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私、究極生命体⁉︎  作者: 石動昼間
第3章 ダイアナ
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究極生命体、学校見学

 校舎内に入ると、そこはもはや別世界のようだった。


 辺り一面煌びやかな装飾が施されてもはや王城の一部と言われても信じられるほどだ。


 同じ学校であっても私達が普段過ごしている風景とは似ても似つかない。


 近くを歩くティアとティムも口をぽかんと開け、その装飾の美しさに気を取られている。


 通路も一つ一つ先が見えないほど長く、本当にこの中からフラム1人を見つけ出せるのかと思ってしまう。


 そう考えていることが分かったのかコウスケは私に説明する。


「俺は途中で呼び出されて出てきたけど、実はまだ授業中なんだ。もう直ぐ終わると思うから、教室の前で待っていれば会えると思うぜ」


 なるほど、だがそう思うと私達の学校はかなり訓練が終わるのが早い。


 まあ普段は私とダイアナに訓練を交代するとはいえ、ティア達の訓練が終わってからかなり経つ。


 この学校が異常に長いのか、私たちの学校が異常に短いのかはわからないが、おそらくこういうところで差がついて長い間負け続けたんだろう。


 帰ったらカナデさんに報告しなければ。思わぬ収穫だ。


 と、色々と考えているうちにコウスケの教室に着いたようだ。


「ここが俺の教室だ。そうだ、まだちょっと授業やってるし、君たちも見学していくか?」


「え、それって大丈夫なの?許可とかは…それに私達が居たら他の人の迷惑になるかも」


「大丈夫だよ。学校の方は見学大歓迎って言っているんだから、遠慮なんてするなって」


 そういうと、コウスケはあたふたする私やティムなど知らないといった様子で、教室の引き戸を開けた。


「先生、ちょっと今から彼女達、見学します」


 先生と呼ばれたその女性の容姿はとても美しく整っておりながら、その瞳にははなんとも言えない迫力があった。そんな彼女が動揺しながらも、私たちを見る。


 一瞬疑わしげな様子だったが、すぐににこりと笑った表情に変わった。


「ようこそ王立魔法学校へ、今日の授業はあと少しですが、何か少しでも得られるものを探していって下さい」


「「「よ、よろしくお願いします」」」


 私達3人が同時に全く同じ挨拶をすると、その先生はくすりと笑う。


「さあ、どうぞ席へ。一番後ろの席はどこも空いてますので先に使って下さい」


 そう言われて中へ入ると、長机が縦に3列、横に10列ほど置かれ、机一つにつき2人ずつ生徒が座っていた。


 ただ、一番後ろの2列は誰も座っておらず、見学者が来るのも想定内だったようだ。


 私達は案内されるままそこへ座った。ただ、生徒からかなりの注目を浴びたためかなり恥ずかしかった。


 よくみてみると沢山いる生徒の中に一際目立つ、長く赤い髪の生徒がいた。フラムだ。


 さらにその隣に座っているのは、少し記憶が曖昧だがおそらくダイアナと戦っていた生徒だ。


 その辺りを見ていると、2人の後ろにコウスケが座る。

 すると2人とも後ろを向いて何か話しているようだ。きっと仲がいいんだろう。


 そうやって観察していると、先生の声が聞こえてくる。


 どうやら今は、この世界の歴史についての授業をしているようだ。


 もしかしたら異生命体の事情を知っている誰かが普段受けられないような授業を受けられるように手を回してくれたのかもしれない。


「──このようにしてこの世界は、《始まりの存在(オリジン)》と2つの原書によって創られました。そして、《始まりの存在》は、4つの生命体を作り出した、これらが創られたばかりの何もない世界に大地や生命を作り出し、我々の知る世界の歴史へと繋がっていくのです」


