究極生命体と事件 5
目を覚ますために洗面台へ向かった。顔に思い切り冷たい水をかけた。
髪から滴り落ちる水をタオルで拭こうとした時、扉を叩く音が聞こえた。
おそらくカナデさんあたりだろう。そう思ってタオルで髪を拭きながら扉へ向かった。
扉を開けるとそこにいたのはデスティだった。まだ傷は治っていないようだが、もう歩いても大丈夫らしい。
「どうしたの、デスティ。こんな朝早くに」
よく見るとかなり汗をかいている。よほど急ぎの用事みたいだ。
「…昨日の夜、カナデさんに会った?」
「うん。図書館跡を調べるって言ってた。カナデさんに何かあったの?」
しかしデスティは私の問いに答えず、あそこか、と言って何処かへ行ってしまった。
あの様子だとどうも良くないことが起きたと考えるべきだろう。
きっと向かった先は本校舎の図書館跡だ。
私は急いで着替えると、本校舎へ走った。
―――
すっかりガラクタの山となった本校舎の一角、図書館のあった場所へ着いた。
周りを見渡すと、何やら瓦礫を動かすような音がする。
きっとデスティだと思い、そちらへ足を運ぶ。
一つ大きな瓦礫を超えると、やはりそこにはデスティの姿があった。
何やら一心不乱に瓦礫の山を掘り進めている。近くに寄ると投げた瓦礫に当たってしまいそうなので、ここから叫んで話しかけた。
「デスティ、どうしたの。カナデさんに一体何があったの」
言葉が届いたのか、デスティは手を止めこっちを向いた。
そしてものすごい速さでこっちへ飛んできた。
「…早くここから離れて、寮へ……いや、寮はだめ、それなら私と一緒にいた方が……でもそれじゃ……」
デスティは私に話しているのか、独り言を言っているだけなのか、とにかくかなり焦っているようだ。
「落ち着いてデスティ。そんなに慌てて、本当に何があったの?」
私がそう言うと、デスティはようやく私が求めていた答えを口にした。
「…昨日の夜からカナデさんがいなくなった。それに、寮からも何人もの生徒が消えたの」
あの時私達がついていれば。思わず、そう考えてしまった。
だがすぐに考えを改める。今まで聞いた話によるとカナデさんは相当な実力者だ。ならば私がいたとしても何もできなかっただろう。
それでも何か変わったのだろうか。
「この場所に来ることは、スライに勧められたの。やっぱり犯人は……」
それを聞くと、デスティはさらに恐ろしい形相になる。それは、怒りというよりも何かに恐怖しているようだった。
「…早くカナデさんを見つけないと」
私はそれに頷くと、私も手伝うと言って二手に分かれた。瓦礫を越え、デスティとは反対側へ進む。
すると、一つの人影が見えた。男子生徒のようだった。
なぜ今外にいるのか気になり、その生徒に近づいた。
すると、遠くからではわからなかったその顔がより鮮明になってくる。
鮮やかな金髪に、翠の瞳。フューリーだ。
驚いた私はまだ高さがあるにも関わらず、瓦礫の山から飛び降りる。
フューリーの目の前まで走って行き、一体どうしたのかと訊こうとした時だった。
私の視界が急にぐらついた。一歩一歩進むたびに意識も遠のいて行き、最後に映ったのは不気味に笑うフューリーの顔だった。




