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【完結】呪われた王子と幸せにしたい少女  作者: Nadi
三章

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お祭り

三章始まりです。

平和でいたいですが、今後流血、胸糞がでてくる気がします。

気が…します。


ハッピーハロウィン…。

 「お祭り?」

 「あぁ、年に一度亡くなった人が化けて出ると言われていて、それから身を守るためにみんなお化けの格好をするんだが、今となってはお化けの格好の仮装して楽しむ祭りになっているんだ。町に行けばたくさん出店もあるし出し物もある。行くか?」

 「行きたい! みんなも誘ったら行くかな?」

 「さっきグイスとすれ違ったが衣装をもってうきうきしてたぞ。クイナにも着せてやるんだって言ってたな」

 「ふふ、グイスってこういうお祭り好きそうだものね。あぁ、でもまた変なことをしてクイナと喧嘩にならなきゃいいけど」


 キエリは、にこにこと祭りへの思いを馳せながら、ドレッサーの前に座り髪の毛を櫛で梳かしていた。


鏡越しに後ろの寝台に座るフェリクスが見えて、その視線が自分を愛おしげに見ていたということに気付くと少し気恥しくなって視線をよそにやった。


 キエリは梳かし終えて、櫛を置くとフェリクスの隣に座って肩を寄せる。


視線を左手に落とすと大好きな人の瞳と同じ色の宝石がはめられた指輪が優しく輝いている。


これを見るたびに見守られている気がして、キエリはとても心が安らいだ。


 出会ってから半年、二人は一生を共にすると誓い合った。


思えばかなり早い行動であったが、二人に迷いはなかった。


もちろん大変なことだらけだったがキエリはフェリクスと一緒ならなんだって乗り越えられた。


フェエリクスも将来王妃になるために奮闘するキエリを懸命に支えていた。


 「コンゴウさんは、お祭り好きかな?」

 「うーん、仕事をしてそうだな‥‥たまには息抜きをしてほしいんだが」

 「そっか‥‥エレドナさんはもしかしてご家族で出かけるかな? お孫さんや息子さん、義理の娘さんとの時間を大事にしたいって言ってたから」

 「あれは驚いたな。まさかエレドナに孫ができていたとは」

 「このあいだお邪魔したときにはお孫さんを抱っこさせてもらったの。子どもってとってもかわいいね」

 「あぁ、俺も今度会いに行こうかな‥‥」


 「‥‥‥」


沈黙が二人の間に通り過ぎたが、二人の触れ合う肩から伝わる温度は熱かった。


キエリがちらりとフェリクスをみると、フェリクスもまたキエリを見つめていた。


その視線には甘い熱がこもっていた。


それからどちらかともなく唇を重ね合わせて寝台にともに倒れた。




 祭りの日、当日。


 コンゴウはやはり仕事をするとのことで「若いもの同士で楽しんできたらいい」と言われた。


エレドナもやはり家族で祭りをまわるそうで、キエリとフェリクス、クイナとグイスという面子になった。


 キエリは、魔法で髪を黒くしてもらい、フェリクスも髪色を茶色に変えた。


 祭りの間はほとんどの人が仮装をするらしく、グイスが「せっかくの祭りを楽しめ!」といろいろと貸してくれた。


キエリは白いお化け頭巾を被り、フェリクスは、狼のつけ耳としっぽをつけられた。


このチョイスはどうしたものかとグイスをじとっとした目で睨んだがキエリに可愛いと言われてしまってそのままつけることにした。


 城下町はすっかり祭りに浸っていて、作り物の蜘蛛の巣や猫を模った装飾品がそこらじゅうに飾られている。


かぼちゃを顔の形にくりぬいて作ったランタンが妖しく輝いていて、魔法で作った灯りが空中に漂い幻想的な雰囲気だ。


 「わぁ、素敵! いつもの町とは雰囲気が違うね」


キエリが水色の瞳を輝かせながら祭りの装飾品を眺める。


 「せっかくの祭りなのにコンゴウも来たらよかったのにな。仕事人間め」


グイスが呆れたようにため息をついた。


 グイスは全力で祭りを楽しみたいらしく、全身を仮装でかためていて、外套を羽織って、作り物の牙までつけている。


 「はぁ‥‥このお祭りを楽しむのなんていつぶりだろう? 仕事を始めてからやってないな」


クイナはどきどきしているのか心臓の部分に手を置いて周りをきょろきょろと見渡している。


 クイナはグイスに全身仮装でまとめられそうになったが顔に傷の化粧をほどこすだけでとどまった。


 「クイナは、以前誰かとお祭りしたの?」

 「あ、僕は孤児院育ちだからね。あのお屋敷で仕事をする前はそこで過ごしていたんだ。だから、そこで一緒に過ごしていた子供たちとお祭りを楽しんでいたんだけど‥‥みんな元気にしてるかなぁ」

