究極生命体、読書 2
「げんしょ?なにそれ」
「原書はね、最古の書物。全世界創生よりも前から存在したと言われる2冊の本だよ」
「それが…スライが探してる宝?」
私のその質問にスライは特に言葉で返すこともなく、ただ頷くだけで返事をした。
「原書、見つかりそうなの?」
「ううん、多分ここには無いと思う。さっきの魔法見たらわかると思うけど私、探すの得意だから」
確かにさっきの彼女の魔法を使えばどれだけ広い図書館であっても見つけるのは容易だろう。
「そっか、残念だね。ところで原書って、なにが書いてあるの?」
「それはわからないけど…噂によると、読むと原書と一体化するとかなんとか」
「ええ⁉︎それは見つけちゃダメなやつなのでは…」
どう考えても呪いの道具とかその類のものだ。
その私の反応を見てスライは少し笑って言った。
「あはは、一体化っていってもそんな怖いものじゃないよ、多分。ただその原書の能力を引き継ぐだけ」
「つまり、特別な能力がもらえるってこと?」
「そういうことだね。まあ見たことないから害が無いとは言い切れないけどね」
最後にスライが少し怖いことを言って、一旦話題に区切りがつけられた。
「そうだアルト。せっかく探した本、読まなくていいの?」
「あ!忘れてた、早く始めないと間に合わなくなる…!」
試合まで1ヶ月、デスティに半強制的に決められたレッスンスケジュールはとても単純なものだった。
まず、1日私の能力のイメージを広げるために図書館で資料を見る。
そして次の日に見た分の能力を使えるようにする。
この繰り返しだ。
実に単純な作業だが私の能力の量を考えると1ヶ月間まともに休める日はなさそうだ。
「私が使える能力があったらここで使おうか?誰もいないし何も傷つけなければ大丈夫だと思うし。」
「そ、それはいいかも。正直文字は苦手だから…」
そうして作業を進めていったのだが、スライの能力の幅が驚くほど広く、とても捗った。
まさか彼女も究極生命体なのではないかと思うほどだ。
それから気づけば4時間ほど、流石にスライも疲れてきたようだったので休憩を取ることにした。
「それにしてもスライ、すごい量の能力が使えるんだね。なんの生命体なの?」
「ふふ、秘密だよ。それよりアルトこそすごい記憶力だね。本当に全部の能力覚えてるの?」
「うん、多分これも何かの能力じゃないかな。前まではそんなに記憶力も良くなかったし」
その後もあまり変わりのない会話をしながら1時間ほど休み、それから日が暮れるまでスライに手伝ってもらいその日の作業を終えた。
「今日はありがとうスライ。おかげですっっごく楽だった」
「こちらこそだよ。最近暇だったけど、今日はアルトのおかげで楽しかった」
「あの、私多分これから一日置きにここに来るから…」
私がそういうとスライはニコッと笑って言った。
「その時は私も手伝いに来るよ。サボったりしたらダメだからね」
そうして今日のところはスライと別れ、私はダイアナが待っているであろう寮の部屋へと少し駆け足で戻った。




