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遠山の禁さん!  作者: 活動寫眞
第二章・必殺幕末篇
24/37

第九話 「急転直下 (きゅうてんちょっか)」

「この物語は、登場人物や団体・歴史などはフィクションでござる!」


脇賀源外「今日もカラクリ佐七は職務遂行!」


「第九話

 急転直下 (きゅうてんちょっか)」



【-和菓子屋跡地-】



阿歩郎

「・・・大して時が経ってないってのに跡形もないじゃないッ!?」


秘書

「今日の昼過ぎに火の手が上がり建物は全焼。

 火の回りが速い割りには近所の被害は少なくて済んだのが不幸中の幸い。

 現場検証を行った結果、手掛かりになるようなものは出て来ず・・・と。」



焼けた木材をしばらく見つめる桃色頭髪。

手に取り臭いを確認、何かを理解したような面持ちで秘書に対峙する。


    

阿歩郎

「これは放火ね、それもかなりの手慣れだわ。

 特殊加工した火薬を使えば一気に高温で燃え上がり焼き尽くす。

 だけど燃焼時間が過ぎれば火は衰える・・・・・・だから回りに被害が出なかった」


秘書

「では我々に知られては困るものがあったということ?」


阿歩郎

「証拠隠滅が上手過ぎるのも問題でね、手際の良さが仇になる事もあったり、

 無かったり・・・って、次行くわよッ!」


秘書

「何か見つけたの?」


阿歩郎

「犬も歩けば・・・」


秘書

「なるほど。」



阿歩郎はそう言うと着物に付いたススを掃いながら野次馬を掻き分け歩き出す

秘書は、部下達になにやら一言二言ほど指示を伝え、その場を後にした。



青年「・・・。」





【-大江戸城-】



活動丸

「あまりにも警備が手薄ナリ、

 もしかして水野様にもこちらに用件が?」


水野忠国みずのただくに

「察しが良いな。鳥井が不穏な動きをしていることは知っている。

 地位を剥奪したが奴の力はその程度はなかったようだ。

 ここ最近、身の回りに危険な出来事が多くてな。

 元々この城内で一人みたいなものだが見えない敵が余りに多い。

 私は近々討って出るつもりだ。その際、覚悟は決めている。」


活動丸

「では水野様のご用件とは?」


水野

「私が亡き後、鳥井がどう動くか検討はつく!

 そこで今よりも立場が悪くなる遠山殿を守って貰いたい。

 信頼できる男が二人ほどいて、何かあればそいつらに力になって貰う。

 それを伝えてくれないか?」


活動丸

「わかりました。・・・具体的に討って出るとは?」


水野

「そっちの用件は鳥井の手掛かりと言ったところか?」


活動丸

「その通りでございます。」


水野

「まずこれまでの経緯を話し聞かせよ。」



水野

「この書状を持ち大使館へ向かえ。

 あとこれは万が一の時のための手紙だ。」




【-仏蘭西大使館-】



遠山

「かなりやばいぞ・・・」


北祭

「お前ら何者だッ!」


紳士

「おっ!これは申し訳ない。

 我が愛刀が血を求めてたんでねぇ、傘道一致 (さんどういち)と申す。

 この刀は2枚の刃を一致させることで相手を挟み斬る特殊な業物!

 ・・・戦々挟々 (せんせんきょうきょう)」


大男

「おれは参捏世 (さんでつせい)

 讃岐の豪傑だぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」


遠山

「うわぁぁ!馬琴じゃなくて、バキンっと刀が折られた!!」


北祭

「遠山さまッ!!」


紳士

「何度言ったら分かるのかな?お前の相手は我輩ですよ?」


北祭

「腕の差がありすぎる・・・」


大男

「どうした?刀がないと何も出来ないのか?」


遠山

「正直、背水の陣かな・・・」


大男

「なら次が最後だな。その前におれの話を聞いてもらおうか」


遠山

「・・・?」


大男

「おれはお前のお陰で家族を失った・・・。

 おれは妻と幼い男の子の3人家族だった。

 ある日、連帯保証人になっていた友人が借金を返さずに逃げた!

 お陰で毎日辛い取立てだ!小さいながらも営んでいた篭屋も奪われ、

 妻は遊郭へ、子供は病気になってしまった・・・。

 このままではと妻の親戚が子供だけで預かると言い出した。

 息子だけでも助かるならと思ったら親権を親戚に譲ろうとした。

 すると知らない老人が養子にくれとしつこくて・・・。

   

 そしたらどちらが親権を持つかお白州の場で決まることになったんだ!

