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私、究極生命体⁉︎  作者: 石動昼間
第6章 究極生命体と愛する人
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探し続けた人

目の前に立つ、神である国王と天使化されたファーストワールドの英雄たち。彼らが塞いでいるのはこの洞窟の唯一の出口だ。

つまり彼らをどうにかしなければ、この洞窟から逃げることもできず、後ろから追ってくる《神造生命体》に追いつかれて終わりだ。


無理やり突破しようにも、こちら側が4人に対し、向こうはざっと数えるだけでも100人以上の兵がいる。

どう考えても不可能だ。


「デスティ、君は実によく動いてくれた。オーネから目を奪い弱体化させるだけでなく、あろうことかわしが創り出した存在であるカナデなどのことを信じ、奴に決定的な隙を作ってくれた」


国王が私に事実という刃を突きつける。


「どうだね、今わしの魔力を受け入れて天使となるのならば喜んで迎え入れよう。もちろん君のお仲間たちも殺しはしない。丁重に扱うと約束する。どうだね」


天使となり、思考や行動を全て支配下に置かれる。そんなことは死んでるのと同じ、いやそれより辛い。


それにきっと、アルトたちも殺されはしないだけだ。

きっと待っているのは、良くて奴隷として飼われるといったところだろうか。


それでも彼女たちは死ぬよりは良いと思うかもしれない。

一応聞いてみるべきか。


「…だってさアルト、それにティアとフラムも。ごめんね、こんなことになってしまって。多分この先生き残ってもそこには前みたいに幸せな日常はないと思う。それでも、生きたいかな」


返事は、無かった。


「…わかった。じゃあせめてもの抵抗、しようか」


残っている魔力全部を発射する準備をする。

もちろん標的は目の前にいる国王だ。


そのことには向こう側もとっくに気づいているようで、瞬時に魔力の壁が展開された。

だけど関係ない。私の『破壊』の原書の力ならそんなもの簡単に貫通できる。


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」


私の全てを込めた一撃が発射された。

その光線は国王めがけて一直線に伸び、魔力の壁にあたり貫こうとする。


だが壁に触れた瞬間、魔力は全て消え去り霧状になり辺りに舞った。


「わしが君の力を知って何の対策もしていないと思ったのかね。その程度の攻撃に耐えられぬほど、我が軍の防御はやわでは無いわ」


私の後ろからも、ティアとフラムが必死に攻撃を打ち込むが壁を破ることができない。


アルトも諦めたように、ただ何もない方向を見つめているだけだ。


国王が手を挙げた。

おそらく攻撃準備の合図だ。


あなたが振り下ろされた瞬間、私たちは殺されてしまうだろう。


もう何もやれることはなかった。


そして国王の手は振り下ろされた。




―――




ずっとそこにいると感じていた。

ここにきてからずっと、私が探している彼女の存在を確かに感じる。


彼女にまた会うために、私は生き続けている。


この世界に来た時から、妙な記憶が頭を駆け巡っていた。


『オーネ』、『究極生命体』、『デスティ』、私がどういう存在であったのか全てを思い出した。


私を創った人、オーネ。おそらく彼女は私の記憶を全て上書きしてしまったつもりだろう。


だが以前デスティに読まされた小さな本のおかげで、抵抗することができた。


大切な記憶が消えなくて本当に良かった。


生きる意味が消えなくて本当に良かった。


それからはただ、生きるための行動をとった。


オーネから受け取った記憶を頼りに、創られたばかりの私のような言動をとり続けた。

記憶が残っていることがバレたら、何をされるかわからない。


ただ、オーネに従順であり続けた。




状況が変わった。

私たちは敵に囲まれ、逃げ道も無くなってしまった。


オーネのおかげで包囲はつけることができたが、ここは洞窟なうえおそらくこれまで通ってきた道からして出口も一つだ。


まず間違いなく待ち構えられているだろう。


そうなれば勢いをつけたまま、敵の真ん中を突っ切ってしまうのがいいか。


出口が見えた。


案の定敵はそこに待ち構えていた。


だけど私はそのまま突っ切ることはせずに止まった。


だってそこには、私がずっと探していた彼女の存在を確かに感じたから。


洞窟の岩壁、誰が見てもそうにしか見えないだろう。


だけど私にはわかる。


彼女はそこにいる。


私は、ずっと会いたかったその名を呼んだ。


「ダイアナ、やっと来れたよ」


それに反応するように岩壁の一部が少女の姿へと変わり、私の名前を呼んだ。


「ア…ル……ト?」


だが、その視線は私の方を向いてはいなかった。


その視線を辿ると、そこには今にも手を振り下ろし私たちへの攻撃指示を出さんとする国王の姿があった。


完全に思考から外していた。

せっかくダイアナとまた会えたのに、このまま死んでしまうのか。


そう思い思わず目を瞑る。

しかしいつまで経っても攻撃は届かなかった。

恐る恐る目を開けると、そこには信じ難い光景が広がっていた。


私たちに攻撃しようとしていた、国王や軍隊が全て石化していたのだ。


当然ながらそこから動くことはない。

そしてそれが誰によってもたらされた現象なのかは明らかだった。


ダイアナの方を見ると異様な魔力を発しながら震えていた。


「アル…ト…アルト…」


私の名前を呼びながら、しかしその目は全く私を見ていなかった。


「もう…いなくならないで…アルト…ひとりにしないで…」


「ダ、ダイアナ、私ここにいるよ!ちゃんとダイアナのところに来たよ!」


言葉をかけるが、それが届いた様子はない。


「アルト…アルト…」


後ろで轟音が響いた。


見ると先ほどまではなかった大きな岩の槍が地面から生え、天井へ突き刺さっていた。


おそらくダイアナが無意識に発動させたものだろう。

精神が不安定になり、能力の制御が効かなくなっている。

ダイアナは暴走を起こしかけていた。

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