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遠山の禁さん!  作者: 活動寫眞
第三章・幕末維新篇
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第六話「与力-大坂の乱-」

「この話はフィクションでございます。」

第六話

「与力-大坂の乱-」



【-大坂奉行所-】


与 力「やはりそうか・・・ご苦労だった。褒美だ。」


曲者一「拙者、これにて御免・・・でござる、ござるよー・・・・・・。」


役人壱「先ほどの話、信じまするか?」


与 力「ツジツマは合う。」


役人壱「まさかお奉行さまが!?」


与 力「直接、お聞き申す。

     もし事実であるならばワシしか正せるものは居らんッ!」    



奉 行「ふぅー・・・今日も雑務が多いのぉ。 ん? 誰じゃ?」


与 力「お忙しいところ失礼致す。」


奉 行「なんじゃ? お前か・・・私は忙しいので用件は手短に話せよ!」


与 力「畏まりました。単刀直入に申し上げます。

     私目の調査によりまして現在、大坂で起こっている大飢饉ですが・・・」


奉 行「大飢饉、確かに起きているな。

     その所為で奉行所にはやれ米がない、米問屋が値を吊り上げて変えないと

     書状が届いてる!まったく困ったもんだ!」


与 力「つきまして、その米ですが、お奉行でおわせられる

    “跡部季重郎”(あとべきじゅうろう)、貴方様が何やら不穏な動きをしていると・・・」


奉 行「ほう、それは聞き捨てならんなぁ・・・詳しく申してみよ!」


与 力「この大飢饉の際、いち早く豪商が米を買い上げました。

     その所為で飢える人が続出、私目が出した米価の値下げ為の救済案も否決されました。

     そんな中でお奉行は、豪商たちの行為を免除するために

     米の手配と賄賂を受け取っていたとか・・・」


奉 行「ふーむ、あっ、そうそう。

     資財を投げ打って高騰した米を買って飢えた人に配っていると聞いたが誠か?」


与 力「庶民がひもじい思いをしているのに助けないでこの仕事、勤まりませぬ!」


奉 行「勿体無いなぁ、せっかくの儲け時なのに米を配る?

     飢えた奴に米を配っても、その分の米が返って来るのか?

     小判が来るのか?出世させてくれるのか?」


与 力「なんということを!?」


奉 行「良いか、処世術を持ったものが生き残るのだよ?

     豪商に頼んだ米だって私が食べたわけではない。

     将軍あっての国だ。新しい将軍さまに献上したのだよ」


与 力「国民が居ての国造り、その民を無視して・・・まさに暴挙ですッ!」


奉 行「与力無勢が私に説教かい?

     大江戸以外の奉行所を何と言うか知っているか?

     遠国奉行だ!私は天領奉行となりたいのだ!こんな天下も取れなんだ。

     亡霊が住まう場でいつまでもくすぶる存在ではないのだよ!!」


与 力「確かに古くから奈良・京都・大坂と都は出来ましたが、

     その礎があってこその今です。自分のことしか考えない人間など

     上に立つべきではない!」


奉 行「ならばどうずる?私は元・老中水野忠国の実弟だぞ?」


与 力「私、今日の今から与力の職を辞退致します。

     これより、“反乱”を起させて頂くッ!!」


奉 行「ふん、私の首を取る気か?」



お奉行と与力の間に静かに割って入ったは異国のスーツ姿で長身の男であった。

その男の殺気に反応して思わず刀を抜き身構えるも、

一瞬、相手の刃が早く到達し、顔の薄皮を斬ってしまった与力。



与 力「なに!? おぬし・・・誰だ!?」


紳 士「お初にお目にかかります。

     我輩は”傘道一致”と申す、しがない掃除屋ですよ・・・」


与 力「わしの居合い抜きを止めおった・・・

     しかも襖の向こうから見えていないのに正確、

     なんという者を連れているんだ跡部・・・」


紳 士「おや?お歳の所為でしょうか

     腕や足が振るえ始めましたよ?」


与 力「ここで倒れるわけにはいかん!」



与力はいざと言う時の為に懐に忍ばせていたものを投げつける。



紳 士「ぐっ、くない!?」


奉 行「逃げたか・・・必ず命を狙ってくると思っていたよ。

     ただ、ああいった男が考えが単純だ。ご丁寧に私の元へ来るのだからね。

     さてと・・・、みなもの、出合えッ!!


     現時刻を持って“元与力・大荒塩平八郎”(おおあらしおへいはちろう)を

     罪人として指名するッ!罪状は・・・幕府転覆を目論んだ罪だッ!!」


紳 士「おやおや、貴方様の首にそんな価値が?」


奉 行「ふん、あるとも。いずれこの国は私のモノだ!」



奉行所からどうにか抜け出した大荒塩平八郎は、

愚痴りながらも次の策を練っていた。



大荒塩「はぁ・・・はぁ・・・しくじったか!

