表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】呪われた王子と幸せにしたい少女  作者: Nadi
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/77

新しい道

 城ではフェリクスの快気祝いとして貴族たちが集まっていた。


何人もの貴族たちがフェリクスの元へ来ては祝いの言葉を述べる。


心配していた友人たちは心の底から祝い喜びを分かち合い、呪われたフェリクスと関わらないでいた貴族たちは、今になって必死に手のひら返しに忙しそうにしていた。


そんななかフェリクスは、体調はすぐれなかったがそれを微塵も見せないようにふるまっていた。


 一段落し、少しだけ休もうと休憩室に入ると、そこには婚約者のファシネがいた。


フェリクスはファシネの姿を捉えるとからだが硬直した。


ファシネとはあの日以来、言葉も手紙さえも交わしていなかった。


実質終わった仲だ。


 「ファシネ‥‥」

 「フェリクス様、大変ご無沙汰しております‥‥‥この度はご全快おめでとうございます」


ファシネは礼儀正しくフェリクスに頭を下げた。


 「ありがとう、顔を上げてくれ‥‥ファシネは‥‥少し痩せたか? ちゃんと食べているのか?」


ファシネは、顔をあげるとやはり最後にフェリクスが見た時よりもなんだか(やつ)れて見えた。


そして、顔には悲壮感が表れていた。


彼女なりにこの二年間苦しんでいたというのがすぐに見てとれた。


 「‥‥どうして、こんな私に心配してくださるのですか‥‥私は二年前もその後もあんな酷い態度をとったのに‥‥」


ファシネは、唇を噛みしめて、声は震えている。


フェリクスは、あの時のファシネの怯えきった目は、はっきりと覚えていた。


それでも、フェリクスにとってはファシネは一度は共に国を治めるだろうと思っていた仲であったし、フェリクスなりに彼女のことを大事に想っていた。


 「ファシネ、お前とは一度は生涯を共にするだろうとなった仲だ」

 「それに、もし逆の立場だったら‥‥俺はどのような態度をとっていたかはわからない」

 「きっと! きっと、フェリクス様でしたら受け入れていたと思います‥‥」

 「そう、だろうか? 俺はこの二年で学んだよ。俺の心は弱い。それに黒い部分もあるのだと‥‥常に正しい行いができるわけじゃない」


 (そうだ‥‥だからキエリを‥‥でも未だにキエリに対する黒い欲望が収まらない‥‥)


フェリクスは胸に手をあてると未だに胸の奥にある痛みが伝わってくるようだ。


深呼吸をし、今は目の前にいるファシネに向き直る。


 「だから、俺はお前を責めることなどしない。だから、ファシネも自分を責めるようなことはもうするな」


ファシネは、今にも泣きだしそうなのを必死に我慢しているようで眉間に皺を寄せていた。


 「あの‥‥フェリクス様‥‥」

 「あぁ、わかっている。お互いにより良い道を選ぼう‥‥」


ファシネは、ゆっくりとこくりと頷いた。


 ファシネは、礼儀正しくお辞儀をして「今までの殿下と過ごした時間は大事な思い出します」と言って、休憩室から出ていった。




 休憩室で一人になったフェリクスはソファに深く座った。


 「‥‥‥キエリ」 


 (彼女のことが頭から離れない。今すぐ会いたい。今どこで何をしている? 無事なのか?)


 「っつ!!?」


フェリクスは突然心臓が鷲掴みにされたような苦痛に襲われ、胸を押さえて縮まりこむ。


 「ぐあぁ、ああ!」


次第に心臓部分が酷く冷たくなり、そこを押さえていた手に不思議な感触がした。


 (な、なんだ?)


そして、冷たさは移動しているようで、少しずつからだの外側に移って、やがて、完全に外側に冷たさの原因は出た。


手のひらでフェリクスはそれを掴んで、ゆっくりと縮こまっていたからだを起き上がらせる。

 視界が明るく感じた。


心にずっと刺さっていた棘のような痛みがきれいさっぱり取れて、心が本当に軽くなった。


頭痛もしない。からだのだるさもない。


 手のひらに視線を落とすと、手には黒バラの花を握っていて、しかもそれは異様に冷たかった。


しかし、突然と枯れて灰のようになって消えてしまった。


 「本当に呪いが解けた?‥‥キエリ!」


今すぐキエリを助けに行こうと立ち上がり、ゼノのもとに行こうと休憩室を飛び出した。


しかし、会場となっていたダンスホールが騒がしい。


今は一分一秒も惜しいところなのだが行かないわけにもいかず、さらには聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。


 「キャー!! あの魔女だわ! ロゼよ!」


フェリクスは、その信じられない言葉に耳を疑った。


一気に表情は険しくなり、腰につけている剣を強く握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