究極生命体と試合準備 3
部屋内に良いとは言えない雰囲気に包まれる中、その雰囲気を壊すように、部屋の扉が開けられた。
「…喧嘩はやめて、もうすぐカナデさんが来るから。そうしたらミーティングを始める」
部屋に入ってきたデスティがそう言うと睨み合っていたフューリーとワット姉弟はひとまず落ち着いたようだ。
先ほどと変わって部屋内に何とも言えない空気が流れる中待っているとカナデさんがやってきた。
「お待たせー、ちゃーんと自己紹介出来た?」
「ま、まあ…ね」
「そう、ちゃんと仲良くしないとダメだよ?」
私のその様子を見ただけでカナデさんは状況を察せたようで、そう話しはじめた。
「それで早速なんだけど、試合する順番を決めたいと思います!」
「…今回は勝ち抜き戦だから。順番もしっかり考えないと命取りになるから」
「決めるっていっても大体はもうこっちで考えてあるんだけどねー、だからその発表。デスティ、よろしく」
そうカナデさんに言われると、デスティは紙のようなものを出して読み上げるように話しはじめた。
「…まずは1人目、フューリー・ブレイズ」
「僕が最初か、どうやら君達の出番はなさそうだな」
フューリーがニヤニヤしながら言ってくる。
初日にインスティ先生に吹き飛ばされていたのに、それほどまでに力をつけたのだろうか。
「…2人目、ティア・ワット」
ティアは「よしっ!」とやる気に満ちた声を上げる。
どうやらフューリーが全員倒せるとは思っていないらしい。
「…3人目、ダイアナ・ストーン…4人目、アルト・アイメーテ」
ダイアナと私は「がんばろう!」と言う意思を込めてお互いに頷き合う。
「…最後は、ティム・ワット」
これは少し意外な位置付けだ。
ティムの性格的に最後というのは荷が重すぎる気がする。
実際本人も戸惑っているようで、「ふぇぇ…」と弱々しい声を上げている。
「ありがとうデスティ、みんなその順番、忘れないでね。まだ相手校の選手情報が入ってないから試合での作戦等は直前にデスティから聞いてね!じゃあみんな、試合期待してるよ」
そう言ってカナデさんはどこかへ言ってしまった。
「…ごめんなさい、今日、カナデさんはテンションが少しおかしいの」
「確かに、やたらいつもよりも勢いがすごかったわ…」
「…それじゃあ私もそろそろ…そうだアルト、ダイアナ、ちょっと来て」
デスティが部屋を出かけた時思い出したようにそう言った。
「?何だろ」
「さあ?」
そうして私達もデスティの後を追い部屋の外に出た。
「…ティム・ワットの能力は聞いた?」
「ううん、本人が言っちゃいけないって」
「…ああやっぱり、カナデさんが彼にそう言ったの。だけどあなた達には知っておいてほしい」
「何で私達だけなのよ?他の2人は、特にティアは実の姉でしょ?」
確かにそうだ。何故、姉にまで隠す必要があるのだろう。
「…あなた達が一番信用できるから。本人との関係性は関係ない、どれだけカナデさんが信用しているかで決める。あの姉には、あなた達にはない危険性が存在するから」
それを聞いて、ダイアナは一応引き下がったが、まだ納得はしていないようだ。
「…話を戻す。あの子の能力、それは《時》を操る能力」
「時⁉︎それって、時間ってこと…?」
「…そう、本来時間というのは決して干渉してはいけないもの。だからあまり人目につかせたくないの」
「なら、チームから外せば良いんじゃ…」
「…それは出来ない、この試合はあの子の力を使ってでも勝たないといけないから」
そういえばカナデさんもそんなことを言っていた。
もしかしたらこの学校は思っているよりマズイ状況なのかもしれない。
「…だから、あなた達2人で必ず勝ってほしい。そのためにあの子を最後にしたの。あなた達2人で、転生者に勝って」
デスティはそう言って、去っていった。
「デスティは2人って言ってたけど、私が1人で倒しちゃっても良いのよね?」
「ダイアナ、そういうセリフあんまり言わない方がいいよ。なんだか負けちゃいそう。それに、他のみんなだって…」
そんな若干不安の残る会話をしながら、私達は控え室へ戻った。
それから20分ほど経った頃だろう、再び控え室の扉が開き、城の騎士が私達を試合会場へと連れていってくれた。
そして、私達の初めての戦いが始まる。




