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【完結】呪われた王子と幸せにしたい少女  作者: Nadi
三章

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理想の女性

 フェリクスたちは、ディナディアラピスが作り出してくれた重い扉を開けた。


どれほど恐ろしい場所につながっているのかと身構えたが、そこは外につながっており、美しい草花が広がり、空は青く晴れ晴れとし、温かな気持ちの良い風がフェリクスたちの頬を撫でる。


そして、フェリクスたち前には上品な昔の様式の屋敷が佇んでいた。


 ロゼが困惑しながら辺りを見渡す。


 「なに? ここって本当にキエリを攫った奴がいるの? なんだかほのぼのとしてて、気が抜けちゃう」


ゼノが伸びをして、深呼吸をする。


 「たしかに別荘に欲しいくらいねん。でも、ここも現実とはかけ離れている感じがするわね」

 「気を抜かずに行こう」


 犬には危険なので扉の前で「待て」させて、フェリクスたちは屋敷に足を踏み入れた。


 屋敷には鍵はかかっておらず、驚くほどすんなりと侵入できた。


玄関ホールは人の気配がなく、天井のシャンデリアが魔法で作られた明かりで静かに輝いていた。


 屋敷の外側もだったが中もアンティーク調で、家具も年代物のようで細かい造りが繊細で美しい。


 「んー、趣味はいいわね。持って帰ってもいいかしら?」

 「ゼノ、あたしたち泥棒じゃないんだから‥‥」


 三人は、キエリの居場所など見当もつかないので、しらみつぶしに部屋をまわることにした。


 途中、あまりにも何も起こらないので、ゼノが大きく口を開けてあくびをしていた。


 「ゼノ、気を抜きすぎよ! 油断するのやめるって言ってたゼノはどこ行ったの!?」

 「だってぇ、なーんもないんだもん。こんなに堂々と歩いても誘拐犯が全く来ないなんて、お出かけしてるのかもよ」

 「たしかに、怖いくらい何も起こらないけど‥‥誘拐犯はゼノみたいな魔法使いなんでしょ? 絶対なにかあるわよ」

 「さらに、性格悪いだろうしね。そこだけはアタクシと違うわ」


ロゼはお前もたいがいだ、と訴える視線をゼノに向けていたがゼノは気にせずにこりと笑っていた。


 「ゼノ殿、キエリを攫ったのは骸骨マスクの男だったな」

 「ええ‥‥そういえば、顔や手袋でからだを隠しているから分かりづらいけれど、わんちゃんの記憶で聞いた感じ、声は年寄りじゃなかったわね」

 「だが、ディナディアラピスはキエリを作った人間がここにいると言っていた」


ロゼは、首を傾げて眉をひそめる。


 「おかしい、ですね‥‥キエリはたしかずっと昔に作られた。殿下が生まれるよりも前から‥‥なら、誘拐犯はそうとうよぼよぼの人ってこと? それで魔法使いの骸骨マスクの男を雇ったとか‥‥」

 「んーどうかしら?」


ゼノが髪の毛をくりくりと指で回しながら、考え込む。


 「あの男、相当キエリに執着していたみたいだし、人間やめてるって言ったでしょ? よぼよぼのからだを変えたんじゃないかしら? どうやってかはわからないけど、なんとなーく想像つくわ」

