生まれ変わる?
ちょっと短いです…
「ふぁあ、どれがいいかなぁ‥‥」
「ちょっと、どれもこれも高級品じゃない!?」
「や、やっぱり?‥‥フェリクス様からもらったものなのだけど、でも、もらったものしか持ってないから‥‥」
「遠慮なく借りるね。そうじゃないと素っ裸なんだもの」
湯浴みを終えた二人は、キエリの部屋のクローゼットをあさって着る服を探していた。
幸い、二人の背丈はあまり変わらず着られそうなので服をロゼにも問題なく貸してあげられそうだった。
キエリは相変わらず眠たそうにあくびをしていて、ロゼが時折起きて!と肩をゆすってくれて何とか踏みとどまっていた。
二人とも茨のせいで傷だらけなので、寝台で座りながら、服を着る前に傷薬を塗って傷の手当てをお互いにした。
「それにしても傷だらけになっちゃったわね‥‥はぁ」
「これも勲章だよ。浅いから傷跡は残らないと思うし」
「もう、女の子なんだから気にしなさいよ!」
「そうよそうよ! もう、キエリったら一人で冒険しちゃって、そこらの男より勇ましいんだからっ」
突然第三の声が参戦してきていて、ロゼは飛び跳ねて驚いた。
「ぎゃあ! だっ誰よ!?」
「ゼノ! 解放されたんだ」
「久方ぶりじゃのうキエリ~」
ゼノはいつの間にか寝台に腰掛けていて、いつものふざけた口調でおどけていた。
ロゼは突然現れたゼノに驚いて、目を白黒させて、とりあえず下着姿なので寝台の毛布を引きよせてからだを隠した。
「あらん、腹痛魔女は生きてたのね。キエリはそう選択したのかぁ~」
「やっぱりゼノは知ってたのね、呪いを絶つ方法‥‥」
「もちろん! そのためにキエリに短剣を選ばせたんだから!」
「護身用って言ってたのに‥‥」
「それも、ある! 使い方なぞいろいろあるでしょ」
ゼノは、三人が座ってもう狭くなっているというのに、その寝台にどっしりと寝そべった。
キエリは、ゼノの方を向くと深く頭を下げた。
「ゼノ、本当にありがとうございました。ゼノに助けてもらってばかりだね」
「いーじゃない? 利用できるもんは、利用してなんぼよ。どんどん利用なさーい」
「ゼノは‥‥変わってるけど、やっぱり優しいんだね」
「へ? は、う、まぁーね! 心優しきママンとお呼びなさい!」
ゼノが優しいと言われて一瞬ぎこちなく慌てたがまたすぐにいつもの調子に戻った。
ロゼがこっそりとキエリに尋ねる。
「キエリ、このおばさん誰?」
「誰がおばさんじゃ、ごるぁ!? 聞こえてるわよ小娘ぇ!」
「ひっ!」
ゼノが鋭い眼光でロゼを睨みつけるとロゼはキエリの後ろに隠れた。
「この人は魔女のゼノ。わたしの恩人だよ」
「恩人?」
「うん、話せば長くなるのだけど‥‥‥ふぁ」
気力で踏ん張っていたキエリに限界が近づいてきた。
「キエリ、魔力をたっくさん使ったんだから、もう限界でショ? おねんねしたら?」
「う‥‥ん」
キエリは、緊張の糸が切れたようで座ったまま眠りにつき始めた。
「え? ちょっとキエリ!?」
「寝かしてあげなさいよ。アナタとフェリクスの呪いを解くのにそうとうな魔力を使ったのだから」
ゼノは、起き上がってキエリを寝台で横にしてあげた。
ロゼは、一人で持っていた毛布をキエリにかけてあげる。
「ねぇ、キエリって何者なの? 感じられる魔力も不思議だし、なんというか行動も人間離れしているというか‥‥」
「だって、もとは人間じゃないもの。お人形さんよ」
「は? 人形?」
「この世には~不っ思議なことがあるものさ~」
ゼノはふんふんと鼻歌を歌いながら、指をふる。
ロゼは終始ふざけているゼノと会話しているとなんだか頭痛がしてくる気がした。
とにかく治療は終わったので服を着た。
ゼノは立ち去る様子がなく、じっとロゼを見ている。
「な、なんなのよさっきから‥‥」
「ね、アナタ新しい人生歩んでみない?」
「は?」




