究極生命体と弱点
「どこへ行ってたのよ?アルト」
午前の練習を終え、部屋に帰ると、ダイアナが仁王立ちして待っていた。
なにやらお怒りだ。
「えと…?練習だけど…聞いてない?」
「聞いてないわ。デスティ、どういうこと?」
怒りの矛先がデスティへと移った。
「…昨日は本当に無理をしたから。無理してきたりしないように伝えなかっただけ」
「う…そう言われると何もいえないけれど…でも、仲間はずれみたいで少し嫌だわ」
「…ごめん、次はもうちょっと考える」
「まあいいわ。それより、2人ともお腹空いたんじゃない?食堂へ行きましょ」
ダイアナにそう言われると、それを思い出したかのように私達のお腹が鳴った。
「ふふっ、ほらやっぱり」
「言われたらなおさら空いてきたよー、早く食堂行こ?」
「…わかった。じゃあ、行こう」
―――
「ふーー、美味しかったーー」
「悔しいけどあの食堂の料理、私が作ったものより断然美味しいわ…毎日じっくり味わって研究しないと…」
「…あの味、何回食べても飽きないから好き」
食堂からの帰り道、私達は各々食堂の料理について語り合いながら訓練場へ向かっていた。
「他のみんなの授業の時間と重なるから人も少ないし、最高だよー」
「私はもう少し賑わっていてもいいわね、今のままだと少し食堂として寂しいわ」
「…なんかそれっぽいね」
「まあ、伊達に食堂を1人で支えてたわけじゃないわよ」
そんな会話をしながら歩いていると時間があっという間に感じるものでもう訓練場の扉の前に着いていた。
扉を開け中に入ると、そこにはいつも通り、室内とは思えない、青々とした自然が広がっていた。
「よーし、ご飯食べてエネルギーも補給したし、夜まで頑張るぞー!」
「アルト、なんだかやる気満々ね」
「なんか、あの人達に舐められるの嫌だから!」
「あの人達?」
「…朝訓練場を離れる時に、インスティの生徒に絡まれたの」
「ああ、そういえばそんな人たちもいたわね。忘れてたわ」
ダイアナさん、意外と非道いこと言うなぁ…
ともかく私はあの人達に舐められたままではいられない。
何よりこっちの方が向こうより楽だと思われていることに腹がたつ。
「こっちは怖くはなくても無茶ばっかり言う人がいるんだよぅ…」
デスティに聞こえないようにそう言うと私は練習の始めるため準備運動を始めた。
―――
訓練場内に大きな爆音が鳴り響く。
私はデスティに見守られながらひたすら能力を発動し続けていた。
のだが、
「あれ?ね、ねえどうしようデスティ。能力が発動しなくなっちゃった」
「…まだ、その能力を知らないだけじゃない?」
「いや、さっき発動できたやつも…あれぇ…?」
そのことを聞き、デスティは少し顔をうつむかせ考えているようだったが、心当たりがあったようで、顔を上げ話し始めた。
「…もしかしてなんだけど、魔力切れかも。アルト、《体術》系の能力使ってみて」
言われた通りに《体術》系の能力を使うとそれは正常に発動した。
「すごい、ちゃんと発動したよデスティ!」
「…やっぱり魔力切れみたいだね。だから魔力を使う魔法は発動できないんだよ」
「じゃあ、回復するまで新しい能力は試せないのかぁ…」
「…それもそうだけど…アルトの魔力容量、想像以上に少ないね」
気のせいかデスティはかなり真剣な、というか少し暗い表情で話してくる。
「…いや、もしかしたらダイアナで感覚が狂ってるだけかもだけど…それを差し引いてもやっぱり少なすぎるような…」
「そんなに⁉︎ていうかダイアナはそこまですごいの⁉︎」
「…ダイアナは……普通の異生命体の魔力容量の10倍はある…」
「10倍かぁ…」
ん?ダイアナさんちょっとおかしくない?
まあ、あのでかい幻見たし嘘とも思えない。
なるほど、それでコントロールが難しいわけだ納得納得。
「…それよりアルトのことだけど」
「ひょっとして少ないと何かまずい?」
「…うん。本当はアルトには手数でゴリ押す作戦で戦って欲しかったんだけど、この魔力じゃとても無理」
「つ、つまり?」
「…勝つの無理かも」
嘘ぉ…