 2つの原書とは前にスライが探していると言っていたものだろう。


 世界創生よりも前から存在していたとは聞いていたが、まさかそこまですごいものだったなんて思わなかった。


 と、そこまで聞いたところで、先生は教本を閉じてしまう。


「では今回はここまで、課題は各々やっておくように」


 そして先生が教室を出ていくとともに、生徒達が立ち上がりはじめ、帰りの支度を始めだした。


 どうやら本当に授業が終わるギリギリだったらしい。


 これくらいならわざわざ授業を中断させてまで教室に入る必要はなかったんじゃないだろうか。


 そう思いながら私も立ち上がりコウスケ達の方へ向かう。


 もちろんティアとティムも同じように立ち上がりついてくる。


 コウスケは私達が近づいてくるのがわかったらしく、話しかけてきた。


「やあ、授業はどうだった?ていってもほんのちょっとだけだったけど」


「うちの学校は戦闘訓練ばかりであんな授業は新鮮だったよ、ねえティア、ティム」


 私の言葉にティアとティムは頷く。


 そして2人はコウスケの前にいる女生徒へ視線を移した。


「フラム、1ヶ月ぶりね。元気だったかしら?」


「ティア、それにティム、久しぶりね。私は元気よ。それよりもお兄様の方が心配なのだけど、変わりはないのかしら?」


「フューリーは今までよりも厳しい訓練を受けているわ。何でも自分から願ったらしいわよ、多分あんなやられ方をしたのが効いたのね」


 そんな会話がティアとフラムの間で交わされる。


 その後も絶え間なく2人の間では言葉が飛び交い、その言葉の量にティムは少し戸惑っている。


 どうやら思っていた以上に彼女らの仲は良いようだ。


 と、ここで気になる話題が挙がった。


「そういえば知ってる?最近王都で発生している誘拐事件のこと」


「誘拐事件?確かに物騒だけど、王都じゃ別に珍しくもないわよね?」


 ティアがフラムの言葉にそう問い返す。


 私は王都についてほとんど何も知らないが、確かにここまで大きな街では誘拐事件が起きようと、さほどおかしなことではないだろう。


 わざわざ話題に出すということは、何かいつもと違う点があるということだ。


「それが、誘拐された人達は皆、学校を卒業した異生命体達らしいのよ」


 私はそれを聞いて少し驚いた。


 もちろん異生命体ほどの存在が誘拐されることもだが、デスティから、卒業した異生命体は皆別の世界へ兵として送り出されると聞いていたからだ。


 しかしよく考えてみればさほど不自然でもないかとも思えてくる。


 動けないほどの怪我をすれば帰されることもおかしくはないし、そんな怪我では犯人にも対抗は難しいだろうからだ。


 私はきっとそうだと自分で勝手に納得し、フラムの話の続きを聞く。


「王国騎士団がずっと追ってるんだけど、まだ犯人が残しているはずの痕跡すらまともに見つかってはいないらしいわ。だから、あなた達も気をつけるのよ」


 フラムが今までにない真剣な表情になってそう言う。


 かなり本気で心配してくれているようだ。


 そしてそれを聞いたコウスケは何かに気づいたように話し始める。


「お、ならそろそろ帰った方がいいんじゃないかな、

 もう外はかなり暗くなってきてるし」


 そうして私達は学校を後にすることにした。




 ―――




「それじゃあフラム、元気でね」


「ええ、あなたも……それと私、あなたに負けっぱなしは嫌なのでいつかリベンジさせてもらうわよ」


「ええ、受けて立つわ。もちろん、次も私が勝つけれど」


 別れるギリギリまでフラムとティアはそんなやりとりをしていた。


 お互い煽りあって、仲が良いのかわからなくなるが、きっと仲が良いからこそのやりとりなのだろう。


「皆さん、色々ありがとうございました。それじゃあまたいつか!」


 そう言って私は校門前で見送ってくれているコウスケとフラムに手を振る。


「ティア、ティム、行こうか」


 私達は自分達の学校へと帰るため、夜の王都へとくりだした。

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