背が高いからこういう状況になる可能性ありそうだけど、恋人とここまでの身長差って気になったりする?」

「まー……実際好きになったら俺はそれほど気にならないでしょうねぇ。でも貴方の方が何か不便なら対策は考えますよ」

「……ふーん? 相手次第ってことね」


 相槌を打ちながら、頭の中には疑問符が浮かんでいた。


(今の返事……何で俺? 今恋人の話で………あ、友達として付き合ってて不便があればってこと? んん?)


 頭の中に沸いた疑問の答えを探すように、俺はテレビから視線を外して横の龍を見た。


「……」


 答えはしっかりそこにあった。

 顔だけでなく耳の端まで赤く染め、手で口元を覆っていた彼を見て、やはり恋人=俺と想定して話していたのだと分かった。

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