究極生命体、教室へ
「本当にごめんね‼︎危ない目に合わせちゃって…」
「まあ、私達は無事だしいいんだけど…あの人は何だったの?」
私は前で頭を下げるカナデさんに問いかけた。
「…この学校は異生命体になった人を全員招待していることは言ったわよね?」
「はい、ダイアナと一緒にいた時に。」
「異生命体になる人の数は年々増えていて、この学校に来る人も増えている。ただ、どうしても人が増えるとさっきの人みたいな悪人が入ってきてしまうの。」
「じ、じゃあもしかしたら他にもいる可能性も…」
ダイアナが心配そうな顔をする。
「まだいる可能性は十分あるわ。ただ今回のように私達の到着が遅れるようなことはないと思うから安心して。」
「…わかりました。」
「…わかったわ。」
私達がそう答えると、カナデさんは微笑んで、
「今、生徒には安全のために自室待機を命じてあるわ。あなた達は私が部屋まで送っていくから。」
こうしておそらくこれまでの人生で一番大変だった1日が終了した。
―――
食堂での一件から一夜明けて、次の日。あの事件は特に影響はなかったらしく、事前の予定通り今日は校舎での初めての授業だそうだ。
私とダイアナは教室へと向かって歩いていた。
「昨日の事があってから、今日もまた何か起こるんじゃないかって全然眠れなかったよ…」
「私も…昨日は本当に死ぬかと思ったわ。」
「あの子にまた会ったら改めてお礼、言わないとね。」
《あの子》というのは昨日アルト達が襲われていた時に助けてくれた少女のことだ。
カナデさんは彼女をデスティと呼んでいたからおそらくそれが名前だろう。
「そうね。それとアルトも。私を庇ってくれてありがとう。でも、すごく怖かったからこれからは無茶、しないでね。」
「いやーあの時私も無我夢中で……あ、ここかな、教室。」
私達はその教室の中に入ると、中にはもうすでに何人かの生徒がおり、いくつかのグループに分かれて喋りあっていた。
「うわーみんな仲良くなるの早いなあ。ダイアナがいなかったら一人ぼっちだったかもだよ。」
「アルトなら、私がいなくても友達くらい作れるわよ。…あら?あそこにいるの…」
ダイアナが指差す方を見ると、そこには私そっくりの少女、デスティがいた。
「こんにちは。デスティ、で名前あってる?」
私がそう聞くと一瞬怪しむような顔をしたが、どうやら私達を思い出したようで、
「…うん、デスティ・ルークシオン。あなた達はカナデさんのお気に入りのアルトとダイアナ…だよね?」
「そう、アルト・アイメーテ!あの昨日ちゃんとお礼言えなかったから…助けてくれてありがとう、デスティ。」
「ダイアナ・ストーンよ。私もお礼、ありがと。」
ダイアナは人見知りするタイプなのか、いつもより口数が少ない。
「そういえば、これってどこに座ればいいんだろう?デスティわかる?」
教室内を見ると椅子と机は用意されているものの、どこへ座るべきかはどこにも書かれていない。
「自由席。良ければ私の隣、どうぞ。」
「そうなんだ。じゃあお言葉に甘えて…」
そうして私とダイアナが席に座ったところで、教室の扉が開き教師と思われる人が入ってきた。
しかし、その人を見た瞬間、デスティの表情が曇った。
その教師は教室の一番前にあった教卓の前に立つと、教室の端まで聞こえるようにするためだろう、とても大きな声で話しはじめた。
「私はインスティ・ルークシオン。今日から皆さんの担任教師となった。私が君たちを預かるからには手加減をするつもりはない。これからよろしく頼む。」
教師が言ったその名前。それは先程私が聞いたばかりの名前にとても似ていた。