 「そっか‥‥小さい子の面倒を見ていたから、クイナはしっかり者なんだね」

 「そ、そんなことないよ」


クイナは照れて顔を赤くして俯いていると人ごみに押されて流されそうになったが、フェリクスが咄嗟にクイナの手を取った。


 「大丈夫かクイナ?」

 「はっはい、ありがとうございます」

 「キエリも人が多いからはぐれないようにな」

 「うん、大丈夫だよ。はぐれてもすぐ見つけられるよ。フェリクスは背が高くてよく見えるもの」

 「キエリだけ心配すんのか!? オレもはぐれるかもしれないぞ!」

 「グイスははぐれても大丈夫だ」

 「そうですね、グイスさんははぐれてもいいです」

 「つ、冷たい! キエリ、お前の旦那と友達は何と冷たいことか‥‥」


グイスがふざけて大げさに泣きまねをしながらキエリに訴えるとキエリは笑いながら手を差し出した。


 「グイス、そんなに寂しいならおてて繋いどこうか?」

 「お前の旦那からの視線が痛いからいい!」


 祭りでは食べ物やお土産品の出店以外にも遊ぶことのできる屋台もあった。

四人の目を惹いたのはお化け屋敷だった。


屋敷と言っても大きな天蓋を張ったもので、その中を不気味に装飾してさらには役者がお化けの格好をして客を驚かせる。


 「お化け屋敷、だって。どんなのかな? 入ってみる?」


キエリが興味ありげにワクワクとしながらフェリクスを見る。


 「入ったことないな‥‥クイナはどうだ? 入ってみたいか?」

 「へ!? う、うーん‥‥」


ちょっと不気味な雰囲気のお化け屋敷にクイナは少し怖がっているようだった。


キエリは、しまったクイナは怖いの苦手だったなと思い出し、じゃあやめようかと言おうとしたがすかさずグイスがクイナの肩を掴んだ。


 「ふぅん、クイナまさか怖いのか? たかだか作り物だぞ?」


グイスがニヤッとしながら言うのでクイナはカチンときてしまった。


 「行きましょう」


キエリとフェリクスが心配そうにクイナを見つめる。


 「クイナ、本当に大丈夫?」

 「大丈夫です。さ、行きましょう」


クイナは意固地になってしまったらしく、ずんずんと先に行ってしまった。


 お化け屋敷に入ると中は一層暗く、なんだか温度まで低く感じた。


作り物の骸骨や魔法で作った青色の炎で燃えるろうそくなどが不気味さを演出している。


 「キエリ、暗いから気を付けて」

 「うん、ありがとう」


フェリクスは危ないからとキエリの手をいつの間にか繋いでいた。


キエリも幸せそうににこりと微笑んで手を握り返している。


 「お前らいつでもどこでも平常いちゃこらだな‥‥ふぅん、にしても、よくできてるなぁ」


グイスはまじまじとお化け屋敷の道具を見る。


 「これなんて本物みたい‥‥って、クイナ?」


クイナは冷や汗を流しながら、引きつった笑みを見せる。


 「だっ大丈夫、大丈夫です‥‥」

 「うがーーーーっ!」

 「だぁーーーーーー!?」


お化け役の人がクイナの後ろから脅かしにかかり、クイナは思い切り叫び声をあげた。


 「クっ、クイナ! 落ち着いて、人間だから! 人間」

 「あっ、はぁはぁ、うん‥‥」


キエリがクイナを落ち着かせるがグイスはクイナを見てげらげらと笑っていた。


それにクイナは射殺すような冷たい視線をおくっていたがグイスはお構いなしだった。


 「っつ、速くこんなとこ抜けてしまいましょう!」


クイナはやはり意固地になって先に進んでいった。


キエリがじっとグイスを睨むと「わかったよ、ついて行くから」と言ってクイナの傍について行った。


 「もう、グイスってばすぐにクイナをからかうのだから」

 「なんだかんだ言ってグイスはクイナを気に入っているからな‥‥クイナは、どう思っているかわからないが」

 「でも、一緒に来てくれたってことは、嫌いじゃないのかも」


キエリとフェリクスがそんな話をしていると前を歩くグイスとクイナがきゃんきゃんと喧嘩し始めているのが見えた。


 「そう、だと‥‥いいが‥‥」


 キエリはお化けが飛び出せば一旦は驚くがそんな怖いと思っていないらしく、慣れると散歩するかのように足取りが軽やかだった。


 フェリクスは、キエリが少しくらいは驚いて自分に抱き着いたりしないかな、とか考えていたがそんなことはなくて少しがっかりした。


そういえばキエリは、以前暗く不気味な屋敷に一人で来て、平気で一晩中掃除をしていたことを思い出した。


 (でも、手を繋いでくれてるし、いいか‥‥)


横で歩きながら周りを興味深そうにきょろきょろと見渡しているキエリを見て、フェリクスは顔がほころんだ。


 (黒髪も可愛いな‥‥頭巾にしてもらって助かった。キエリは可愛らしいから顔が見えにくい方がいい)

 (あぁ、だが、キエリの可愛らしさというのは隠しても隠しきれないな。顔が見えないこの位置からでも可愛い)


でも、やっぱり顔が見たいな、なんて考えていたらキエリに伝わったかのように顔を上げた。


 「ねぇ、フェリクス」

 「ん?」

 「お化けって何なのかな? 亡くなった人がなるのは知っているけど、亡くなった人全員がなるものなの?」


キエリはいたって真剣に考えているようなので、フェリクスも一旦キエリを愛でる気持ちを落ち着けた。


 「お化けか‥‥この世に未練がある者がなるらしい。未練もなく生が終わったものは、女神のもとに戻って、大切なひとや親しい人たちと心穏やかに眠ると言われているよ」

 「‥‥未練、か‥‥それは、辛そうだけど、でも、お化けになったら生きている人にまた会えるのかな」


キエリは顔を伏せてしまいフェリクスから表情が見えなくなった。


しかし、キエリからは悲しむ気持ちが漏れ出ていて、フェリクスにもそれが伝わってきた。


 「キエリ?‥‥もしかして‥‥」

 「だぁーーーーー!!」


再びクイナの叫び声が聞こえてきて、キエリとフェリクスが目を凝らして道の先を見てみるグイスが地面に仰向けで倒れていた。


どうやら、グイスがちょっかいをだしてクイナに背負い投げされたようだ。


 周りのお化け役の人があたふたとしながら駆け寄ってきて、さすがに四人はお化け屋敷から追い出された。

なんか、ちょっとかえました

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