 妻と自称母親と息子の腕を互いに氷引っ張り買った方が親だと言う。

 まさか息子がそんな痛い目にあってるなんておれは思わなねぇ、

 結果、痛がる息子を見て妻が手を離したそうだ・・・。


 奉行の裁きは妻が本当の親だと認めた!

 痛がる子供を親なら見てられない!話してしまうってな!


 ・・・だが後に妻は遊女ということで親権が認められず、

 実の母親が認められないだった!おかしいだろ!!

 しかも、奉行は賄賂といかさまお白州だったんだよ!

 おれは必死に借金を返すのに鯨漁船で働いて露知らず


 あの時、お前が賄賂なんぞ受け取らずに周りの者の素姓を洗ってれば

 おれの息子がぁぁああああ!!!」



遠山

「・・・その話、おれじゃーない。大岡の裁きだな。」

    

大男「へっ?」


遠山

「その判例は大岡越後おおおかえちごの方だな。

 俺は北町奉行所、大岡は南町奉行所。

 そういえば忘年会で愚痴ってたなぁ・・・、

 せっかく後世に残る裁きをしたのに!って

 内部告発あって職員が不正して裁きと違う扱いしてたって分かった時には

 どうしようもなくて悩んでたよ。しばらく頭にミステリーサークルあったもん。

 ありゃかわいそうだったよ・・・」


大男

「この期に及んでまだ嘘をつくのか!?」


遠山

「嘘じゃないって!それに養子に貰う側が訴えるってのもおかしな話だな。

 こりゃ大岡の手元には普通に親子で資料行ってそうだ。

 あとその老人と借金取りはグルの可能性が高い。

 よし!知り合いに任侠に詳しいのがいる!

 それに今度は俺もちゃんと調査して裁いてやるぞ?」


大男

「人違いした上に懇切丁寧に感謝致します!!」


遠山

「息子さん戻ってくる良いな!」


北祭

「と、とりあえず安心と言ったところか・・・

 あの~できれば援護ください!目を離すと斬られますので・・・」


紳士

「ふふふっ、元々我輩に仲間意識などないから安心しなさい。

 それに斬る相手が増えたほうが血の滴りが・・・たまらん!!!!」


北祭

「くっ!!(早い過ぎて完全にはかわせない!)」


遠山

「援護って・・・脇差しかない!」


大男

「良かったら援護するのでその好きに逃げてください!」


遠山

「・・・まだ目的を達していない。意外と無慈悲。

 その上、お前自身も危ないぞ?」


大男

「大丈夫です!俺の体は鋼のように鍛えてます!」


遠山

「なら一緒に隙をついて出るぞ!」


紳士

「どうした?どうした?少しずつ斬れて血が・・・血が出てるぞぉぉぉおお!!

 守りばかりでは楽しくないよ!もっとこいよ、こいよ!こいよ!!」


北祭

「ぐっ!!」


紳士

「ふぅ~飽きたから・・・『死んじゃえよ』・・・ぐあっ!?」


北祭

「脇差!?」


遠山

「奴の肩をかすめただけだ!窓から飛び出るぞ!」


北祭

「しかし、目的が!?」


遠山

「奴が少し隙を見せてる間に行くぞ!!」


紳士

「逃がすかぁぁぁ!!って本当に斬って欲しいのかい?」


大男「斬れるかな?」



讃岐国の大男・参捏世さんでつせいは、

遠山たちの後ろを庇う形で立ちはだかる。


戦々挟々・傘道一致さんどういっちは、

元々仲間意識など無い男、ここぞとばかりに刀を振り回し、部屋中を斬り回す

参捏世は、硬い筋肉と刀の軌道を読み受けては流すを繰り返す


そんな中を一心不乱で窓へと向かって走るは禁四郎。

勢いに任せて窓へ特攻!脱出を試み、硝子と窓枠が外へと四散する。



遠山

「痛っ!硝子で切った・・・」


北祭

「急ぎましょう!警備兵に見つかります!」


遠山

「なに!?建物から煙!!」


北祭

「この火薬の臭いは!?