     歳は取りたくないものだ・・・ここはひとまず何処かに身を潜めて」



からんころんからん♪



若い衆「お勤めご苦労様でしたぁぁぁぁ!!!おやびん!!!」


大荒塩「ぬおおぉぉぉぉぉ!!」


若い衆「ぐはべっちっ---!!!」



飛び込む様に茶店に駆け込んだものの、

異様な雰囲気に思わず出迎えた人間を得意の掌底打ち (しょうてい)で打ちのめした。



阿歩郎「なにしてるのよぉぉぉぉ!?」


大荒塩「あっ、申し訳ない! つい入ったお店にオカマが居たもので・・・」


阿歩郎「ふざけなさんなッ!! そっちかいッ!!

     普通、ヤクザに襲われそうになったからとか、

     驚いて、ついってのが正解でしょーがぁぁぁ!!

     なんで私を見ただけで若いの殴り飛ばしてくれてんのよ!?

     あんたがクイズ番組出題したら誰も答えれないわよそんな問題ッ!!」


大荒塩「だから申し訳ないと・・・」


阿歩郎「オカマなめんなよ!!」


大荒塩「じゃーとりあえず“兄弟の杯セット”頂こうかな?」


阿歩郎「杯セット一丁入りやしたぁぁぁぁ!!」


厨 房「杯セット一丁、了解!!」


阿歩郎「んがぁぁぁぁぁ!!つい注文受けたら商いモードに!?

     ・・・この男、出来るわね!」


大荒塩「以前、ここは違う店があったと思うのだが?」


阿歩郎「あら?最近オープンしたのよぉ!!

     いろいろ事情があって、こっち方面に用事があったのよ。

     それで序に大江戸で出してるお店をこっちでもと思ったの!

     そしたら良い物件があったのよ!!」


大荒塩「どうです?オカマさんも?」


阿歩郎「あら?そうお?一杯だけいただくは・・・ぷっは~ッ!」


大荒塩「おっ!いける口ですな?ささっ、もう一杯!」


阿歩郎「なかなか分かってるじゃない?

     それでこっちで店をオープンさせたの!!「任侠茶屋-おおきに2号店-」

     でも分かってるわよ!今、大坂は大飢饉に見舞われてるのにって思うでしょ?

     これは先行投資って奴よ!いい?あっ、ありがとう・・・クイッとね。

     商売人としては逆にこの状況だからこそ値下がりした家賃のうちに店を買う!!

     初期費用を抑えれた分、苦しんでいる人たちが暮らせる様にって

     食べ物や着る物などを配ってるのよ、いわば宣伝よね。

     おっとっと、少しこぼれた・・・クイッと・・・そしてヒック!だ~か~ら。

     目先なんて見てないのよ、いずれ良い方向にみんなが向かうって・・・思って・・・

     オカマを酔わせて何する気??・・・もうばたんッ」


大荒塩「・・・なかなかのオカマだな。実は私は逃亡の身でね」


若い衆「そういうコースもありますぜ頭目!!」



活動丸「で、僕が呼ばれたと?」


大荒塩「悪いね・・・ところで腕ないよね?」


活動丸「ええ。いろいろありまして・・・

     その治療の為に京都に向かう途中だったんですよ」


大荒塩「かなり遠回りさせて度々、申し訳ない」


活動丸「いえ、実は我々は元・水野忠国の下で働いていました」


大荒塩「!?」


活動丸「別に何もしませんよ、ご安心を!っと言っても

     実際の上司は「遠山禁四郎」ですけどね」


大荒塩「ほう、あの名奉行の方ですか。」


活動丸「ええ、あの迷奉行の方かも知れませんが」


大荒塩「上に立つものは多少のクセがあった方がいい。」


活動丸「多少なら、ですけど。」


大荒塩「そろそろ友人宅なので、ここまで見事な護衛でしたよ、ありがとう」


活動丸「元・忍びですから。

     ではお気をつけて!もしことを成す場合、微力ながらお助け致します!」


大荒塩「かたじけない!」


活動丸「ではッ!」


大荒塩「あのような若者達がわしの周りに居てくれたら

     大坂も変わっていたかも知れんな・・・」



阿歩郎「イターーッ!?なにぃぃ!?カマイタチ!?」


活動丸「少し強く叩き過ぎたかな・・・

     阿歩郎さん、そろそろ僕は京都へ向かいますよ」


阿歩郎「あら、仕事してくれたの?ありがとね。

     あと頼まれていた話だけど、どうやら祇園に居るみたいね。」


活動丸「そうですかぁ、ではメンテ終ったら行く事にしましょう。

     まずが嵐山へ!!」





-次話へ-

遠山禁四郎

「大江戸の奉行所は南北だが、大坂は東西に存在する。」

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