究極生命体と能力
「…でもまだ可能性はあるよ」
「可能性?でも…私が勝てそうだった作戦は使えないんでしょ?あと私にできるのは《体術》だけだけど、《体術》の対策をしてない人なんているわけないし…」
「…アルトの固有能力によっては可能性があるかも。仮にも究極生命体って言うくらいだし。アルト、自分の固有能力の名前覚えてる?」
「固有能力ってステータスに赤く書かれてるんだよね。でもそんな能力あったかなぁ…」
「…なら、一度ここにステータスを持ってきて。それまで私はダイアナを見てるから」
デスティはそう言うと、さっさとダイアナの方へ行ってしまった。
急にそういう態度だと捨てられたような感覚がするのでやめてほしい。
―――
私が取ってきたステータスを広げると、デスティは紙に覆いかぶさるようにして私の固有能力を探し始めた。
しばらくすると、デスティは顔を上げた。
「…ほら、あったよ。赤い文字で《究極》って」
「え?でもその文字真っ黒だよ?」
「…まさか…アルト、これ発動してみて」
「え?う、うん…《究極》!」
デスティに言われるまま能力を発動しようとしたのだが、何も起こった様子もないし力が湧いてくる感じもしない。
どうやら発動していないみたいだ。
「これ…どういうこと?発動しないみたいだけど…イメージがはっきりしないからかな?」
「…固有能力は詠唱すれば必ず発動する。それが発動しないってことは、発動に必要な魔力が足りてないんだよ」
そう言うと、デスティはまた考えだしたようで目を閉じて、何か独り言を言い始めた。
私はというと何をすればいいかわからないまま、その場で今の自分を整理することで精一杯だった。
「はあ…私だけの能力なのに、なんで私が使えないの…」
考えてみればおかしな話だ。
究極生命体と言う割に私には、色々と足らないものが多すぎる。
これほど名前負けしている異生命体もなかなかいないだろう。
色々と考えていると、デスティの考えがまとまったようで、私に話し始めた。
「…作戦、決まった。アルトこれからは図書館に行く日を増やして。それで出来るだけ使える能力を増やそう。詳しくは当日話すから。じゃあ私はダイアナを教えるから、アルトは今日の残りは図書館へ行って」
「う、うん。わかったけど…」
少し不安に感じている私を見ると、デスティは言った。
「…大丈夫。アルトも勝てるよ、絶対」
私はデスティのその言葉を信じて、図書館へと向かった。
―――
「あれ?アルト、今日は来ないって言ってなかった?」
図書館に着くと、そこにはスライがいた。
今日の予定は伝えてあったので少し驚いているようだ。
「あはは…ちょっとこのままじゃダメみたいだから…」
「魔力、足りないんだね。最初に会った時思ったよ。こんなに覚えても全部使えないのになあって」
「ええ⁉︎なら言ってよぉ…」
「あはは、ごめんごめん。でも、私はどうすればいいかなんて思いつかないからさ、他の人に任せようって」
スライは私に近づいてきながら言った。
「それで、何すればいいか、わかった?」
「とりあえずここにくる日を増やして、出来るだけ沢山の能力を使えるようになる!」
「よし、じゃあ私も手伝おうかな。しばらく暇だし。本とか資料探すね」
そうして私は、図書館ではスライ。訓練場ではデスティと共に段々と使える能力を増やしていった。
それから大体1ヶ月、ついに試合の日がやってきた。




