第四話「不運児-牙無き狼-」
「この話はフィクションでございます。」
第四話「不運児-牙無き狼-」
【-大江戸下町長屋・源外宅にて-】
脇賀源外
「俺の腕が良いから命だけは助かったが絶対安静だ」
男
「すまねぇ、本当はお礼でもしたい所だが・・・」
源外
「ああ、心配するなっ! 俺が勝手にしたことだ!
それにバケモノみたいな女将に根こそぎ徴収されてたのを見てるしな!」
男
「恐ろしい女・・・」
源外
「一つ、いや、二つくらいの人生の勉強になったと思えば気が楽だろ?
下手すると金だけでなく命まで持って行かれかれねぇー状態だったぜ!
これも何かの縁ってやつかな?まー三途の河を渡るにはお前さんの命では、
ちーッとばかり船賃には足りなかったて事だ!がははははっ!!!」
男
「ひでぇー話だな・・・・・・ありがとうよ」
源外
「ところで坂本さんは、お通とはどういった関係なんだ?」
男
「!?」
源外
「ん?またその顔か?何で名前知ってんだ的なことか?」
男
「何者だ!?」
源外
「面倒くさ過ぎるわ!
『坂本龍馬ご一行様』って語ってたじゃねーか!
その仲間の可能性もあるが、話の流れからしてもそうだし、
こっちでも多少は名の知れた政治家だからな、そう思ったんだが違うのか?」
男
「そう・・・いやいやいや!わ、わ、わしは・・・
坂・・・坂上田村麻呂 (さかのうえのたむらまろ)じゃ!」
源外
「これまた平安時代かお前は!!すっと言わないと、少し間があったとき考えただろ?」
男
「そ、そんなことないもん!」
源外
「なに良いオッサンが可愛く言ってんだよ!ならあれか?菅原道真は元気か?」
男
「そ、そらもーう! 日がな一日を、く、く、句を読んでる!!」
源外
「まー、読んでそうだな。でも大江戸時代にそんな昔の人だすかぁ?」
男
「・・・ぉぉ」
源外
「ああ、泣くな!!ツッコまれたくらいで!!!
しかもどうせ偽名使うなら宿で使えよっ!!」
男
「はっ!?」
源外
「何を感心しとるんじゃ!・・・・・・もう俺は限界!
ゴホンッ!!所でお前さん、お通とはどういった関係なんだ?」
男
「お通?ああ、花魁の彼女かい?」
源外
「なんでぇい?名も知らなかったのか?」
男
「今日で会ったのが2度目だしな、それに彼女とは大した関係でもねぇ」
源外
「そりゃー客商売としての関係だろうよ?」
男
「そりゃそーなんだが、わしは彼女に指一本触れちゃいねぇ」
源外
「・・・。」
男
「彼女との出会いは数ヶ月前の話だ。
ある男と会うため、土佐から大江戸へ上がってきた。
その際、指定された場所があの遊郭だった。
遊郭に着くと、彼女はどういう訳だかおれを見てすぐに部屋に通した。
理由を聞くと『そんな目をした侍がまだ他に居たんだと思った』そうだ」
源外
「目で人を見るか・・・」
男
「で、他にもって誰だか聞いたんだ、すると『 いまから来る人だ 』と・・・」
源外
「うーん、今のお前さんの目を見る限り魚が死んだ目にしか見えんのだがなぁ」
男
「しばらくすると男が部屋に案内され入ってきた。
その男の目は確かにおれと同じ目をしていた・・・」
源外
「うーん、お前さんと同じ目ってことは・・・
内容も同じに聞こえて残念な奴じゃないのか?」
男
「なんてことを!!
わしだって怪我をしていなければひき殺されたカエルの目などしていない!」
源外
「表現が気持悪いことこの上ないな・・・」
男
「そしてわしの思いを告げた。今の世の中は世界からすれば遅れている!
もっと新しい時代を作りたい!と・・・」
源外
「若いと熱いな」
男
「すると男は一つうなずき、文を渡して出て行った・・・」
源外
「偉く無口な奴だな。」
男
「そして部屋から出て行く際、振り向き様に一言
『YOUがやるなら応援するぜよ!!』ってな」
源外
「斬れ!そいつ斬れ!」
男
「心・・・打たれたわしはぁ、その足ですぐさま京へと向った・・・」
源外
「それを聞かされた俺は頭を打たれた気分だ」
男
「そして手紙を携え、薩摩藩と長州藩との同盟を行ったわけだ!」
源外
「あれだけ伏せてた2強をさらっと言いやがったよ!」
男
「というわけで明日のために寝るっ!!ガガガガァァァー!」
源外
「本当に夜明け見れなくしてやろうか?」
・
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・
【 -翌朝- 】
男
「ぎゃあああああああぁぁぁぁ!!」
源外
「こんちくしょー!!」
曲者三
「そんななまくら当たらないわん!仕事完了したので逃げるだわん!!」
源外「お前さん!!しっかりしろ!!!」
男
「あの野郎・・・朝の厠を狙うとは・・・まさかわしが・・・
気張ってる際中に斬りかかるとは・・・クソ!」
源外
「確かに今の奴、クソまみれだったから顔が分からなかった・・・なんて外道!