 ・・・遠山さま伏せてっ!!!!!!」



辺り一瞬にして視界が白くなる。





【-南町奉行所-】



一夜明けて大使館は全焼した。

その結果、死傷者、行方不明を出す事件となった。

堀巣万太郎は重度の火傷、ペロリィは不明

三捏世と傘道も分からない・・・



遠山

「やはり罠か、和菓子屋といいまさか大使館まで燃やすとはな・・・」


秘書

「多数の死傷者が出たそうです。

 これはことによっては国際問題に成りかねないことに・・・」


北祭

「姿は見られてないと思われますが、

 こうも続けて大使館で問題が起きると自ずと追求も免れませんよ・・・」


活動丸

「ペロリィも行方不明です。これ以上諸外国問題を悪化させることは・・・」


阿歩郎

「・・・ってワタシを見るなッ!!!」


秘書

「前科がありますから」


阿歩郎

「カチーン!!って来たよ!!頭にきすぎてカチーンって言っちゃったわよッ!」


遠山

「前回のいざこざ後だけにやったと思われかねないという話だ。

 今後はより動きにくくなる。阿歩郎、気をつけてくれ。

 大使館が突然の炎上、ペロリィ行方不明・・・、国際問題を解決し戻った水野様を

 その問題で窮地に追い込む気か・・・」


北祭

「その人間の最も得意とするもので失脚させるつもりなのでしょう」 


活動丸

「大使館の謎の男もどうなったのか分かりません。

 堀巣万太郎も負傷してしまい面会できない状態。」


阿歩郎

「そうなると手掛かりは今の所は、大使館の謎の男たちと尾行青年・・・」


遠山

「尾行青年?」


秘書

「私のあとを着けて来ました」


阿歩郎

「なんでお前限定ッ!?

 しかもさも美人だからつい男たちは着いてきてしまうー!

 そんなお高く歪んだようにその一言で聞こえるわよぉ!!!」


秘書

「すいません。」


活動丸

「(気持ちこもってないよ)」


北祭

「(めがね光らせた・・・)」


仲村

「(若い頃の妻に似てるなぁ・・・う~寒気が・・・)」


大岡

「どーでも良いんだけど」


遠山

「なら良いじゃないかッ!」


大岡

「良かないわぁ!その話がどーでも良いんだよ!

 ってかなんで北町奉行所に行かないんだよ!

 せっかく久々に南町奉行所に戻って来れたと思えば!

 ・・・知らない変な部屋や人が増えてるし!!」


阿歩郎

「あんたここ邪魔なのよ!」


秘書

「いえ、貴方様のことです」


阿歩郎

「なんでそう言う時だけ敬語なんだっ!!!!」


遠山

「いやー、大使館から近かったのでつい」


北祭

「遠山さま!ダメですよ言ったら!?」


大岡

「た、大使館!?まさか貴様が火を・・・ヒィィィィイイイイイイイ!!!」


活動丸

「とりあえず、その謎の男たとと尾行青年・・・」



活動丸が事件の重要参考人であろう男たちの調査をと話をする間もなく、

南町奉行所内に勝手に入り込んで来た男の姿があった。



遠山

「誰だッ!?」


阿歩郎

「あっ!」


秘書

「私をつけたの!!」


青年

「生憎だが恋人いるからゴメンよ、美人のお姉さん」


阿歩郎

「坊や、何が目的!?」


尾行青年

「宣戦布告だぁ!!この国を頂くよ!!」


遠山

「むっ!」


仲村

「(やっと震えが止まったと思えばガキか?)」


尾行青年

孫孔三(そんこうぞう)大陸の生まれの漢だぁ!!

 誇り高き先祖の血にかけて俺はここに新たな国を建国するっ!!

 その邪魔なおまえらを始末しに来た・・・。」





【-大江戸近郊-】



伍平屋

「お兄ちゃんは何でこんなことしてるんだい?」


流浪

「私は剣の道を志していました。

 ですが、親殺しの汚名を着せられてしまいまして・・・」


伍平屋

「そいつぁ、ただ事じゃないな!」


流浪

「ある人物を探すためにこのような輩とつるんでいます。」


伍平屋

「推測するに・・・真っ当な相手ではないわけだな」


流浪

「その世界に居ればいずれ聞こえてくるのではないか、

 もしかするとこちらの名が届くのではないか、

 ・・・そう思ったのですが無駄なようです。」


伍平屋

「無駄?」


流浪

「私の探す相手が関わる仕事ではない。

 それにこの事件は思っていた以上に大きくなるでしょうね」


伍平屋

「うーん、詳しくは分からんが少なくても無駄ではないかもしれないよ?」


流浪

「まさか!あなたが!?」


伍平屋

「まー、そういうパターンもあるけども行き過ぎ!」


流浪

「では何か情報を?」


伍平屋

「とりあえず裏事情通だから話してみぃ?」





-つづく-

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