 「ディナディアラピスか‥‥」

 「そそ、あの子の力を借りれば、不可能なことが可能になっちゃう。それくらいものすごい魔力だった‥‥」


ロゼが不安げに顔を曇らせて、爪を噛む。


 「じゃあ、あの結晶やっぱり敵なんじゃ‥‥まさか、本当はここにキエリはいない‥‥?」

 「どうかしら? 探してみないことにはねぇ。でも、あの子は嘘ついてはいなさそうだったけど」

 「そんなことどうしてわかるのよ」

 「アタクシって嘘つきだから、同じ嘘つきはすぐにわかるわん」


ロゼは、ゼノの言葉にすんなりと納得してしまった。



 三人は、部屋を覗いては調べ、その度に何か持って行こうとするゼノをロゼが諫めるというのを繰り返していると、一室、鍵のかかった部屋にたどり着いた。


 「ここは?」

 「殿下、あたしが開けます」


ロゼがノブに手をかけて魔力をおくると、カチャカチャと音がして扉が開いた。


 「ありがとう、アルス殿」

 「い、いいえ‥‥」


まだ少しぎこちなく返事をするロゼをフェリクスは何も言わなかったが、何かを考えているようだった。


 扉を開くと、そこはカーテンが閉められているようで、他の部屋よりも薄暗かった。


しかし、その部屋の異常さはすぐに見てとれた。


 「な、んだこれは?」


その部屋には肖像画が壁一面と壁に掛けられていた。


しかも、その肖像画に描かれた人物はキエリと瓜二つであった。


 絵画のキエリと思われる女性は美しく優し気に微笑んでいて、これを描いた人物は彼女に並々ならぬ感情を持っていることがわかった。


女性が花束を持つ絵、買い物をしている絵、読書をしている絵、様々な日常を描いてある。


 フェリクスとロゼが部屋に足を踏み入れ、部屋の中を見回す。


 ロゼが部屋の肖像画をまじまじと見て眉をひそめ、目ざとく不思議な点に気付いた。


 「キエリ‥‥? ん?‥‥でも変ね、このキエリが着ているドレス、かなり前に流行ったものじゃ‥‥」

 「ね、そうよね、ゼノ‥‥ゼノ?」


ゼノは、部屋にも入らずに顔を真っ青にして、額に脂汗をかいていた。


 「どっどうしたの? 体調でも悪いの?」

 「そ、うみたい‥‥アタクシ、この部屋には入りたくないわ。部屋の外で待っているから、見てきて」


ゼノは、そう言って、部屋から離れて行ってしまった。


 「肖像画が怖いのかしら? たしかに、これだけ絵があったら少し不気味だけど、ばらばらの人形よりもいいじゃない‥‥」


 ふと、ロゼはフェリクスと二人きりになってしまったことに気が付いた。


 (う‥‥気まずい。早くキエリを探してゼノと合流しよう)


 部屋が奥にも続いていて、フェリクスが奥へと進んで行き、ロゼも続く。


奥の部屋には手前の部屋の倍はあるだろうかというくらいの肖像画があった。


フェリクスは、肖像画を険しい顔でじっと見つめている。


 「キエリにかなり似ているが‥‥キエリが描かれているのは、おかしいな」


フェリクスが話しかけてきたので、ロゼは肩をびくつかせた。


 「お、おかしい、ですか?」

 「ここにある肖像画は、今のキエリの姿だ。以前のキエリの姿とは全く違う」


 キエリは、フェリクスと出会う前は人形の姿で、出会った時にはぼろぼろになり、人間になってからも傷だらけで、それからやっと両腕がついて、顔の傷が消えた。

しかし、これら絵の女性はどれも顔に傷もなければ、両腕もある。


 「この肖像画の持ち主は‥‥キエリを作った人ですよね、きっと‥‥」

 「だろうな。しかし、いつ人間の姿になったキエリを見つけて、こんなにも大量に絵を描いたんだ‥‥いや、考えても答えはないか‥‥」


答えは描いた本人しかわからないと思い、答えを探すことは諦めた。


 「この部屋にキエリはいないな‥‥でよう」


ロゼは、二人きりの状況が終わることに安堵してゆっくりと息を吐いた。


 (はぁ‥‥ついてきたはいいけど、気まずすぎる。ううん、これもキエリを助けるためよ! それに‥‥)


 「アルス殿」

 「はっはい!?」


突然呼ばれて、声が変に裏返った。


 「ありがとう」

 「へ?」


いったい何に対しての礼なのかわからずロゼは目をぱちくりと瞬かせた。


 「そなたがいてくれて、ゼノ殿がいてくれて、俺はキエリを助けに来れられた。俺だけだったら、無理だったよ」


背中を向けていて、表情はわからなかった。

だが、顔が見えない方が今のロゼにとって助かった。


 「‥‥あたしは‥‥キエリを助けたかったのもありますけど、フェリクス様のお力にもなりたかったんです‥‥」

 「え?」

 「何でもありません! オレオール国の国民なのだから、殿下をお助けするのは当たり前ですよ。さ、キエリを探しましょう」


ロゼはさっさと部屋をでていった。


ほんの少しだけ小さな声で本音が言えたが、はっきりとは伝えられない自分に苦笑いがこみ上げていた。



 「あっ、出てきた。こっちよーん」


 肖像画の部屋に入っていなかったゼノが長い廊下の先で大きく手を振っていた。


ゼノと合流すると、ゼノがにんまりと笑っていた。


 「キエリのいるっぽい部屋あったわよん、もぅ、絶対ココ!ってとこ」

 「本当か!?」


フェリクスたちは急いでゼノの言った部屋に向かった。

だいぶ話の様式を変えたのですが、どちらが読みやすいのでしょか?

もう、わかりません。


ストックナッシング…


色々とゼノさんの謎がでてますが、正直本編では解決しません。

なので、本編終わった後、短編か何かで語られる…はず

気力が残っていたら…

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