いや、この場合は下衆?下痢まみれ・・・」
男
「う~!!」
源外
「気をしっかり持て!!」
男
「どうやらわしはとっくに死んで無ければ成らぬ男だったようじゃ!
最後に・・・花魁に・・・預けた文を頼む!読めば・・・わ・・・か・・・・・・ぅ!」
源外
「むむむ!!」
・
・
・
【 -大江戸吉原遊郭- 】
花魁
「そう・・・・可哀想ね」
源外
「奴が残した手紙があるそうだな?」
花魁
「ここに」
源外
「何か重要なことかも知れん。中身を改めてみよう!
・・・・・・!?」
花魁
「なんて書かれているのですか?」
源外
「こいつは大変だっ!!
この手紙は大坂奉行所で与力をしている大荒塩平八朗が反乱を起す文だ!
どうやら坂本は、大荒塩に反乱を辞めるように説得していたようだ。
そして日時を決めて会って納得させたらば我慢するとある・・・」
花魁
「でも坂本さんは・・・」
源外
「ああ、止めるすべがない」
花魁
「私は罪の無い人が巻き添えになる様な事は避けたい。
脇賀さま、どうか止めることは出来ないでしょうか?」
源外
「うーん・・・あっ、そうだ!坂本がここで会ったという男なら何か力に!?」
花魁
「それは・・・会うことは叶いません」
源外
「何処か行ってしまったのか?」
花魁
「その方の名は遠山禁四郎さまです」
源外
「なんてこった!! あのフザケタ台詞や奴だったか・・・
なんで俺の手で斬る前に斬られた!!」
花魁
「脇賀さま!怒りの矛先が変わってます!!」
源外
「おっと、冷静沈着で博学の俺がなんとしたことか・・・」
花魁
「落ち着かれて良かったです」
源外
「そうだな、遠山はまだ生きている!!」
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【 -北町奉行所- 】
源外「遠山!!覚悟!!!!」
佐七「ガガガガガァァァァァ・・・・・・メンテデスカ?」
源外
「がはっ!?なんてこった!!
あまりにくりそつなカラクリを作ってしまったので
製造者が自ら錯覚を起してしまったぁ!!
ああ、なんて恐ろしいモノを生み出してしまったんだぁ!
悪魔に魂を俺は売ったのか・・・」
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源外
「間違えたっ!」
花魁
「落ち着けジジイ!!」
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花魁
「もしもの話ですが、大荒塩さまが坂本さんと面識が無いのであれば、
代役を立て説得すれば止めれるのではないでしょうか?」
源外
「なんと!おんな孔明がこんなところに!?
しかし、可能性はある!だが出来る限り本人に近い風貌の者を用意せねば!
指定された日時に余裕があればカラクリを用意したのだが・・・
店主
「失礼します、脇賀さま、お訪ねに成られて来た男の方が一人居られますが?」
源外
「ん?誰も読んだ覚えがないが・・・ちょっくら見てくるよ」
花魁
「はい」
源外
「こんな所に来るような奴は誰だぁ?誰も居場所知らねーはずだが・・・」
大男
「平賀さん、お久しぶりです」
源外
「おお、参捏世 (さんでっせい)じゃないか!どうしてここに?」
大男
「長屋へ訪ねると近所の方々が親切丁寧に教えてくれました。
お蔭で迷うことなくこれました!」
源外
「なんで知ってやがるんだ!?しかも簡単に言い触らしやがって!
口に戸は立てられんとは言うが、長屋の戸より建て付け悪い連中だ!!
ふん、病気になって来ても診察せんからな!!」
大男
「それと遠山さまがあんな事になるなんて・・・」
源外
「ああ、気にするな!終った事だしな」
大男
「でも不憫でなりません!まさかあの事件のあとあんな大怪我をして・・・
口からアゴにかけて線が入ってるじゃないですか!だから片言しか話せないだ・・・」
源外
「・・・それ佐七だろ?」
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大男
「わぁー!き、綺麗なお人だぁ・・・」
花魁
「お通と申します」
源外
「三捏世さん、どうして大江戸に戻ってきたんだ?」
大男
「いやぁ、ご迷惑おかけしたので改めましてご挨拶にと・・・」
源外
「積もり話もあるとは思うのだが、いろいろ事情があって忙しいのだ」
大男
「そりゃ、こんな高いお店ですし、こんな綺麗な方がいるんですから忙しいでしょうね」
源外
「そういう意味じゃーねんだな、実はな・・・」
【 -説明中- 】
大男
「なんと!それは大変だぁ!今、帰ると騒動に巻き込まれてしまいますなぁ」
源外
「確か三捏世さん・・・出身は讃岐だっけか?」
大男
「はい、今もそこで暮らしてます」
源外
「事情もわかってるし、讃岐と言えば土佐の隣だな?」
大男
「ええ、まー」
源外
「ならお前さん、今から坂本龍馬だっ!!!」
花魁「ええぇぇぇぇ!!??」
店主「ええぇぇぇぇ!!??」
他客「ええぇぇぇぇ!!??」
大男
「いや、そこ自分が驚くとこなんですけど・・・?」
源外
「ってか、お前ら何で参加してんだぁぁ!!」
-次話へ-




