きっと運命✿
王子とキエリの絵を文末に挿入しました。見たくない方は注意です。
今回で一章はおしまいになります。
2022/1/3 挿絵の入れ替えを行いました。
アナログからでぢたるへ!
グイスさんは‥‥いつか‥‥また
王子は、部屋で一人読書をしながら考え事をしていた。
(キエリが戻ってきてよかった‥‥だが、気を付けねば。彼女がまた出ていくだなんてことがないように‥‥)
キエリが居なくなったことはそうとう王子にこたえていた。
それゆえ、キエリには二階の部屋に移動してもらい、それでも心配は拭えず部屋の窓に鍵をかけた。
さらに、メイドの一件もある。
まさか、キエリがそんな危ない目に合うとは思ってもみなかった。
本当に馬鹿だったと反省した。
刃物を持ったメイドがキエリを襲っているのを見た時、あのメイドに対してどす黒い感情を持った。
今でもそうだ。
こんな感情は呪いをかけられた時しかないと思っていたのに、元の自分も持っていたことに驚いた。
とりあえず、あのメイドは監獄におくったから、出てくることはしばらくない。
机に肘をつき、髪の毛をかきあげる。
(彼女の部屋の前には護衛騎士を配置しておけば、危険な奴が入ることはないし、出ていけばすぐにわかる)
(しかし、男の騎士を配置しておくのは心休まらない‥‥彼女は顔の傷がなくなって、とても綺麗なことが他の奴にバレやすくなってしまった‥‥)
(ただでさえ、グイスもクイナも彼女の魅力に気付いているのに‥‥これ以上彼女を好きになる男を増やしたくないな)
(本当は彼女の部屋に鍵をかけて、それを俺が管理できればいいが‥‥)
「‥‥さすがに嫌われるな‥‥他に方法を考えよう」
王子の不穏な考えはなんとか途切れた。
「嫌われるって、好かれてる前提ね!」
「おわっ!?」
「やっほー! さっきぶり」
部屋の中に魔女のゼノが突然現れた。
本当に神出鬼没で、しかも部屋の中に突然現れるのだから恐ろしい。
いったい何の用なのだと勘ぐるように王子がゼノを見るが、ゼノはにんまりと笑みを浮かべている。
「アナタ、キエリのこと好きなんでしょ」
「そうですが」
「やだっ! この子、どうしてこうも即答するのかしら‥‥とまぁ、冗談は置いといて」
「キエリのこと諦める‥‥わけないか。でも、キエリのためを思うなら身を引いてほしいわ。王妃なんて面倒だし、アナタって重そうだし‥‥」
ゼノが金髪をくるくると巻いて、ぽつぽつと話した。
「それに、アナタの好きって気のせいかもよ?」
「諦めるのは無理ですが、気のせいとはどういうことですか?」
「キエリといると癒される~とか、安らぐ~とか思わなかった?」
王子は心の内をあてられて少し眉をひそめたが、こくりと頷いた。
「それ、キエリの魔力のおかげだから! あのときはアナタに魔力を渡していたからそう感じてただけ。だから、べつに好きだからとかじゃないかもよ」
「それは、本当ですか?」
「えぇ、アナタがうけた呪いもキエリの魔力で解かれたのよ‥‥だから」
「あはは、そうか‥‥そうだったのか!」
王子が急にとても嬉しそうに笑ったのでゼノは眉をひそめた。
「な、何がそんなに嬉しいのかしら?」
「だって、それって俺のためにキエリの魔力があるみたいに思えて、ますます運命に思えますよ」
ゼノはあちゃーと言いながら片手で頭を抱えた。
「そうきたか‥‥んー‥‥でもっ、キエリがアナタを好きとは限らないんだから! アナタはキエリにとって恩人ではあるけど、それ以上でもそれ以下でもないわよ!」
「そうかもしれませんが、必ず振り向かせてみせます‥‥」
ゼノは再びあちゃーと言いながら今度は両手で頭を抱えた。
「んもう! 勝手にしなさいよ! でも、キエリのこと悲しませないでよね」
「もちろんです‥‥でも、どうしてそこまでキエリに肩入れするのですか?」
「それは‥‥」
飄々としていたゼノが急にぴたっと動きを止めた。
「どうして‥‥んー‥‥あら? どうしてかしら?」
真剣な表情で考え込み始め、うーむと唸った。
「ちょっと考えてみるわ。まさか自分のことでわからないことがでるだなんてね‥‥まだまだ面白いわね」
「じゃ、茶化し終えたから帰るわね。ばいばーい」
ゼノがくるりと手を捻ると、すっとからだが消えてしまった。
(突然現れたのは、移動魔法を使ってたのか‥‥)
一人になった王子は嵐が過ぎ去ってほっと息をはいた。
(キエリ‥‥確かに、俺のことは恩人くらいにしか思っていないかもしれない‥‥それに、好きでもない相手に頬にキスをしてしまうくらいには鈍感だ)
頬にキスをされた日を思い出す。
そして、キエリとの日々をどんどん遡っていく。
「あれ?‥‥俺はキエリに好かれているのか?」
先ほどゼノにあおられたのもあるせいか、急に不安になってきた。
「屋敷で初めて会った時は、喉に爪を食い込ませて怖い思いをさせてしまったし、暴言だって吐いた。その後もせっかくキエリが花を摘んできてくれたのに、それをひったくって踏みつぶした」
王子の顔が青ざめていく。
「キエリに好きになってもらう要素がない!」
「そもそも、好きだとも伝えていない!!」
「挽回‥‥しなければ‥‥」
王子は椅子にしなだれて、これからの苦難を考え天井をあおいだ。
ここまで読んでくださった方々ありがとうございます。
お気づきでしょうか?あの二人付き合ってないんだぜ…




