究極生命体、対立
「デスティは会わなくてよかったの?」
私が問いかけるのは目の前にいる私にそっくりな女の子。
デスティは首を横に振り否定する。
「…私が行っても辛いことを思い出させるだけだったよ。それに私は、本当だったらアルト達と一緒にいていいような存在じゃないんだよ」
そんなことない。そう私が否定する前に、デスティは1人王都へと帰っていってしまった。
まあ一緒の学校にいるわけだしまた言う機会もあるだろう。
それに今は一刻も早く学校へ帰ってやらなければいけないことがある。
「私達も帰ろっか」
そう言って私もティア、ティムと共に山を下りた。
―――
私は学校へ帰り着くと、真っ先に図書館へと向かった。
理由はもちろんスライに能力を教えてもらうためだ。
「スライ、居る?」
そう呼びかけ、少しすると奥の方からぷかぷか宙に浮かびながらスライが出てきた。
「アルト、彼女をちゃんと見送れた?」
「うん、スライに教えてもらった幻影魔法もすごく役に立ったよ、ありがとう」
私がそう伝えるとスライは少し照れながら笑った。
「それで、今回はどうしてここに?もう急ぎの用事もないでしょう?」
「私、やっぱりダイアナと離れるのは嫌なの。だからもっと能力を使えるようになって、別世界に、たとえ危険でも行きたい。ダイアナのいる所へ」
私がそう意思を示すと、スライは一瞬考えてから言葉を発した。
「そういうことなら私はオーケーだよ。でも、一応アルトの先生にも言わないと。覚えても、実際使う場面がなきゃ使えるなんていえないしね」
「わかった。じゃあデスティにも相談してからまたここにくるね」
そう言って私は図書館を後にする。
そしてデスティを探しに出たのだが、そういえばデスティがいつもどこにいるのか、私は知らない。
頭なく探し回るわけにもいかないので、ひとまずカナデさんのところへ行くことにした。
本校舎の最上階にある1つの大きな部屋、その扉を開けると、いつものようにカナデさんが机に向かって仕事をしている…ことはなくどうやら仕事の最中に眠ってしまったようだ。
ずいぶん気持ちよさそうに眠っていて、起こすのを少し躊躇ってしまったが、仕事の最中に寝ているんだから起こしても文句を言われる筋合いはない。
肩をトントンと叩くと、カナデさんは意外にもあっさりと目を覚ました。
「むにゃ…あれ、アルトちゃんどうしたの?」
「おはようございますカナデさん。私、デスティを探しているんですけど、どこにいるかカナデさんなら知ってると思って聞きにきたんですけど」
「ああ、デスティなら多分訓練場じゃないかな。あなた達に教えていない時はいつもあそこにいるから」
それを聞くと、私はカナデさんにお礼を言い、訓練場へ向かった。
途中、階段を下りる時にフューリーとすれ違った。ピーター先生も一緒にいたからきっと怪我をしたんだろう。
ともあれ何事もなく訓練場につき、中は入るとそこにはカナデさんの言った通り、デスティの姿があった。
私が近づこうとすると、デスティもこちらに気づいたようで、歩み寄ってきた。
「…ちょうど良かった。今からアルトを呼びに行こうとしてたから」
「そうなんだ、私もデスティに話したいことがあって、訓練の回数と時間を伸ばして欲しいなって」
私がそう言うとデスティは首を傾げる。
「…どうして?今のままで十分なペースだと思うけど」
「だって、私が早く強くならないとダイアナはまた辛い思いをしちゃう。もしかしたらもっと遠くへ行ってしまうかもしれない。だからもっと訓練して、少しでも早く私も別世界に兵としてでも行かなきゃ」
「…だめだよ、許さない。訓練は前と変わらないペースでやる」
私の言葉を、デスティは瞬時に否定する。
「…せっかく、カナデさんのお気に入りで、戦争に参加しなくていい境遇にいるのに、一時の感情の変化で一生を棒に振る気なの?」
「それでもいいよ。私はたとえ死ぬとしてもダイアナと一緒にいたい。デスティが教えてくれないって言うなら私はインスティ先生にでも頼んでみる」
そう言って私はデスティを背にして訓練場を後にした。




