表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠山の禁さん!  作者: 活動寫眞
第三章・幕末維新篇
29/37

第二話「追憶-浮世絵師-」

「この話はフィクションでございます。」

【-幕末維新篇-】


 

第二話「追憶-浮世絵師-」



事件が起きた時、それは1つの結果として捉えている。

だがそこに至るまでの過程、原因などが確実に存在している。

調べる事により、それらはパズルのピースの如く見つけ出しては組み立てていく、

そして全てのピースが揃い完成した時、事件の結果へとたどり着く。


当たり前の事ではあるのだが、必ずしもそのピースが正しいものなのかどうかは

仮に結果にたどり着いても分からない。


人が勝手に都合の良い形に形成したピースをはめたり、またははめさせられたり、

気づかないまま用意されたものを作って満足している可能性も否めない。


疑い出したらきりはない、自分の目で、耳に、足で調べた情報を元に抽出し

出来る限り正しいものを選ぶ以外、他になにもないのだから・・・



5年前の事件を今でも考えることがある。



元・老中鳥井の幕府転覆策には3つの勢力が関わっていた

1つ目、元・老中鳥井の残党である。

老中時代に鳥井の息のかかった幕府内の官僚、町役人、名主など多数存在し

身分を落してなお、裏で組織立っていた。

これらは鳥井への恩義もあるが、自分達の利益のために動いてた。

詳しくは大江戸の大火や現・老中細川の手によって手入れが行われ、

真実は表に出ていないままだ。



2つ目、遠山殿に至極個人的な恨み言から動き出した武家。

ジイと呼ばれる男達が、一度は罪を犯しながらも鳥井の手によって助けられ駒使い

だがそれはそれ、自分達の野望のためにと働いていた。

一度は遠山殿を斬り重症を負わせるも、命を奪い損ねた事で恨みは増大。

遠山殿を暗殺し、その勢いのままに事件を利用し利権を手に入れようとしていた。

元は名のあるお家柄で、強ちそれも不可能ではなかった。

今では所在不明、一説によれば細川の手に落ちた?


3つ目、細川守熙 (かみひろ)

老中内での権力闘争の最中に四十の若さで突如参戦してきた男である。

水野、鳥井の犬猿の仲に勢力を3つの割るほどの力を持っていた。

彼の手腕は、大江戸大火後の手際からも分かるように一切の迷い無く事を起す力がある。

そのため以前から彼が動くたびに古い幕府の考えを持つ者たちは敬遠してた。

いくつもの罠を張り巡らしていたが、逆に罠の先が消える事も少なくなかったらしい。


そして一番厄介な男だった。

すべての事柄を知っていて、全てを利用していたのだから

その中で我々も踊らされていたに過ぎなかった・・・




【-5年前-】



あの日、天守閣に1発の砲弾が撃ち込まれた。

大江戸城に向かった仲間はその騒ぎでバラバラとなり、

数日後に再会したのだった


大江戸の半分以上は消失するも、被害は最小限に治まったと言っていいだろう。

その点、我々が黒幕だと認定し追い詰めたはずの細川はこのとき暫定ではあったが、

幕府を動かす事となる。


念入りな計画だったのが伺える。

今では大江戸幕府の将軍と言っても言い過ぎに当たらない。

将軍・徳川家葦 (いえよし)様は病床な上に、

この時は治療のためと東北へと行っていたとか、

そのススメを出したのは細川というから抜け目がない。


全員の顔を見て心の中で安否確認が出来たところで、

間髪居れずに男達数人が我々を囲んだ。


見たことの無い井出達の男達が数十人、

その正面に2人ほど色の違う着物を着た男がこちらに歩み寄り一人が話はじめた。



男一

「大目付遠山禁四郎、捕縛せよとの命により参上した!!」


男ニ

「神妙にお縄について頂きますよ」


阿歩郎

「ちょ!ちょっと!!何の罪で捕まえるのよ!?」


遠山

「それはおれも聞かせて貰わないとな?」


男一

「今回起きた事件の全てです。

 老中水野忠国暗殺、将軍暗殺未遂、大江戸大火、天守閣破壊などその他諸々です」


北祭

「そんな馬鹿な!?」


阿歩郎

「どれも出鱈目じゃない!確かに阻止しようとした意味では関与はしていたわ!

 でもそれは実行犯ではないじゃない!!」


男ニ

「男女は黙っていろ!これは現老中筆頭で在らせられる細川様の直属の命にある!」


阿歩郎

「おとこ・・・おんなって・・・って細川!?」


遠山

「じゃー仕方ないな。連れて行け!」


阿歩郎

「ちょっと!何言ってるの?あんた悪くないわよ!」


門戸無用

「だとしてもこいつらに言ってもどうにも成らない。

 それに反抗して戦った所でそれこそ幕府の裏切り者になる。

 とりあえず大人しく着いて行く。今後のことは仲村殿に任せる!」


阿歩郎

「連れて行かれた・・・着いて行っちゃったわよ・・・・・・馬鹿!」


北祭

「どうやら黒幕の細川を遠山様は斬っていなかったようですね」


活動丸

「それに何かこうなることを知っていたようにも遠山様が見えましたが・・・」


阿歩郎

「これは一大事よ!私達はもう後ろ盾になる人はいない!

 中枢から助け出すなんて無理よ!しかもよりによって今回の黒幕が生きてた上に

 先手打って着ちゃったわよ!!!」


門戸無用

「考えても仕方が無い。我々が出来ることは現時点では探りを入れるか待つしかない」



翌日、大江戸中に罪人・遠山禁四郎の名が広がる事となる

そして10日後、打ち首獄門の末に晒し首となった・・・


その後、老中細川は、将軍の変わり「開国」を宣言し

米国提督ペロリィと書面を交換し、国交を結んだ。

内容は伏せられていたが、この日ノ本に外国人が一挙に増えたのは一目瞭然だった。


開国について賛否はあったが、現時点で誰も抵抗する者はいない。

結果的に裏稼業から足を洗わざる得ない状況になっている。

大江戸の土産として浮世絵を買う外国人が増えたからだ。

そのお陰で寝る間も惜しんで描くことに没頭している毎日だ。


それはそれで満足はしている。

だがそんな裏では暗躍し続けている者は必ずいて、

またそれらを少なからず知っている自分もいる。


闇を一層し、本当の安心して暮らせる世の中に、

遠山殿の無念を晴らすために・・・

いつしかその思いは遠い夢となってしまった気がしていた。




-次話へ-

遠山禁四郎

「死人にくちなし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